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森達也監督と本作の佐藤慶紀監督が登壇『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』トークイベント


映画情報どっとこむ ralph 昨年10月に釜山国際映画祭ニューカレンツ部門に正式出品され、そのセレクションが評価されている大阪アジアン映画祭など国内外で絶賛されている佐藤慶紀監督の問題作『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』が、先週末から10/6(金)まで新宿K’s cinemaで公開中。

今後は、名古屋シネマスコーレでは9/23(土)〜、大阪・シネヌーヴォでは10/7(土)〜と、全国順次公開されます。

今回、本作について、

「法制度と感情がせめぎ合う。遺族は死刑を求めるのか。あるいは否定するのか。スリリングな展開に人の切ない営みが明滅する。あなたが死刑制度についてどう考えているのかはわからない。でもこの映画を観ながら考えてほしい。知ってほしい。」

とコメントした映画『FAKE』(2016年)の森達也さん(映画監督)が、本作の佐藤慶紀監督とトークイベントを行いました。

日付:9月17日
場所:新宿K’s cinema
登壇:
佐藤慶紀監督『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』
森達也監督『FAKE』

映画情報どっとこむ ralph 佐藤監督:『HER MOTHER』は去年釜山国際映画祭に出品させていただいたんですが、その時に森さんに知り合いになりました。

と、話す佐藤監督。実は最初は観るのをためらったと話す森監督は

森監督:ホテルが一緒で、朝食を食べていたら、声をかけられて、映画を見させていただきました。その後台湾の桃園映画祭でもご一緒しました。釜山で「死刑がテーマの映画が上映される」と声をかけられた時に、あまり見たくないというか、多分死刑反対の映画なんだと思いました。死刑賛成の映画はあまりないですよね。けれど、本編を見て、そんな単純な映画じゃないと思いました。(世の中、)表層的な死刑を支持をする人と、表層的な死刑を反対する人がとても多くて、悩ましいテーマなんですけれど、そこを避けていないんです。例えば日本でも『休暇』や大島さんの映画だとか死刑についての映画がありますが、被害者遺族の気持ちは触りづらいので、そこをあえてやったことは勇気があることでびっくりしたし、映画の質量というものにも圧倒されました。

と、熱く語ると、

森監督:本作は、ほぼ自然光、カメラもほぼ手持ちで、ドキュメンタリータッチになっています。そういう映画は実は多いのですが、すごく感心したのは、終盤主人公がコンビニに行ってミネラルウォーターを買うシーンで、「26円お持ちですか?」というようなところは普通カットするんですが、そういう要素を入れたまま残すという意味は大きいです。映画全体を支配しますから。

佐藤さん:確かにテーマとは関係ないところなんですけれど、通常のルーティーン的なやり取りの中で二人の気持ちを表現できたらなと思いました。


映画情報どっとこむ ralph 森監督:今月ニコニコ動画で死刑をテーマにしたディベートに呼ばれたのですが、死刑存置の側と廃止の側に分かれてディベートをするんですが、はっきり言って意味がないです。一番死刑制度の問題の根源にあるのが、みんな死刑を知らないということです。どういった制度なのか、どういう人たちがいるのか、どのように執行されるのか、それを知らずして賛成だ反対だと言ってもしょうがなく、メインストリームメディアは扱わないので、そういう番組をやることは意味があると思って行ったんですけれど、廃止の側は、僕と、青木理さん、日弁連の弁護士の方でした。存置の方は、被害者遺族の会を支える弁護士の方たちと、「闇サイト殺人事件」で娘さんを殺された磯谷富美子さんなどでした。磯谷さんが冒頭に30分位自分の想いをしゃべられたんですが、ディベートの場に遺族の方がいれば、僕ら第三者には対抗できる言葉はないですよね。肉親を殺された人は加害者を憎む、殺したいと思うというのは、当たり前のことです。それに対して論理でどうのこうの言っても意味がないのは、話しながら自分でもわかります。ニコ動の番組って、モニターに書き込みが出るんです。僕と青木さんが喋る度に、「こいつら出て行け」とか「こいつらこそ死刑だ」と言われ、喋りながら何が何だかわからなくなってきてしまって、圧倒的にダメでした。とても難しい、矛盾を抱えた問題で。遺族の方がそこにいるシチュエーションといないシチュエーションで違って当たり前です。僕は第三者なんです。第三者が安易に当事者の気持ちを代弁すべきではないし、共有すべきではないし。極端なことを言えば、世界中がパレスチナの人の想いを共有すれば、アメリカやイスラエルを攻撃すべきです。間違っているかはともかく、北朝鮮の人たちの想いを共有すれば、当然核兵器は当たり前だ、ということになりますし。遺族の気持ち云々以前に、自分とは違う人の気持ちを自分はどれだけ共有できているのか、ということを本当は考えなくてはいけないんだけれど、なんだか皆共有している気分になってしまうことが危険だし、こういうことを言うと、冷血と思われてしまうし。その矛盾は、この映画だってそうですよね?


佐藤監督:整理できていないです。投げ出している部分がありますね。元々、実際の遺族の方で、死刑に反対した方がいたんですけれど、なぜというのはわからなかったんですけれど、その行動をみなさんにわかる形で伝えることはできないかなと考えまして。第三者としてこういうことを考えたり、感じることが大事だと思います。

映画情報どっとこむ ralph 司会:これから観る方に一言お願い致します。

森監督:死刑問題って、どうしても目にしたくないですよね?死刑そのものも、それに付随する死刑制度に目をそらしてしまう。数の問題じゃないです。今年に入って2人死刑が執行されています。再審請求中に執行されるという、かつてない事態です。再審請求中は執行しないというのが暗黙のルールだったのが、いともたやすく金田法務大臣によって施行されたのですが、社会は反応せず、前例が作られてしまうのを危惧しています。死刑の問題というのは、生き方というか死に方など重要なところに触れているはずなんですよ。なのに、皆気づかない、もしくは、気づかないふりをしているという気がしていて、もっともっと真剣に考えるべきテーマだと思います。国連から勧告が来ているとかそういうことではなくて、生きていく上で、今この国にある死刑制度をどう考えるかというのはとても重要な問題だと思います。


一度考える機会を


「HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話」
~10月6日(金)まで新宿K’s cinema他全国順次

『娘を殺害した加害者の死刑を止めようとする母。一体なぜ…』

43歳のビジネスウーマン・晴美(西山諒)。2年前に一人娘のみちよ(岩井七世)が嫁ぎ、現在は夫(西山由希宏)と二人で平凡に暮らしている。そんなある日、みちよが婿の孝司(荒川泰次郎)に殺されてしまう。孝司は死刑判決を受ける。当初は死刑判決を当然の事と考えていた晴美だが、ある時から孝司の死刑を止めようと考え始める。そこには、晴美しか知らないみちよのある秘密があった。


公式サイト:
hermother-movie.com

Twitter:
@mothermovie66

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西山諒  西山由希宏  荒川泰次郎  岩井七世  野沢聡
箱木宏美 木引優子 西田麻耶

監督・脚本・編集:佐藤慶紀
撮影:喜多村朋充 
音楽:ベンジャミン・ベドゥサック 
制作:カロリーネ・クラツキー
メイク:桐山雄輔 
衣装:市岡昌顕
制作プロダクション:Aerial Films  
配給・宣伝:渋谷プロダクション
製作:『HER MOTHER』製作委員会(Aerial Films・ラフター・渋谷プロダクション)
2016/95min/DCP/カラー/ステレオ
©『HER MOTHER』製作委員会
     


『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』インド・ダラムサラ国際映画祭へ正式出品決定!


映画情報どっとこむ ralph 10/6(金)まで新宿K’s cinemaで公開されている問題作「HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話」が、11月2日から5日まで開催されるインドのダラムサラ国際映画祭へ正式出品されることが決まったそうです。
北インドのヒマラヤの山麓の丘にあるダラムサラは、ダライ・ラマが亡命した場所で、チベット亡命政府の本拠地。今年は日印友好交流年という日印文化協定発効60周年を記念する年であり、佐藤慶紀監督は、10月末にインド入りし、10月31日の、国際交流基金ニューデリー日本文化センター主催のデリーでの『HER MOTHER』の上映会でも舞台挨拶を行う予定です。

映画情報どっとこむ ralph
『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』は、南カリフォルニア大学を卒業した新進気鋭の佐藤慶紀監督が、10年程前、加害者の死刑を止めようとする被害者遺族がいることを知り、復讐心も湧いてくるであろう中、そのような決断をした理由を深く考えたいと思い、制作した作品。

フランスの第23回ヴズール国際アジア映画祭で上映された際には、死刑囚のお母さん役の箱木宏美さんがスペシャルメンションを受賞しています。

『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』

は、先週末から10/6(金)まで新宿K’s cinemaで公開中。
今後、名古屋シネマスコーレでは9/23(土)〜、大阪・シネヌーヴォでは10/7(土)〜と、全国順次公開が決定。

新宿K’s cinemaでの9/17(日)10:30〜の回上映後には、佐藤慶紀監督と『FAKE』(2016年)の森達也さん(映画監督)がトークイベントが行われます!

物語・・・
『娘を殺害した加害者の死刑を止めようとする母。一体なぜ…』

43歳のビジネスウーマン・晴美(西山諒)。2年前に一人娘のみちよ(岩井七世)が嫁ぎ、現在は夫(西山由希宏)と二人で平凡に暮らしている。そんなある日、みちよが婿の孝司(荒川泰次郎)に殺されてしまう。孝司は死刑判決を受ける。当初は死刑判決を当然の事と考えていた晴美だが、ある時から孝司の死刑を止めようと考え始める。そこには、晴美しか知らないみちよのある秘密があった。

公式サイト:
hermother-movie.com
Twitter:
@mothermovie66

過去記事:初日舞台挨拶の模様はこちら


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西山諒  西山由希宏  荒川泰次郎  岩井七世  野沢聡
箱木宏美 木引優子 西田麻耶

監督・脚本・編集:佐藤慶紀
撮影:喜多村朋充
音楽:ベンジャミン・ベドゥサック
制作:カロリーネ・クラツキー
メイク:桐山雄輔
衣装:市岡昌顕
制作プロダクション:Aerial Films
配給・宣伝:渋谷プロダクション
製作:『HER MOTHER』製作委員会(Aerial Films・ラフター・渋谷プロダクション)
2016/95min/DCP/カラー/ステレオ  
©『HER MOTHER』製作委員会
       


「HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話」初日舞台挨拶


映画情報どっとこむ ralph 佐藤慶紀監督の問題作「HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話」が9/9(土)〜10/6(金)まで新宿K’s cinemaで公開となり、その初日舞台挨拶が行われました。

死刑囚役を演じた荒川泰次郎さん、フランスの第23回ヴズール国際アジア映画祭でスペシャルメンションを受賞した死刑囚のお母さん役の箱木宏美さん、娘を殺された父親役の西山由希宏さん、殺される娘役の岩井七世さん、弁護士役の木引優子さん、主人公の義理の妹役の西田麻耶さんと佐藤慶紀監督が登壇しました。
9月9日(土)
登壇: 西山由希宏、荒川泰次郎、岩井七世、箱木宏美、木引優子、西田麻耶、佐藤慶紀監督
会場:新宿K’s cinema

映画情報どっとこむ ralph 佐藤監督:個人的に自主公開を視野に脚本を書いていましたが、素晴らしい役者さんスタッフのおかげで、こうして劇場公開となりました。たくさんのお客様に来ていただけまして、ありがとうございます。

西山さん:個人的には映画の余韻に浸ってほしいところですが・・。盛り上げにきました!

と場を盛り上げる西山さん。本日、登壇できなかった主演の西山諒さんに関して
西山さん:芯の強さを感じられたかと。彼女の目力に追い詰めれれて役者として理性を吹き飛ばされるほど意志の強い女性を演じられていました。
と語る西山さんも相当な目力。

今回、死刑囚役の荒川さん
荒川さん:脚本もらって、死刑囚役に惹かれて、オーディションにのぞんで、この役を得ることができました。この場に立てていることが幸せです。今回、一日で4Kg落としました。拘置所の中で憔悴していく精神状態を表したかったんで。

と、役を得たことへの喜びと大変な役作りをしたことを明かしました。
岩井さん:HER MOTHERのHER役です!脚本が没頭して一挙に読んでしまえる面白い本でしたので、ぜひと思いオーディションを受けました。こうして新宿で公開になってうれしいです。

映画情報どっとこむ ralph 今回死刑囚の母役の箱木さんは
箱木さん:本を読んだ時には、苦手なところに来てしまったなと。死がテーマでしたので死を覚悟して演じました。が、今回、加害者の母として目立たず、しかし息子に愛をもって存在すること。撮影の前日に荒川さんに母からの手紙をお渡して・・・書かれていない部分も演じたかったんです。ただ、荒川さんにもプランはあると思うので、邪魔ならば読まないでほしいと付け加えてですが。
と、第23回ヴズール国際アジア映画祭でスペシャルメンションを受賞した役作りを披露。


木引さん:弁護士役ですが加害者との接点がなくて、被害者の母との接点で構成されているのがすごく面白いなと思いました。今回、弁護士の職業を調べて、被害者と加害者との唯一の接点となる存在なのだろうなと思いながら演じました。

西田さん:どうも!この作品の中では被害者の家族側で、でも血がつながっていない。その関係性の中で層が違うところで加害者と接しました。コミカルにしては?と監督に言われましたので、そのアプローチで演じました。

と語りました。

最後に
監督:映画にはいろいろありますが、ないかを問うわけでなく・・皆さんに話しかけたい、映画にしてみました。SNSなどで問いかけて話しかけてください。

と、イベントを閉めました。


映画情報どっとこむ ralph 物語・・・
 
『娘を殺害した加害者の死刑を止めようとする母。一体なぜ…』

43歳のビジネスウーマン・晴美(西山諒)。2年前に一人娘のみちよ(岩井七世)が嫁ぎ、現在は夫(西山由希宏)と二人で平凡に暮らしている。そんなある日、みちよが婿の孝司(荒川泰次郎)に殺されてしまう。孝司は死刑判決を受ける。当初は死刑判決を当然の事と考えていた晴美だが、ある時から孝司の死刑を止めようと考え始める。そこには、晴美しか知らないみちよのある秘密があった。


公式サイト:hermother-movie.com
Twitter: @mothermovie66

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西山諒  西山由希宏  荒川泰次郎  岩井七世  野沢聡
箱木宏美 木引優子 西田麻耶

監督・脚本・編集:佐藤慶紀
撮影:喜多村朋充 
音楽:ベンジャミン・ベドゥサック 
制作:カロリーネ・クラツキー
メイク:桐山雄輔 衣装:市岡昌顕
制作プロダクション:Aerial Films  
配給・宣伝:渋谷プロダクション
製作:『HER MOTHER』製作委員会(Aerial Films・ラフター・渋谷プロダクション)
2016/95min/DCP/カラー/ステレオ  
©『HER MOTHER』製作委員会


アンドリュー・チョイ & ン・ガーリョン来日 香港社会派問題作『十年』


映画情報どっとこむ ralph 香港で大ヒット、香港のアカデミー賞金像奨の最優秀作品賞を受賞し、香港映画界の流れを変えたとも言われながら・・・。

しかし、その作品内容から中国から封殺されている社会派問題作『十年』が、いよいよ本日22日(土)から新宿K’s cinema他にて順次公開。

初日エグゼクティブプロデューサーのアンドリュー・チョイ、プロデューサーで第5話「地元産の卵」の監督ン・ガーQ&リョンによるQ&Aを行いました。

香港映画『十年』公開初日Q&A
日時:7月22日(土) 
場所:新宿K’s cinema
登壇:
アンドリュー・チョイ(エグゼクティブ・プロデューサー)
ン・ガーリョン(プロデューサー/監督)

映画情報どっとこむ ralph 立ち見でびっしり!の会場に温かい拍手で迎えられたアンドリュー・チョイさんとン・ガーリョンさん。

チョイP:エグゼクティブ・プ十年のプロデューサです。今日は第1回目から満席。感謝しています。

ガーリョン監督:十年のプロデューサと地元産の卵の監督をしています。今の香港の現状を分かっていただければと思います。

二人のプロデューサとしてのすみわけは、企画は2人でねり4人の監督を決めるところまでを2人で。その後ガーリョンPが配給と上映。ガーリョン監督が4人の監督をまとめてストーリーをキメた後。5作品目『地元産の卵』の監督に集中したそう。

映画情報どっとこむ ralph ここで、集まった観客との質疑応答へ。

Q:北京語を使用せよとの政府からの勧告などはありましたか?

ガーリョン監督:まず使えという支持はありませんが・・・。国語は北京語に代わっていのです。が、今まで使用してきた広東語には、いろいろな表現があると思うんですね。それがなくなることに対して、この作品を作りました。

チョイP:補足ですが、中国国内の北京語(普通語)を既に使用することになった地域もあります。そこも、いずれ香港もそうなるのではないかと危惧しています。

Q:香港アカデミー賞をとっても、その後なかなか活躍できないとか?

チョイP:2015年上映で、8週間満員だったのですが、どういう原因か上映が終わってしまいました。その後に香港のアカデミー賞金像奨の最優秀作品賞を受賞しましたが、批判的なことも新聞も掲載されました。自分たちは創作活動を続けていますが、スタッフは本土に入っていません。気を付けるに越したことは無いですから。

と、シビアな現実も語りました。さらに

ガーリョン監督:この作品の後、映画製作の話をいただきましたが、「十年」の制作者だとわかったら、手のひらを返して。そういうことがありましたが・・・監督としては、そういう考えを織り込む人と一緒にやらない方が良いですからね。最初に分かってよかったです。

と前向きな監督。

映画情報どっとこむ ralph Q:2025年に着眼したのは

ガーリョン監督:この作品を企画した段階で話し合いました。2025年にしたのは。今この映画を観られる人が、10年後であれば若い人もお年寄りも関われるからです。そして、10年という節目の人生のターニングポイントとしての「時間」を撮らせていただきました。

チョイP:現実的には、バジェットがなかったので、50年後だとセットや衣装とかね。。大変です。10年後にしました。(笑)

と、反骨とリアルの10年のよう。

Q:実際の香港では大変な変化が起こっていますが、脚本など変えたところはありますか?

チョイP:少しありますね。雨傘運動があって。それは反映させましたね。催涙弾のシーンはロケ地NGになって、別を探しました。10年後を描くのは変わっていませんけどね。

ガーリョン監督:撮影中にちょうど雨傘運動のうねりがあり、それに合わせて脚本を変えていきましたので。そのあとに、政府の発言が増えてきて。。。。現実となってしまったことも盛り込みました。もちろん雨傘運動の前後。卵を投げるシーンは反映させていますね。

と、答えたお二人。

映画情報どっとこむ ralph 今後の彼らの創作活動が気になるイベントとなりました。

政治不信が広がる日本人。
今見るべきかもしれない。

『10年』

は絶賛上映中!

物語・・・

第1話『エキストラ』
労働節(メーデー)の集会会場のある一室。2 人の男が銃で来場者を脅そうと密かに準備を進めている…。

第2話『冬のセミ』
壊れた建物の壁、街に残された日用品など、黙示録の中の世界になったような香港で、一組の男女が標本を作 製して
いる。

第3話『方言』
タクシー運転手に普通話の試験が課せられ、受からないと香港内で仕事ができる場所に制限がかかるようになる。

第4話『焼身自殺者』
ある早朝、英国領事館前で焼身自殺があった。身元もわからず遺書もない。一体誰が何のために行ったのか!?

第5話『地元産の卵』
香港最後の養鶏場が閉鎖された。【地元産】と書かれた卵を売るサムは、良くないリストに入っている言葉だと注意を受け
る。

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エグゼクティブ・プロデューサー:アンドリュー・チョイ(蔡廉明)
プロデューサー:ン・ガーリョン(伍嘉良)
監督:「エキストラ」 クォック・ジョン(郭臻)
「冬のセミ」 ウォン・フェイパン(黄飛鵬)
「方言」 ジェヴォンズ・アウ(歐文傑)
「焼身自殺者」 キウィ・チョウ(周冠威)
「地元産の卵」 ン・ガーリョン(伍嘉良)
2015/香港/広東語/DCP/108 分/英題:TEN YEARS/配給:スノーフレイク


恋愛に視覚を止めよ!湯山玲子・宮台真司『ブラインド・マッサージ』トーク


映画情報どっとこむ ralph 湯山玲子・宮台真司 賞賛!
「視覚優位の現代における “視覚を止めよ!”という良い処方箋」

己の“美”に嫌気がさした女、“美”に執着する男、欲望の中で己を失う男――
盲人マッサージ院で巻き起こる人間模様を苛烈に描き、観る者の価値基準を大きく揺さぶる衝撃作。
ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞のほか、台湾のアカデミー賞、金馬奨で作品賞を含む6冠を受賞しているロウ・イエ監督作『ブラインド・マッサージ』が、2017年1月14日(土)より、アップリンク渋谷、新宿K’s cinema ほかにて公開中。
2月1日(水)の渋谷アップリンクにて、著述家・プロデューサーの湯山玲子さん、社会学者の宮台真司さんが登壇するトークイベントが行われました。

日時:2017年2月1日(水)
会場:アップリンク渋谷
ゲスト:湯山玲子(著述家、プロデューサー)、宮台真司(社会学者)

映画情報どっとこむ ralph 日本の映画界にも数多くのファンを持つ中国の鬼才ロウ・イエ監督の最新作『ブラインド・マッサージ』の公開記念トークイベントが2月1日、アップリンク渋谷にて行なわれ、ロウ・イエ監督作『パリ、ただよう花』(2013)の公開記念時にも〈愛とセックス〉について熱いトークを交わした湯山玲子さん(著述家・プロデューサー)と宮台真司さん(社会学者)の再共演が実現。

『ブラインド・マッサージ』について・・・・

湯山さん:ロウ・イエ監督作は全部見ているのですが『スプリング・フィーバー』と双璧を成すくらい好きです。ロウ・イエは音楽家にたとえるならブルックナー。世界観の縛りが強烈で、観客を閉じた場所に囲ってしまう。ものすごく脳に訴えてくるタイプの映像作家。いまは視覚優位の時代だと思うんです。インターネットが発達して視覚から得る情報でいっぱいになってしまって、その他の感覚が退化してしまっている。でも、この映画を観て最初に気付かされることは、視覚が閉じたところにより豊かな世界があること。そっちに生きたほうが幸せなんじゃないか?一体どっちが幸せなのか?と考えさせられたし、ざっくり心を刺したところでもあります。

と感想を述べ、更に

湯山さん:私は自分の著作で‟いまは恋愛なき時代。恋愛を因数分解すると性欲と友情”と書いているのですが、本当はそうじゃないよね。近年では他人同士の間に起こる科学変化や「あなたにここにいて欲しい」というような境地を描いた恋愛映画の成功例は少ないのだけど、この作品を観て‟これが恋愛というものだよな”と久々に感じさせられた。自分の子供に恋愛が何かと説明するときは『ブラインド・マッサージ』を差し出します。

と熱弁。

映画情報どっとこむ ralph 一方で・・・

宮台さん:主人公の小馬と風俗で出会ったマンは恋に落ちるが、それについては説明がなく物語としては無理がある。しかしロウ・イエがすごいのは、そこには‟だって匂いがよかったから”というような視覚以前・視覚外的な感覚があるということを、映像だけで説得する力がある。僕たちが〈言葉〉と〈言葉以前〉と言うときに、恋愛は〈言葉以前〉のシンクロニシティと言われるけれど、ロウ・イエは『ブラインド・マッサージ』でそれを変換してみせた。僕たちが素朴に〈言葉〉と〈言葉以前〉と言ってしまうことに対して、それは「目に見えるものを頼って識別する=言葉に頼る」という意味では終わっていて、実際にあなたの使っている言葉は何も意味がないと突きつけてくる。これは観た瞬間にやられました。

と感嘆。

宮台さん:たとえば、男の子がセックスについて‟ちゃんとできているか”と気にしてしまうのは視覚的なヴィジョンを概念化しているから。実際に僕たちがセックスをするときに使っているのは視覚じゃない。ものすごく近接しすぎていて何も見えないし、大抵女の子は目をつぶっているもの。そういう意味でも『ブラインド・マッサージ』は性愛論的にはオーソドックスに非常に正しい。現代に対する‟視覚を止めよ!”‟視覚をベースにした概念は使うな!”という良い処方箋になっていると思います

と社会学者らしいアプローチの分析。

また、本作のラストについて

湯山さん:最後、〈すべてが幻だったかのように〉という言葉あるけれど、最近で言えば『君の名は。』にも共通する部分がある。私たちは夢を見ると夢のことは忘れてしまうけれど、覚えていないことに対して涙することがある。大事にしていることも忘れてしまう。それは小さいことなんだけれどみんなの共通感覚で、確かだったものが幻のようになってしまうのは、人間を人間たらしめている一つの悲しさ。作家性は違えど、ロウ・イエ監督と新海誠監督が同じことを描いているのが面白いと思う。

と、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。


映画情報どっとこむ ralph ロウ・イエ監督『ブラインド・マッサージ』絶賛公開中!

物語・・・
南京のマッサージ院。
ここでは多くの盲人が働いている。幼い頃に交通事故で視力を失い、「いつか回復する」と言われ続けた若手のシャオマー、結婚を夢見て見合いを繰り返す院長のシャー、客から「美人すぎる」と評判の新人ドゥ・ホン。

ある日、マッサージ院にシャーを頼って同級生のワンが恋人のコンと駆け落ち同然で転がり込んできたことで、それまでの平穏な日常が一転、マッサージ院に緊張が走る――。



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監督:ロウ・イエ
脚本:マー・インリー
撮影:ツォン・ジエン
原作:ビー・フェイユイ著『ブラインド・マッサージ』(飯塚容訳/白水社刊)
編集:コン・ジンレイ、ジュー・リン
出演:ホアン・シュエン、チン・ハオ、グオ・シャオトン、メイ・ティンほか
配給・宣伝:アップリンク
2014年/中国、フランス/115分/中国語/カラー/1:1.85/DCP/原題:推拿/日本語字幕:樋口裕子