「山戸結希監督」タグアーカイブ

理論・深田監督x感覚・山戸監督『溝口健二&増村保造映画祭』監督対談


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巨匠溝口健二と増村保造監督作品の魅力を対談形式で語りました。

「溝口健二&増村保造映画祭 変貌する女たち」トークショー
日付:12月24日(土)  
会場:角川シネマ新宿
登壇:山戸結希監督(「溺れるナイフ」)&深田晃司監督(「淵に立つ」)

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ふたりの変貌するヒロイン

山戸監督:初めて観たのは最高殊勲婦人だったのですが・・濡れたナイフの前に「濡れた二人」を観てビビッドな体験でした。昨夜のトークイベントで。若尾さんは死にたかったそうですけど溝口先生とでよかったと。おっしゃっていて。純真な女性が男をだます・・・女優、若尾文子さんが二重写しになってるように思えて変貌していく赤線地帯が響きました。

深田監督:変貌する。メタモルフォーゼすることで映画は面白くなると思っていて。ラブラブより。そこに行くまでの過程。それより家庭が壊れていくほうが面白い。変貌が印象深いの雨月物語。変化が美しいですね。溝口さんの女性の美しさは哀しさがセットになっていて。増村さんは悲しさがなくなっている。今でも続く男性社会での不自由を一歩引いたところで移すと哀しさになっていく。変貌と現実の勅使が美しいですね。

と、変化を語ります。

淵に立つ、溺れるナイフ。ともに女性がガラッと変わる変貌が描かれていますが 共通点は。。。。

深田監督:共通点は言い難いですが。心がけているのは、男性らしさ女性らしさを考えないようにして描いています。淵に立つでは筒井さんだけでなく、古館さんも変化していて。映画は変化していることが面白いと思うんです。ジャン・コクトーが「映画とは常に現在進行形を描くもの。」は真実だなと。


若い人に伝えたい お薦めは

深田監督:全部見てください。溝口監督で好きなのは、残菊物語。感情の距離感が凄いです。増村さんだと・・・反乱。とか巨人と玩具、中毒性があります。同世代の映画を観ている人は多いと思いますが。生まれる前の映画も見て欲しですね。

山戸監督:青空娘がお薦め。若尾さんがきょろきょろしてるのが共感できます。最高殊勲婦人の船越英二さんと


映画情報どっとこむ TJ 「溝口健二&増村保造映画祭 変貌する女たち」トークショー
溝口健二没後60年、増村保造監督没後30年記念企画として開催された本映画祭は、「変貌する女たち」のサブタイトルのとおり、女性が主人公の作品に特化した上映ラインナップが最大の特徴です。日本映画が隆盛を極めた時代を彩った華やかな女優達をスクリーンでご堪能下さい。 

配給/KADOKAWA

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小松奈菜、菅田将暉が溺れた物は?『溺れるナイフ』初日舞台挨拶


映画情報どっとこむ TJ 映画『溺れるナイフ』公開日となる11月5日(土)に、小松菜奈さん、菅田将暉さん、重岡大毅さん(ジャニーズWEST)、上白石萌音さん、志磨遼平さん、山戸結希監督が登壇して初日舞台挨拶を行いました!

キャストと監督が今、溺れたい物とは!?
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日時:11月5日(土) 
場所:TOHOシネマズ新宿 スクリーン9
登壇:
小松菜奈、菅田将暉、
重岡大毅(ジャニーズWEST)、上白石萌音、志磨遼平、山戸結希監督

映画情報どっとこむ TJ 山戸監督:今新宿ですよね。なんかすごいことに。なってます。

と、監督可成りテンパっているご様子。からのスタート。
モデルのキャリアはいきましたか?の質問に小松さん

小松さん:12歳からモデルをさせていただいてるんですけど。モデルをしていなければ表現できなかったこともあるので。よかったなと思うことは沢山あります。
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と、本作でモデルから女優になった女の子役に役だったとコメント。一方、今回、自由奔放な役で出ている菅田さん。今年すでに9作品に出ているほど多忙ですが、意外にもラブストーリーの主演は初めてとのこと。

菅田さん:山崎賢人とか凄いですよね。やるからには格好良くなきゃいけないし、ずっと美しくなきゃいけないから。この作品は、甘いシーンばかりではないので。品も必要だし、気高くなくてはいけないけど血なまぐさく。最後の方のシーンでは。監督がコウちゃんらしいキスがほしいと。結構ハードなことが出来たのは、この組ならではですね。
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映画情報どっとこむ TJ 重岡さんは、素のままでと監督に言われていたそうですが。ご自身と重なるのは?と質問されると・・・

重岡さん:現場を明るくする役は似てますかね。素のままでいいって言われて。。。どうしようかなと思いながら。でも素でやりました。あんなに尽くせない・・・

監督:本当に、俺はあんなに尽くせないと言われると・・・。それは・・・

と、監督におしきられ・・・

重岡さん:じゃ、つくします。瓜二つです。

と、監督お言葉に流される重岡さん。

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上白石さん:今までで一番計算した役です。監督と密に打ち合わせたので。話し方、スピード。歩き方、笑い方を鏡の前で沢山練習しました。このキャラクターは苦しくて・・・でも得たものは大きかったです。

と、撮影時の苦しさを吐露。

今回、志磨さんはドレスコードとして主題歌を再録音したそう。
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監督ならではなこだわりを聞かれると・・・

山戸監督:生きてると地獄だなと思うんですけど。。天国みたいな美しい二人が輝いていると映画を見て思ってくれたらと撮っていました。挑戦する気持ちで撮ってました。
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映画情報どっとこむ TJ 好きなシーンを聞かれて・・・

菅田さん:最初にカメラマンの志磨さんが「君はカメラの前じゃないと呼吸できないんだね。」って危ない人だなと。ぞわぞわしました。

志磨さん:案阿初めていいました。頑張りました。
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重岡さん:上白石ちゃんのどんどん変わっていって、最後に言うセリフは怖いとこ観たなと。180度パチーンと変わってたで。

上白石さん:小松さんとたまたま一緒でお祭りの前で大友がぼけてコウちゃんが突っ込むところ。コウちゃんも人間なんだと神様なコウなのに。男同士の友情が伝わって良かったです。

そして、タイトルにちなんで最近おぼれていることを教えてください。

小松さん:食べるのが好きで。溺れるたべログアプリです。

菅田さん:溺れる・・・なんでしょうね。全身の毛をそって。チクチクするところを触る・見るに溺れてます。自分で剃ってます。排水溝に溺れる毛。

重岡さん:溺れる上白石ちゃん。透き通った歌が大好きで。上白石ちゃんにはまってます。

上白石さん:溺れるキャベツ!キャベツの千切りにはまってます!(菅田さん:なんかあった?)いろいろ忘れられます。(菅田さん:スーパー行ったら切りてーってなっちゃうね。)

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志磨さん:溺れる夜更かし。寝るタイミングがわからないんです。毎日寝落ちです。毎晩気絶。

山戸監督:溺れるナイフに溺れます!

映画情報どっとこむ TJ 最後に

菅田さん:大前提として映画って簡単に公開されるものじゃないんですね。多くの人の力で、公開に至ったことを感じた作品でした。俳優部の一人として多くの方に観ていただきたい作品です。

小松さん:撮影は17日間でタイトとでした。撮影が過酷すぎて明日死ぬんじゃないかという感覚があって。撮れなかったシーンもあって、公開初日を迎えられて本当に嬉しいです。

と、思いを込めてイベントを締めました。

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『溺れるナイフ』

11月5日(土)TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショー中です。

映画公式サイト:gaga.ne.jp/oboreruknife


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出演:小松菜奈 菅田将暉
重岡大毅(ジャニーズWEST) 上白石萌音 志磨遼平(ドレスコーズ)

原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別フレKC」刊)

監督:山戸結希
脚本:井土紀州 山戸結希 音楽:坂本秀一

配給:ギャガ
(C)ジョージ朝倉/講談社
(c)2016「溺れるナイフ」製作委員会
  


小松菜奈x菅田将暉x重岡大穀x上白石萌音『溺れるナイフ』完成披露


映画情報どっとこむ ralph 「溺れるナイフ」待望の映画化!11月5日(土)の公開に先立ち小松菜奈、菅田将暉W主演、重岡大毅(ジャニーズWEST)、上白石萌音をキャストと新鋭・山戸結希監督が登壇して完成披露試写舞台挨拶が行われました。

気高く危うい10代の破裂しそうな恋と衝動を描いた、誰も出会ったことのないラブストーリーが誕生しました。

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『溺れるナイフ』完成披露試写舞台挨拶
日程:10月18日(火)
場所:有楽町朝日ホール
登壇:小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅(ジャニーズWEST)、上白石萌音、志磨遼平、山戸結希監督

映画情報どっとこむ ralph キャストと監督が登場すると会場から黄色い歓声と拍手で場内は包まれ!!!
キャスト達は集まってもらった観客に挨拶をする中、重岡さんの番になるとすかさず「ターンして」、「ボタン開けすぎじゃない?」の菅田さんのツッコミに観客からは笑いが!!

続く山戸監督の緊張気味の挨拶に合いの手のごとくツッコミを入れる重岡さんに

菅田さん:しげ、ゆっくり聞いてあげて!

と言えば、

志磨さん:いちいちツッコむのはやめなさい!

とはしゃぐ重岡さんは序盤から飛ばし気味。会場は笑いに!!!

映画情報どっとこむ ralph 昨年9月に和歌山を舞台に17日間という短い期間で撮影された本作は、天候的にも時間的にも厳しかったということから、この日は劇中の場面写真を使い【友情編】、【恋愛編】、【激写編】の3つに分けてのトークイベント。

最初の【友情編】ではクールな言動とその奥に秘めたギャップに夏芽の心をわしづかみにする少年コウを演じる菅田さんとその親友、大友を演じた重岡さんの教室での2ショットが写しだされると会場からは再び黄色い歓声が!

そんな二人は同じ関西出身ということでお互いの第一印象について質問が及ぶと

菅田さん:現場の太陽と言われていた。

と重岡の現場での立ち振る舞いを絶賛。一方で重岡は照れながら

重岡さん:最初は寡黙な人だと思っていました。まとめるとめっちゃ、いいやつ!。

にすぐさま「雑!」とツッコミを入れられ解除爆笑!

続いて、コウの幼馴染で彼を慕うカナを演じた上白石さんは、普通の中学生から少し垢抜けた高校生へとなったカナの比較写真に観客から驚きの声があがった。

上白石さん:実は撮影前に山戸監督から中学生を演じるにあたり体重を増やしてと言われて…。高校生を演じる4日後には体重を元に戻して臨んだんです・・・・。いわゆる高校デビューする劇的ビフォーアフターです。

と会場を笑わせた。そんなストイックな役作りが語られると菅田も同じように体重を減らしていたらしく

小松さん:あれは心配だったよ。

というほどの役者たちも本気で臨んだ撮影秘話が語られた。

映画情報どっとこむ ralph 続けて、【恋愛編】では夏芽とコウが一緒に海に浸かってびしょ濡れになるシーンが写し出されると

菅田さん:『溺れるナイフ』を象徴するシーン。どうですか?

とムチャぶられて

小松さん:え?制服が重いのと、おもりをつけて、お芝居をするのが大変でした。

と撮影のエピソードを披露。この撮影裏話について

菅田さん:小松さんは体質らしくおもりをつけないと沈まないですよ。撮影の時は海の下にダイバーが安全のためにいてくれたのですが、台風直前の少し荒れた海で寒い中を何度も水をかけあったりして大変だったし怖かったです。

と壮絶な現場を語りながら小松とともに助け合いながら乗り切ったエピソードを語った。さらに

菅田さん:重岡さんはどうですか?

重岡さん:普通の恋愛映画は”壁ドン”ですが、”海ドボン”ですね。そして、ただ甘いだけじゃない!…海水だけにね!

とドヤ顔な重岡さんに場内からは歓声と笑いが。続けて、重岡さんと小松さんのバッティングセンターでのデートシーンでは一転して

菅田さん:このまま終わってもいいんじゃないかなと、このシーン好きです。

上白石さん:私もこういうのやりたかった・・・

と願望を漏らす姿に会場からは「かわいい!」と声援が!!!

溺れるナイフ‗広能晶吾1さらに【激写編】では気鋭のカメラマン広能を演じたドレスコーズの志磨さんが演技初挑戦となった本作について

志磨さん:初めてなので何を準備していいかわからなかったので普段バンドをやっているので一般の方よりは写真を撮ってもらっているのでいつも撮ってくれる人をイメージした。

と感想を述べると、撮影機会の多かった小松さんは・・

小松さん:こんなカメラマンさんは実際にいて、はまっていました!

と絶賛。さらに志磨は前身バンド、毛皮のマリーズ時代の名曲「コミック・ジェネイション」の主題歌も監督の要望を受けてドレスコーズとして再録音したことも語られました。

映画情報どっとこむ ralph 溺れるナイフポスター最後に

山戸監督から「今、素晴らしい映画がたくさん生まれる中で”今を生きる女の子の心に寄り添う映画”として、どの映画にも負けないと思っています。そして、キャストのみなさんの輝きが焼きついた映画です。

菅田さん:この作品は山戸監督が見たい世界であり、でも、そこにある気持ちや人間関係はそんなに遠くなく、憧れのような時間でもありました。必死に作った、代表作だと思っています。ぜひ、広めていってください!

小松さん:夏芽にとっても、私自身にとっても、17日の撮影期間は特別なものでした。コウと夏芽が会った時の衝撃のように、皆さんにも何かを感じてもらえたらいいなあと思います。

と会場に呼びかけると大きな歓声が鳴り響く中、大盛況の末、イベントは幕を閉じました。



11月5日(土)TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショー
gaga.ne.jp/oboreruknife/

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小松菜奈 菅田将暉 
重岡大毅(ジャニーズWEST) 上白石萌音 志磨遼平(ドレスコーズ)
原作 ジョージ朝倉「溺れるナイフ」(講談社「別フレKC」刊)
主題歌:「コミック・ジェネレイション」ドレスコーズ(キングレコード)
脚本:井土紀州 山戸結希 
音楽:坂本秀一 
製作:「溺れるナイフ」製作委員会(ギャガ/カルチュア・エンタテインメント) 
助成:文化芸術振興費補助金 
企画協力・制作プロダクション:松竹撮影所 
制作プロダクション:アークエンタテインメント 
企画・製作幹事・配給:ギャガ  
監督 山戸結希
原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別冊フレンド」刊) 
(C)ジョージ朝倉/講談社  
(c)2016「溺れるナイフ」製作委員会



『溺れるナイフ』の山戸結希監督 重岡大毅に呪いを!?


映画情報どっとこむ ralph 好奇心旺盛なカルチャー女子へ向けて、6月に発売した新感覚ファッション・カルチャーマガジン『Maybe!(メイビー)vol.1』の書店イベント第二弾を、渋谷HMV&BOOKS TOKYO(渋谷区神南1-21-3 渋谷モディ6F)で行われました!

Maybe! vol.1の特集テーマ「恋愛ってなんだ?」に関連して、11月5日公開の小松菜奈・菅田将暉出演の映画『溺れるナイフ』の山戸結希さんと、『ゴットタン』をはじめとした多くのヒット番組を持つテレビ東京プロデューサーの佐久間宣行さんが、恋愛と作品づくりの関連性について対談しました。

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『Maybe!』vol.1(小学館)創刊記念イベント第2回
『一流クリエイターになるには恋愛が必須なのか!?』 トーク&サイン会

日時;2016年8月10日(水)
場所:HMV&BOOKSTOKYO 6Fイベントスペース
登壇:山戸結希監督(映画監督)、佐久間宣行(テレビ東京プロデューサー)

映画情報どっとこむ ralph Maybe!(以下M):本日はお二人に、Maybe!について、そして恋愛についてたっぷりお話しいただこうと思っております。まず今回創刊いたしましたMaybe!についてお聞かせください。

佐久間さん:すごいよかったです。〝持ってる〟雑誌だなと思うのが、(巻頭で小説を書き下ろしている)村田沙耶香さんが(このタイミングで)芥川賞とりましたよね。
しかもこのど頭の小説もすごい面白いんですよね。村田さんの作品って、読んでいると、その文章をずっと読み続けたくなる。止まらない。特に男の僕からするとこの短編は、読んでいてすごくひりひりする感じがあります。

山戸監督:すごいですよね(笑)。 狙ってできることじゃない。最初、私と佐久間さんにこの企画が来たとき、二人とも「なんで自分なんだろう?」って(笑)

佐久間さん:佐:そうなんですよね。これだけは先に言っておきますけど、僕と山戸さんで恋愛トークするっていうのは、企画した人すごいなっていう(笑)。

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山戸監督:Maybe!もThis!(※Maybe!の前身のムック)もそうですけど、この雑誌はクリエーターほいほいというか、ものすごい大物食いなんですよね。いつも魅力的なラインナップなんです。今回そのメイビーのやり方の一端を見たのは、最初は、「佐久間さんとトークしませんか?」ってお誘いをいただき、それは是非となり、で、また間をおいて、「今回、雑誌のテーマが恋愛なので佐久間さんと恋愛についてトークしませんか」となって、そしてギリギリになって「佐久間さんと山戸さんのような一流クリエータと恋愛するにはどうすればいいのか」ってテーマが送られてきていました(笑)

佐久間さん:佐:テーマのずらし方がすごい(笑)

山戸監督:This!がVol.1で掲載している映画監督も、濱口竜介監督と私なので、すごく濃いチョイスで。私、This!ってめっちゃいいタイトルだなあと思っていたんですが。大人の事情でMaybe!にタイトルが変更になっちゃったって、うっかりしてて可愛いですよね (笑)。でもこの雑誌、ほんとに続いて行って、(作っている人たちが)それこそ昔で言う『宝島』に関わった編集者みたいな、伝説の編集者のような存在になる気がします。

映画情報どっとこむ ralph 11月5日(土)TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショーの『溺れるナイフ』について

溺れるナイフ佐久間さん:僕は山戸監督の『溺れるナイフ』を見たばっかりなので、それがすごいって話を今日はしたくて。みなさん、まだでしょ?見たほうがいいですよ絶対。映画評論家の宇野さんって方もツイートしてたんですけど、つまんないカットが一個もないんですよ。ほんとに素晴らしくって。菅田さんも小松さんもすごいけど、僕はジャニーズウエストの重岡君とたまに仕事をしてたんですけど、重岡君があんなにすごいと思わなかった。っていうか、女の子だったらずきゅんってきちゃうようなキスシーンとかが、すごくいいっていうのがあってですね。僕、試写見終わったあと、山戸さんに感想送ろうとしたんですけど、いろいろ、メールでは伝えられないなと思って。豪雨だったんですけど、「見終わったら雨が上がってました」っていうわけのわからないポエムみたいなの送ってて。
会場(爆笑)

溺れるナイフss5佐久間さん:そう送っちゃったくらい、いろんなことを考える映画で、素晴らしいんですよ、ほんとに。
山戸監督:忘れがたい思い出ですね、「あ、佐久間さんからメール来てる」と思ったら、「見終わったら豪雨が快晴でした」って内容で (笑) 映画に触れてくれないのかな?って思いました(笑)今まで、乃木坂46さんなど女子のアイドルを撮らせていただいてきたのですが、ペルソナとその個人の身体性をめぐる問いがずっとあって、もし、男子のアイドルを撮るとしたら、こういう方法論に変換して適応できるのになって思っていました。その実験の記念すべき第一弾として、純朴な重岡君にぶち込んでしまいましたね。
佐久間さん:重岡君がそういうタイプの人に見えない、ペルソナがあるタイプじゃなくてそのまんまに近いじゃないですか、それをよく更にやったなっていう。山戸さんすごいことやってるなあって思いましたね。

山戸監督:重岡君には、すくすく育っていってほしいなって思います。
会場(笑)
山戸監督:初映画ではないけれど、初映画みたいな形で呪いをかけたので。
佐久間さん:いや、皆さんも観た後わかります。山戸監督がかけた呪いだなっていうのが、観たらわかるシーンでしたね。
山戸監督:すくすく育って行く呪いです。

映画情報どっとこむ ralph 佐久間さん:佐:誰と出会っても余暇だなって思うくらい、10代は恋愛してたの?
山戸監督:言葉にすると「どうした!?」って感じですけど、女性の真実はそうなんじゃないでしょうか。愛と夢という選択肢が立つ前に、デフォルトとして、恋愛に対して被支配的な状況に置かれているというのか。恋は、何も与えられなかった地方の女子中高生にとっての、唯一のエンターテイメントですから。今はネットが普及してるかもしれないけど、でもネットだって結局ポルノとか社会的なモテとかにたどり着いちゃうから。ただ与えられた自分の体だけでどこまでいけるか、自分のすごく限定的な身体でどこまでいけるかっていうゲームしか地方の女子にはエンタメとしてなくって、恋愛するしかないという感じだったので。やっぱりそこに対して、マジで恋愛よりも面白いものがあるって射光させたいですけどね。それは最初から芸術の形だと届かないから、きっと、恋に一番良く似た芸術みたいなものになると思うんです。映画『溺れるナイフ』が、本当にそういうふうに届いて欲しいですね。

佐久間さん:監督が映画撮りたいって思ったのはいつ頃なんですか?
山戸監督:それもすごく遅くって、大学2年生の終わりに映画研究会を立ち上げようかということになって。大学3年生の春にみんなを集めて処女作を撮りました。大学3年生って就職活動をする時期なので、変な傾きで映画に寄って行ってしまって、不思議な時期でしたね。

佐久間さん:最初に撮ったのが、『あの娘が海辺で踊ってる』。すごすぎますよね。監督は作風に、実体験はでるんですか?溺れるナイフは原作があるけど、今まで撮ったものとか。
山戸監督:フィクションの中でしか真実は物語れないのだと思いますね。現実の言葉で、今個々で、「今三年間付き合ってる彼氏がいて」って言ったときに、言葉にしちゃうと何かが決定的にすれ違ってしまう。世界でたった一人の人間を見つめながら、この宇宙でたった一回の恋だと思って生きた時間は、フィクションの中でだけきらめくことができるというのでしょうか。

佐久間さん:『おとぎ話みたい』みたいな映画って、どうやって着想するんですか?
山:今回Maybe!で恋愛っていうテーマをいただいて考えたことなのですが、今まで自分が恋愛映画だけを撮っているっていう自覚が全くなかったですね。ただ事実として、恋愛映画だけを撮って来ているんですけど、「ラブを撮ろう」と思って撮ってるわけじゃなくて。若い10代の肉体の実存にかかわる問題として、何が決定的に響いてくるのかを考えたときに、女の子の10代の人生を揺るがすものが恋でしかないっていうのがあったんでしょうね。結果、若い女の子を撮ろうとしたときに決定的にいつも恋が絡んできていたっていう感じですね。『おとぎ話みたい』もそうだったのかな。あらすじにしちゃうと「若い女の子が先生に恋をする話」っていうめちゃくちゃ定型的で、あちこちにあるような愚かな恋愛とか憧れでしかないんですけど、ただその中にある内的な一回性の真実として、10代の恋愛を撮りたいっていうのがあったんです。

M;じゃあ、佐久間さんと山戸さんと付き合うのはどうしたらいいですか?
山戸監督:「一流クリエーターと恋愛するには」というクエスチョンには、二つ解があると思いますね。一つ目は、「自分が超一流クリエーターになること」。そうすれば、一流クリエーターと付き合うのは簡単です。みなさん、静寂ですね(笑) 二つ目は、「その人を超一流クリエーターにしてあげようと動くこと」ではないでしょうか。代替の効かない恋愛を望むには、その二つしか、道がない気がしますね。

佐久間さん:いや、僕も全く同じです。そう思いますね。僕は大体、映画が好きな人とか趣味が合う人とは長く続かなかったんですよ。それはなんでかっていうと、同じ映画とか漫画が好きな人って、最終的に価値観の決裂が訪れるんですよね。唯一結婚できたのは、好きなものはちゃんとあるんだけど、別々で映画観に行くとか、意見は言わないとか、そういうことの出来る相手で、だから結婚できたんですけど。
山戸監督:すごい勉強になりますね。結婚、面白そうですね。

佐久間さん:ぼくは12年結婚してるから一概に言えないけど、身を削るときもよかったなって思う時もある。人と一緒に暮らすっていうのは、おもしろいです。
山戸監督:恋愛って言語化できないんですけど、だから一生語らなくてもいいものだと思うんですが、結婚って言葉として社会化されるじゃないですか。普通の夫婦はこうというように規定もされるし、その問いもきっとスリリングですよね。

佐久間さん:ホントに普通の夫婦ってないじゃないですか。それぞれそれなりに地獄を抱えてるっていうか…夫婦とか家族っていうのは全部が幸せじゃないですからね。それ
ぞれの零れ落ちちゃう地獄みたいなものを持っていると思います。

山戸監督:恋愛って、「恋に落ちる」とか、「心を奪われる」っていうじゃないですか、でもきっと、その状態では夢は叶わなくて。自分の心の輪郭を知ると、きっと夢は叶います。芸術は心の発露だから。夢を叶える恋っていうのは、心奪われる恋ではない。そうではなくて、自分の心が自分の心のままで、好きな人が自分の心に触った時、「あ、そんなところに私の心の形あったんだね」って、心の形の輪郭を教えてくれるような恋。そういう恋があるんだと思いますね。そういう恋は必ず芸術に姿を変えてゆくと思うので、心を奪われずに、自分の心のままで相手を見つめるということで、頑張ってほしいですね。他にも、貴重なお話が多かったeventですが。。映画中心でのお話抜粋しました。

映画情報どっとこむ ralph 破裂しそうな10代の恋と衝動。

★ストーリー★
あの頃、君が世界の全てで、私たちは永遠だと信じていた―。

溺れるナイフポスター溺れるナイフポスター15歳の夏。東京から遠く離れた浮雲町に越してきた、人気モデルの望月夏芽(小松菜奈)。退屈でウンザリするようなこの町で、夏芽は体を貫くような‘閃光’と出会ってしまう。それは、コウと呼ばれる少年・長谷川航一朗(菅田将輝)だった。

傲慢なほどに激しく自由なコウに、反発しながらも、どうしようもなく惹かれてゆく夏芽。コウもまた、夏芽の美しさに対等な力を感じ、やがてふたりは付き合いはじめる。「一緒にいれば無敵!」という予感に満たされるふたり。しかし浮雲の夏祭りの夜、全てを変える事件が起きるのだった。

失われた全能感、途切れてしまった絆。

傷ついたふたりは、再び輝きを取り戻すことができるのか。未来への一歩を踏み出すために、いま、ふたりがくだす決断とは 。

11月5日(土)TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショーです。
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出演:小松菜奈 菅田将暉 重岡大毅(ジャニーズWEST) 上白石萌音
志磨遼平(ドレスコーズ) ・ 斉藤陽一郎 嶺豪一 伊藤歩夢 ・ 堀内正美 市川実和子 ミッキー・カーチス

原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別フレKC」刊)
監督:山戸結希 脚本:井土紀州 山戸結希 音楽:坂本秀一
製作:「溺れるナイフ」製作委員会(ギャガ/カルチュア・エンタテインメント)
企画協力・制作プロダクション:松竹撮影所
制作プロダクション:アークエンタテインメント
配給:ギャガ

原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別冊フレンド」刊)

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「Maybe!」概要
発売日;2016年6月16日(木)
定価;本体800円+税
判型;A4変形判116ページ
「Maybe!」公式サイト

※新芥川賞作家の村田沙耶香さん、人気モデル、女優の玉城ティナさん他、各界からMaybe!を絶賛するコメントが届いています。推薦コメントはHP上を日々更新しております。

出演者プロフィール
山戸結希(映画監督)
Maybe!前身の『This!』「あこがれの仕事につく100人の図鑑」企画に登場。『Maybe!』では「君がポカリを飲む頃は」と題したポカリスエットの企画を書き下ろし。2014年に『5つ数えれば君の夢』が渋谷シネマライズの監督最年少記録で公開され、『おとぎ話みたい』がテアトル新宿のレイトショー実写動員を13年ぶりに更新。2015年、日本映画プロフェッショナル大賞新人賞を受賞。11月5日に小松菜奈・菅田将暉主演の最新作『溺れるナイフ』公開予定。

佐久間宣行(テレビ東京プロデューサー)
Maybe!前身の『This!』「あこがれの仕事につく100人の図鑑」企画に登場。大ヒット番組『ゴッドタン』のほか、既に4作を重ねている『ウレロ☆未確認少女』シリーズ、コントドラマ『SICKS〜みんながみんな、何かの病気〜』、BSジャパン『文筆系トークバラエティ ご本、出しときますね』など数々の話題作を手がける。


村田沙耶香『溺れるナイフ』愛を語る!試写会&トーク@和歌山県


映画情報どっとこむ ralph 洗練された世界観と、リアルな心理描写で熱狂的に愛され続ける少女マンガ「溺れるナイフ」を小松菜奈、菅田将暉W主演、重岡大毅(ジャニーズWEST)、上白石萌音で映画化!

監督は、日本映画界最注目の新鋭・山戸結希。気高く危うい10代の破裂しそうな恋と衝動を描いた、誰も出会ったことのないラブストーリーに。

この度、8月5日(金)に本作の舞台となった和歌山県新宮市にて、『溺れるナイフ』公開を記念し、熊野大学Presents 試写会を実施。

村田沙耶香さん、田中康夫さん、浅田彰さん、中森明夫さんなど作家陣も参加しました。

今回、実施された試写会には、山戸監督と本作の脚本と務めた井土紀州が駆けつけ、「コンビニ人間」(文藝春秋)で第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香さんと、王様のブランチのブックコーナーなどでもお馴染みの文芸批評家の市川真人さんによるクロストークが行われました。

『溺れるナイフ』愛を語る!_1
「熊野大学」とは、20世紀の日本文学を代表する作家・中上健次の名を冠にし、中上健次の出身地である和歌山県新宮市で、日本を代表する文学者たちが継続してきた文化を発信する勉強会。中上健次の命日である8月頭に毎年開催され、吉本隆明さん、浅田彰さん、いとうせいこうさん、島田雅彦さん、東浩紀さん、青山真治さん、中村文則さん、都はるみさん、瀬戸内寂聴さんら多彩なゲストが参加してきた勉強会です!

映画情報どっとこむ ralph 『溺れるナイフ』試写会プレトーク

『溺れるナイフ』愛を語る!_4
日付:8月5日 
場所:ジストシネマ南紀
登壇者:山戸結希監督 伊土紀州(脚本家)市川真人(評論家)

市川さん:中上健次の名を冠した今年で24年目のシンポジウムで、なぜこの映画『溺れるナイフ』を上映するのか?という話ですが、まずジョージ朝倉さんの原作漫画がものすごく中上的な漫画、浮雲町という架空のほぼ、ここ新宮や南紀を舞台にして描かれた一人の少年と少女の青春ドラマありつつ、中上を読んだ人が読めばあちこちに中上健次の思想がある。原作のジョージ朝倉さんも中上健次を愛読していたと後から知ったが、ここには中上健次が描こうとしたものが漫画の形でここにあるという作品。たまたま、中森明夫さんのご紹介で山戸結希さんという非常に若くて才能のある映画監督に出会い、ジョージ朝倉さんの『溺れるナイフ』を撮っていて、今年の秋に公開だと聞き、これはどうしても熊野でみなさんと観なければならない映画だと、様々な方にお願いし、本日ここで上映する運びとなりました。脚本は、熊野でかかわっていらっしゃって青山真治監督の『路地へ 中上健次の遺したフィルム』でも中上の朗読をしている井土紀州さんが書かれています。脚本家・映画監督である井土紀州さんです。

井土さん:僕は同じ和歌山県尾鷲の出身です。最初、お話をいただいたときは、少女漫画かぁと思ったが、読んでみると神倉神社?火祭り?とコマが沢山あり、漫画全体のテイスト含め、中上健次の影響を受けた漫画家だ、だったらいけるかもしれない、と引き受けました。中上健次からとてつもない影響を受けた僕が、関係ない土地で仕事をしているのに、またこうして中上に引き戻されるのは不思議だなと感じています。

山戸監督:和歌山では17日間の撮影を濃密に過ごしました。ここに来ると、血が沸き立つような不思議な土地の力を感じ、グッと体の芯が熱くなります。ジョージ朝倉先生の『溺れるナイフ』は私たち世代の女の子にとって熱狂的な作品であったのですが、その作品に映画監督として関わった際に中上健次さんの名をとても聞くようになり、憧れのジョージ先生が愛読されていた、大切な作家さんであるということを知りました。こんな風に「孫」ではないですが、隔世遺伝のような形で、ジョージ先生の作品を通して、中上健次さんの熱が、伝播して映画を撮らせていただきました。これは、ティーン向けの中高生の女の子が観てくれる映画なのですが、もし映画『溺れるナイフ』を観てくれた子が熱を受け取って何か表現してくれたら、きっとみんないつのまにか中上さんに出会ってしまうし、この土地の力が、波紋のように広がっていけばよいなと思います。

映画情報どっとこむ ralph 『溺れるナイフ』× 中上健次 クロストーク

『溺れるナイフ』愛を語る!_3
日付:8月6日
場所:高田グリーンランド
登壇:山戸結希監督x村田沙耶香(作家)伊土紀州(脚本家)x市川真人(評論家)

市川さん:昨日に続き、今日は更に作家の村田沙耶香さんもお招きし、『溺れるナイフ』と中上健次について話していきたいと思います。『溺れるナイフ』がどのような点において、中上的かというと、全能感を失った若者たちがいかにしてそこからもう一度、立ち直れるかという物語であるということ。コウちゃんという少年は神の子のように美しく、また非常に軽やかな若者。そんな彼が自分の最愛の女の子を守りそこねた瞬間から、いわば堕天使がもう一度、天に登るにはどうしたらいいかという話があり、一方、夏芽という女の子も東京の人気モデルであったが地方に転校して、ある事件によってある種の堕天があり、もう一度どうやって羽ばたくのかという、2つの堕天と再生の物語。「堕天」「全能感の喪失」は中上健次に刻まれている。また、田舎という遅れた都市が、都市になろうとする軋みも、中上健次が描いてきた。ジョージ朝倉さんは中上健次を愛読されていた。中上的なもの、いわば文学的なものは21世紀にどう創作可能なのか?我々は考えていかなくてはならない。

『溺れるナイフ』愛を語る!_2
山戸監督:ジョージ先生が真摯に向き合われている主題として、少年少女は完全な理想を目指すが、少年少女であるがゆえに、不完全な真実が露呈してしまう。それでも、夢を見ることは出来るのか?どんな夢を見るのか?というテーマがあると思います。少女漫画の世界では、恋をしたら永遠に結ばれるけれど、ジョージ先生はもっと真実の世界を見ている。全ての女性の人生には、菅田さん演じるコウちゃんのように、憧れを抱かせる男性と、あるいは重岡さん演じる大友のように、お互い等身大で自分を救ってくれる男性が存在する。けれど、憧れには終わりがあるし、等身大に甘んじては自己実現は果たされない。ジョージ先生が描く、その選択と結末は、鮮烈でした。そんなジョージ先生の漫画『溺れるナイフ』が中上健次さんと繋がって考えられることが、未来の中上読者としては楽しみで、新しい希望ですね。

村田さん:大学の頃から、女の子の思春期の恋の話が好きで、もっと痛いものをずっと求めていました。ジョージ朝倉先生の「ハートを打ちのめせ!」を中学生に読んだとき、こういうものが本当に読みたかったと思いました。ある日、思春期の女の子をとことん書いてみたいと思った時、自分が育ったニュータウンに住む女の子を書いたのですが、それはジョージ先生が描く 「場所に縛られる」という事に衝撃を覚え、影響を受けたからです。『溺れるナイフ』も大好きです。思春期の女の子の切実さ、コントロールができないものの衝動を目立たないタイプの女の子ではなく、あえて目立つタイプの女の子というのが鮮烈でした。『溺れるナイフ』は少女コミックなのに「暴力」もきちんと描かれていて、以前は登場人物の暴力についてはあまり好きではなかったんですが、何度も読み返すうちに、だんだんと理解できるようになってきました。イヤじゃなくなってきた、というか…。暴力が衝動になるというのが、自分にはないので、好奇心とでもいうのか、それが中上健次的テーマであるならば、『溺れるナイフ』を通じて理解できたと言うことでしょうか。


映画情報どっとこむ ralph 溺れるナイフポスター物語・・・
あの頃、君が世界の全てで、私たちは永遠だと信じていた―。
15歳の夏。東京から遠く離れた浮雲町に越してきた、人気モデルの望月夏芽(小松菜奈)。退屈でウンザリするようなこの町で、夏芽は体を貫くような‘閃光’と出会ってしまう。それは、コウと呼ばれる少年・長谷川航一朗(菅田将輝)だった。傲慢なほどに激しく自由なコウに、反発しながらも、どうしようもなく惹かれてゆく夏芽。コウもまた、夏芽の美しさに対等な力を感じ、やがてふたりは付き合いはじめる。「一緒にいれば無敵!」という予感に満たされるふたり。しかし浮雲の夏祭りの夜、全てを変える事件が起きるのだった―。失われた全能感、途切れてしまった絆。傷ついたふたりは、再び輝きを取り戻すことができるのか。未来への一歩を踏み出すために、いま、ふたりがくだす決断とは― 。

溺れるナイフ

公式HP:
gaga.ne.kp/oboreruknife/

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出演:小松菜奈 菅田将暉  重岡大毅(ジャニーズWEST) 上白石萌音 
志磨遼平(ドレスコーズ) ・ 斉藤陽一郎 嶺豪一 伊藤歩夢 ・ 堀内正美 市川実和子 ミッキー・カーチス

原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別フレKC」刊)
監督:山戸結希
脚本:井土紀州 山戸結希 音楽:坂本秀一 
製作:「溺れるナイフ」製作委員会(ギャガ/カルチュア・エンタテインメント)
企画協力・制作プロダクション:松竹撮影所
制作プロダクション:アークエンタテインメント 
配給:ギャガ  

原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別冊フレンド」刊) 
(C)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会