世界的大文豪・谷崎潤一郎が産み出した“歪んだ純愛”が、現代に甦る!
マゾヒズム、フェティシズム、甘美な毒に酔う人間の性を、新感覚で描くフェティッシュな作品! 谷崎潤一郎は日本だけでなく、世界でも高い人気を誇る、言わずとしれた近代日本文学の大文豪。代表作「痴人の愛」、「細雪」、「春琴抄」など数多くの作品が映画化され、愛されてきました。谷崎文学の神髄は、人間の業ともいえるマゾヒズム、フェティシズム、甘美な毒に酔う人間の性。そのエッセンスを濃縮した膨大な数の短編作品の中から、年齢もキャリアも異なる3人の映画監督が、自分たちの描きたい作品を選び、それらの作品を原案に、3本の現代劇として甦らせました。 1月27日公開の『神と人との間』、2月10日公開の『富美子の足』につづく、第三弾となる藤井道人監督『悪魔』が2月24日、初日を迎え、主要キャストの吉村界人、大野いと、前田公輝、遠藤新菜、藤井道人監督が登壇する初日舞台挨拶をテアトル新宿で開催しました。 谷崎潤一郎原案 / TANIZAKI TRIBUTE |
|
『悪魔』は、いつも死の恐怖に怯え、強迫観念に襲われ続ける大学生の佐伯(吉村界人)が、魔性の色気と魅力を持つ下宿先の娘・照子(大野いと)に出会い、心を惑わされ、さらに照子を偏愛する同居人の鈴木(前田公輝)を巻き込んだ極上のサスペンス的新感覚ムービーです。
この日、新作の撮影で福岡にいた吉村さんは、この舞台挨拶のために飛行機で緊急帰京。 吉村さん:(谷崎潤一郎作品は)学生時代から読んでいました。でも『悪魔』は読んでいなかったんです。(いち読者から、佐伯を演じることになって)俳優っていいことがあるな、と。良い職業に就いたなと思いました。(一見難しそうな役作りも、主人公である)佐伯が、昔から今も絶え間なく僕の心の中にいました。僕が佐伯に近づくというよりは、佐伯が僕の中にいたので、(演じていて自分と佐伯の)切り替えが難しいということは無かったです。 と、数多くの谷崎作品の中で、『悪魔』と運命的な出会いをしたことを明かしました。 そして、高校生ながら不思議な色気と魅力を持ち芳村さん演じる佐伯を惑わす大野さんは 大野さん:役作りはとても難しかったです。オファーを頂いた時は、私とは正反対の女の子ですし、男の人を誘惑するような役は楽しみでした。でも照子は冷酷なところが多くて、精神的にも、とても体力を使う役でした。 と、谷崎文学ならではの独特な女性像と自身との違いに苦労したよう。 また、狂気ともいえる異色のキャラクター・鈴木を演じた前田さんは、 前田さん:(鈴木は)照ちゃん(=照子)を愛するが故に、ピュアな恋愛感情の表現(の仕方)が曲がっただけなので、撮影現場では照ちゃんの王子様でいようと思っていました。 と、子役から長年役者をやり続けているからこその特異な役作りを披露しました。 |
|
佐伯の大学の同級生で、ストーリーのキーパーソンとなる、あゆみを演じて、
遠藤さん:登場人物たちみんな様子がおかしい人しかいない中で、あゆみはその中では普通の人であるという解釈をしています。救いというかほっとする役どころになったらいいなと思いながら演じました。 と、三人との微妙な距離感を保たなければならない難しさを語りました。 藤井道人監督は 藤井監督:(TANIZAKI TRIBUTEシリーズ)発起人の内田英治監督からオファーを頂いた時に、この『悪魔』と出会って、主人公・佐伯の心の深い部分が現代に解釈しても凄く共感できたので、この『悪魔』にトライすることに決めました。 と、この『悪魔』を選択した理由を語りました。 |
|
そんな、本作のタイトル『悪魔』にかけて、それぞれにとっての「悪魔とは?」と聞かれると、
吉村さん:台詞に頼らず体現する役者にならなければいけないと言う藤井監督が悪魔的にきつかったです(苦笑) と本音をポロリ。 前田さん:(劇中で対峙する)吉村界人です(笑) と率直に答えると、 藤井監督:香盤表(その日の撮影スケジュール表)を見せる時の役者たちが、怖くて。この現場はとても寒かったし、朝から深夜まで大変な現場だったと思う。 と撮影現場の過酷さを伺わせた一方で、 遠藤さん:この映画の大野さんの目は本当に小悪魔そのもの! と大野さんの魔性っぷりを大絶賛!それを受けて 大野さん:(遠藤さん)好きです!大好きです! と、すぐ隣に立つ吉村や前田を飛び越えて感謝のラブコールを送り、会場は温かな笑いに包まれました。 |
|
舞台挨拶の最後に・・・
監督:自分なりの悪魔に向かい合いながら、若いチームで団結力をもって挑みました。 とアピール。 大野さん:大学の谷崎大ファンの友人が(先月の先行上映会で)観てくれて、本当に良かったと感想を言ってくれたので、皆さんも楽しんで観ていただけると思いますし、ラストシーンは、照子の本性が観られるので、ラストまでしっかり観ていただけたら嬉しいです。 と熱く語りました。 吉村さん:明るい映画じゃないですけれど、登場人物全員心弱き者なんです。役者として社会的に弱き者を演じることが出来て嬉しいし、僕は(これからも)そうでありたいと思っています。 イベントを締め退場する登壇者に会場からは大きな拍手が起こりました。
2018年2月24日(土)公開 公式ウェブサイト: 公式Twitter: 大学入学のため上京した佐伯(吉村界人)は、閑静な住宅街にある林邸に下宿する。林家には大家の千枝、高校生ながら不思議な色気と魅力を持つ千枝の娘・照子(大野いと)、そして、照子を偏愛する林家の親戚にあたる鈴木(前田公輝)が住んでいた。佐伯は、アルコールにおぼれ、幻覚に苦しみ、大学にもなじめない。そして、下宿先では、照子が佐伯の部屋へ頻繁に訪れ、小悪魔のように佐伯の心を惑わしていくのだった。ふたりの様子を見た鈴木は、佐伯に対し、照子に近づかないよう警告をする。反発する佐伯だったが… 監督:藤井道人 |
|
TANIZAKI TRIBUTE 近代日本文学の大文豪・谷崎潤一郎が産み出した3作品が、3人の映画監督により、3本の現代劇として甦りました。 『神と人との間』予告 『富美子の足』予告 『悪魔』予告 |