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『BPM ビート・パー・ミニット』ジャーナリスト北丸雄二トークイベントレポート


映画情報どっとこむ ralph この度、第70回カンヌ国際映画祭においてグランプリを受賞作『BPM ビート・パー・ミニット』が2018 年3月24日(土)より公開となります。

エイズ患者や HIV 感染者への差別や不当な扱いに対して、抗議活動を行う団体 ACT UP のメンバー だったというロバン・カンピヨ監督自身の経験がベースにした物語。

1990 年初めのパリを舞台にACT UP Paris で活動するHIV感染者ショーンを主人公として限られた命の中で社会の変革に挑んだ若者たちの姿を鮮烈に描かれる。この度、作家でありジャーナリストでもある北丸雄二氏をゲストに迎えたトークショーを、3月13日(火)に開催しました。

『BPM ビート・パー・ミニット』トークイベント概要
日付:3月13日(火)
場所:神楽座
トークゲスト:北丸雄二(作家/ジャーナリスト)
司会進行:門間雄介(映画ライター)

映画情報どっとこむ ralph 実際にニューヨークで「ACT UP」を取材した経験もある北丸氏が「これはドキュメンタリー映画だったのかと錯覚し て混乱していました」というほど当時の若者たちの勢いを鮮烈に切り取った本作について語りました。

北丸さん:1993 年の 2 月に N.Y.にいました。友人の HIV 患者に花を届けに行き、こ の時初めて、HIV の人と長く話したことをこの映画を観て思い出しました。

門間さん:当時 N.Y.にいらっしゃって、アクトアップの活動も間近で見ていたとい うことでしょうか?

北丸さん:この映画を観てドキュメンタリーを観ているようだと思いました。当時 あのような議論はとても活発に行われていて、議論の際に指を鳴らすところや、 激論を交わす際のリアリティがあり、とてもよく再現されていると思いました。 当時、エイズには二つの戦いがありました。ひとつは医療での戦い。もう一つ は、言論、いわば風評との戦いです。その頃エイズは、社会的な汚れを引き受 けさせられていました。ゲイに関わる病気は、宗教的な天罰なのだという認識が社会的に広がっていました。こうい った言葉には、言葉と論理で対抗しないといけない、という動きがありました。

門間さん:そういう時代の熱と、人間同士の物語がとても生々しく描かれた映画ですよね。

北丸さん:はい、この映画に描かれていることは全部本当です。友達や家族がバタバタと次々に死んでゆくんです。そし て、生き残った人間の罪悪感というものがありました。その罪悪感を感じた数パーセントの人が言葉を武器に立ち上 がったんですね。それがまさにアクトアップだったんです。

門間さん:エイズやゲイに関する映画が多く出てきたのもこの時期だったと思います。

北丸さん:ロック・ハドソン、ジャック・ドゥミ、ミシェル・フーコー、フレディ・マーキュリー、キース・ヘリングな ど、その頃、多くの著名人がエイズで死んでいきました。ブロードウェーなどは、関係者がどんどんエイズで死ぬの で、一時は新作がなかったほどです。いわば戦争ですね、日常生活の戦争がありました。

門間さん:最後に真っ赤なセーヌ川が出てきます。あれは実際にあった出来事ですね。

北丸さん:はい、アクトアップなどの活動はとにかく行動主義でしたので、そのとても象徴的な出来事ですね。各地でたくさんの行動がありました。映画の最後に「メメントフィルム」という言葉が出てきます。あれはイタリア語の「メメントモリ=死を思い起こせ」という言葉から取ったものだと思います。最後に、私は、なぜ今この映画が作られた のか、ということが大事なことだと思っています。トランプ政権になった今、人間を大切にするというのはどういう ことなのか、という点において、非常に意味のある映画だと感じています。何か個人が本当に困った時に、権力はこういう風に牙を剥くのだというメッセージが、この作品には込められていると思っています。

映画情報どっとこむ ralph 『BPM ビート・パー・ミニット』
原題:120 battements par minute
英題:BPM(Beats Per Minute)

3月24日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、ユーロスペース他にて 全国ロードショー

生きて、愛して、闘った――!! 90 年代、パリ。愛と叫びを武器にショーンは世界を変えようとした。 生きたいと強く願い、社会と闘った若者たちの生命の鼓動(ビート)は今も激しく鳴り響く。 舞台は 1990 年代初めのパリ。エイズの治療はまだ発展途上で、誤った知識や偏見をもたれていた。「ACT UP Paris」のメンバーたちは、新薬の研究成果 を出し渋る製薬会社への襲撃や高校の教室に侵入し、コンドームの使用を訴えたり、ゲイ・プライド・パレードへ参加するなどの活動を通し、エイズ患者や HIV 感染者への差別や不当な扱いに対して抗議活動を行っていた。行動派のメンバーであるショーンは、HIV 陰性だが活動に参加し始めたナタンと恋に 落ちる。しかし、徐々にショーンはエイズの症状が顕在化し、次第に ACT UP のリーダー・チボーやメンバーたちに対して批判的な態度を取り始めていく。 そんなショーンをナタンは献身的に介護するが…。生と死、理想と現実の狭間で揺れ動きながらも、強く生きる若者たちの生き生きとした表情や行動、濃 厚で鮮烈な彼らの人生に、観る者の鼓動は高鳴り、激しく心を揺さぶられる。

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