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福山雅治の神対応で生Q&Aを追加!『三度目の殺人』


映画情報どっとこむ ralph 是枝裕和監督最新作『三度目の殺人』が、9月9日(土)より公開を迎え大ヒットスタートを切っています!

『そして父になる』から4年、是枝監督と2度目のタッグとなる福山雅治を主演に、是枝組初参加となる名優・役所広司を迎えた本作は、監督が近年描いてきたホームドラマから一転し、かねてより挑戦したいと考えていた法廷を舞台にした心理サスペンスです。

そしてこの度、本作の大ヒットを記念して、主演を務めた福山雅治さんと、さらにトロント国際映画祭から帰国直後の是枝監督が久々の再会!イベントは、一般の方から募った質問にお二人に答える形式!

が、せっかくだから、皆さんから質問を受けようよ!で、急きょ生Q&A大会に。

映画『三度目の殺人』公開記念舞台挨拶
日付:9月19日(火)
場所:TOHOシネマズ スカラ座
登壇:福山雅治 是枝裕和監督

映画情報どっとこむ ralph コンサート会場のような大歓声の中、登場の福山雅治 是枝裕和監督。

福山さん:どうも今晩は!観終わった後ですよね?そういう感じのリアクションだと思ってませんでした!

と、少々戸惑い気味の福山さん。ですが嬉しそう。
事前にWEBで募集した質問に答えるイベントがスタート。

Q:4年前のタッグから、変わったことと、三度目のタッグはありますか?

福山さん:監督も僕も年を取ったなと。先日TVで「そして父になる」観て、リリーさんが凄い若い。リリーさん進行が速い。三度目のタッグですよね。僕は1本と言わず何本でも・・・。

是枝監督:思ってます。スッゴイ悪い奴。(福山さん:当てが気ですか?)犯罪者をどこかで描きたいなと。いくつかの企画のキャッチボールはしています。

福山さん:どっちが観たい。犯罪者!(拍手)神対応、パニーニ的なの!(拍手&笑)

どちらにも監督が同意の拍手!どちらに転んでも、再タッグが!なファンには朗報に。

映画情報どっとこむ ralph ベネチア、レッドカーペット格好良かったですよね。現地の反応は?

是枝監督:現地の方たちも受け止めてくれた感じはしました。暖かかったです。お墓の十字架壊したところで、声が出たこと。敬虔なクリスチャンの方だ思います。面白かったですね。

福山さん:映画の内容のせいでしょうか。空気は堅かったんです。良くないのじゃなくて集中ししてるのを感じましたね。終わってすぐ拍手来ないかと思ったら、すぐスタンディングオベーション始まったのは驚きでした。

と、驚きを感じるもさらなる驚きが福山さんに!

福山さん:上映終わってすぐに監督が、僕の膝に手を。やっと安堵されたんだなと。その手を握ろうか・・・・照れちゃいました。

Q:もやもやした気持ちになりましたがこれは監督の意図した狙い?

是枝監督:狙いです。初めて見た、もやもやもや。主人公がはっきり真実がつかめないで、彼がもやもや、悶々として。裁判所を出る。その気持ちを感じながら劇場を出ていただく。もやもやしてるなら成功かな。

福山さん:監督にどうなっちゃうんですか?って聞きました。参加型のエンターテインメントとと最初から言っていましたから。まあ、三度目観てからメキシコへ行って、その解釈がわかったんです!と監督に伝えたら、まだその向こうがあると、返されました。

Q:19歳。2度目は、どの角度から見るといいですか。

是枝監督:二十歳になってみると違うかも。

福山さん:『地獄の黙示録』『ディアハンター』、大人になってから見ると違う観方になる。20、25、。。。とかね。

是枝監督:誰目線で見るかでも、違いますよね。でも何度も来てくれとはね(笑)。トロントの取材で三度目に殺されたのは?と言う質問が来て、逆になんだと思うと聞いたら「TRUTH(真実,真相,事実)」ではないかと。いい答えだなと。今使いました。

映画情報どっとこむ ralph ここで、MC荘口が「お時間です」と、切り出すと
福山さん:一つ二つ折角ですから、皆さんから聞きましょうよ!

と、急きょ生Q&Aに。

Q:三度目観たお客さん。雪のシーンで、足跡が別の方向にあるのは、意図?

是枝監督:あれは動物の足跡。意図に見えるでしょ。いい具合なんで残しました。

と、チャンと監督のファンに伝わってる。

Q:階段が印象的でした。階段マニアには

福山さん:父になるの時も階段を撮りに行きましたよね。

是枝監督:あの法律事務所は階段で選んでます、法廷も階段。階段好きなんですよ。光とか角度とかワクワクします。

福山さん:意図って届くんですね。もう一個。

Q:みんな 誰かの娘。特に最後に出てくる小さい女の子とか、意図があるのですか?

監督:どう詰めていくのか、接していくのか。雪景色の共有。そして、同じように娘との関係に、失敗している。その3人を形にしたポスターにしています。最後の小さい女の子は・・・そこまで考えていませんでしたが、それ使わせていただきます。

映画情報どっとこむ ralph 最後に

是枝監督:チャンスがあれば、またやりたいですね。

福山さん:大筋に向かうべく、細かいところまで作りこんだのが映画になっています。届くものは届くんだなと思いました。良かったなと思う瞬間でした。

三度目の殺人

公式HP:
gaga.ne.jp/sandome


過去記事:
ベネチア レッドカーペットの模様はこちら


初日舞台挨拶の模様はこちら


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監督・脚本・編集:是枝裕和 (『そして父になる』『海街diary』)
撮影:瀧本幹也(『そして父になる』『海街diary』)
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ(『最強のふたり』)
撮影:瀧本幹也(『そして父になる』『海街diary』)
美術監督:種田陽平(『キル・ビルVol.1』『空気人形』)
出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず、吉田鋼太郎、斉藤由貴、満島真之介、市川実日子、橋爪功
製作:フジテレビジョン アミューズ ギャガ
配給:東宝 ギャガ
(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ
     


北野武監督9度目のベネチア国際映画祭!『アウトレイジ最終章』


映画情報どっとこむ ralph 第74回ベネチア国際映画祭の<クロージング作品>として、北野武監督18作目となる最新作『アウトレイジ最終章』(10月7日(土)より全国公開)の世界最速上映が実施され、上映前後には<記者会見>も行われました。
‘OUTRAGE CODA’ photocall – 74th Venice Film Festival, on 9th September, 2017 , Venice, Italy

ベネチア国際映画祭
日時:9月9日(土)
登壇者:北野武監督 森昌行プロデューサー

映画情報どっとこむ ralph 北野監督とベネチア国際映画祭の関わりは深く、これまでに第54回ベネチア国際映画祭にて『HANA-BI』が最高賞である金獅子賞、第60回ベネチア国際映画祭にて『座頭市』が監督賞にあたる銀獅子賞を受賞しています。また『アウトレイジ』シリーズとしては、第1作目『アウトレイジ』が第63回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて上映、第2作目『アウトレイジビヨンド』が第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門にて上映されており、3部作全てが世界三大映画祭にて上映される快挙となりました。


約150ものマスコミ媒体が駆けつけ、上映前に行われた公式記者会見には、北野武監督と森昌行プロデューサーが登壇。はじめに、本作で表現したようなちょっと時代遅れのヤクザを語る映画、そしてバイオレンス表現の変遷について質問が及ぶと監督は、
‘OUTRAGE CODA’ photocall – 74th Venice Film Festival, on 9th September, 2017 , Venice, Italy

北野監督:実は拳銃と一方的な暴力を除けば、現代社会の普通の企業の構造にかなり似ていて、私が演じた大友というヤクザも、古いタイプのサラリーマンであって、今の世の中では犠牲になる、というような話に言い換えることも出来ます。エンターテインメントとしてのバイオレンス映画として考えると、古いヤクザの抗争を描くのは面白いなと思います。『アウトレイジビヨンド』という2番目の映画の脚本を書いた時に、3本で絶対終わるというような脚本を同時に書いていったんです。

と本作の制作秘話を披露しました。

また、今回で9回目の作品上映と、関わりが深いベネチア国際映画祭について、

北野監督:ダメな監督と言われたり、体を壊したこともあり、日本のエンターテインメントでは“もう終わった人”というような記事を書かれたり噂もあったり、一番自分のキャリアの中で落ち込んでいた時代があった。でもその後、ベネチア国際映画祭で立派な賞をいただいたことで、一気にエンターテイナーとしての地位に戻ることができた。自分のキャリアの中では、ベネチアは絶対に欠かせない自分の芸能生活の1つのエポック、事件で、いつも感謝しています。

と、感慨深げに記者たちに向けて語りました。

映画情報どっとこむ ralph その後レッドカーペットでは、映画祭最終日の上映にも関わらず、異例の数のお客さんが会場に詰めかけ、大熱狂で迎え入れられた監督は、自らファンの元へ駆けより、写真撮影やサインに応じ、ベネチアのファンとの交流を楽しみました。
そして、待望の本作の世界最速上映となったクロージング上映後には、2階席に座る監督へ向けて大喝采のスタンディングオベーションが送られ、監督も立ち上がり笑顔で手を振って応えました。鳴り止まない拍手と歓声は、監督が立ち去った後も数分間に渡って続き、大盛況でワールドプレミアを終えました。
映画情報どっとこむ ralph 公式記者会見内容

質問(以下、Q表記):今回の役はちょっと時代遅れのヤクザと定義してますが、ヤクザを語る映画というのはどのように変わってきましたか?

北野監督:世界的な傾向だけど、バイオレンスな映画は、世界情勢もあって、あまりよく評価されないんだけど、自分の描くつもりでいるヤクザ映画というのは実は、拳銃と一方的な暴力を除けば、現代社会の普通の企業の構造にかなり似ていて、私が演じた大友というヤクザも、古いタイプのサラリーマンであって、今の世の中では犠牲になる、というような話に言い換えることも出来る。エンターテインメントとしてのバイオレンス映画として考えると、古いヤクザの抗争を描くのは面白いなと思います。

Q:バイオレンスについて言及されましたが、今回の作品だけじゃなく、今までもバイオレンスを使ってきたと思いますが、監督にとってバイオレンスの語り方、描写はどう変わってきた?
北野監督:始めはかなりリアルな感じで、日本で言えば歌舞伎のような様式美のようなことをやりたくないと思っていたんですが、あまりにもリアルな感じを追及すると、かえってエンターテインメントとしては良くない。今考えると、中間というか、リアルさを持った演出であることを前提として、なるべく映像としては撮ろうと思っています。

Q:北野監督との仕事の関係について教えてください。
森昌行プロデューサー:北野監督は、プロデューサーや我々制作サイドの意見だけでなく、演出意図や台詞に関して、スタッフが感じる疑問、もしくは新しい提案といったものに非常に寛容な監督で、意見を拒否する監督ではありません。もちろん、受け入れるかどうかは別の話ですが、常に柔軟性を持っていて、取り入れてくれることもあります。良いものを創るという共通の理解を持っていて、やりやすい監督だと思っています。

Q:北野監督にとってベネチア映画際とは(ベネチア映画際との関係は)どんなものですか。
北野監督:自分にとっては、ダメな監督と言われて、体を壊したこともあり、日本のエンターテインメントではもう終わった人、というような記事を書かれたり噂もあって、一番自分のキャリアの中で落ち込んでいた時代ですが、その後ベネチア映画祭で、おかげさまで立派な賞をいただいたことで、一気にエンターテイナーとしての地位に戻ることができた。自分のキャリアの中ではベネチアは絶対に欠かせない自分の芸能生活の1つのエポック、事件で、いまだに感謝しているし、ベネチア映画祭は9回も出させていただいてますが、毎回思い出して、いつも感謝しています。ありがとうございました。

Q:今回の映画のエンディングは最初からこれしかないというものだったのですか。
北野監督:「アウトレイジ」は最初に1本作ったんですけど、かなり営業的な評価がよくて、では2をつくろう、となった。3があれば4がある、というように深作(健二)監督の『仁義なき戦い』になりそうだったんで、『アウトレイジ
ビヨンド』という2番目の映画の脚本を書いた時に、3番目で終わらせようと思って、同時に書いたところがあって、3本で終わろうという脚本を書いていったんです。


映画情報どっとこむ ralph あらすじ・・・

《関東【山王会】 vs関西【花菱会】》の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。そんな折、取引のため韓国滞在中の【花菱会】幹部・花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。これをきっかけに、《国際的フィクサー【張グループ】vs巨大暴力団組織【花菱会】》一触即発の状態に。激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。時を同じくして、その【花菱会】では卑劣な内紛が勃発していた……。

『アウトレイジ最終章』
10月7日(土)より全国公開です。
outrage-movie.jp

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監督・脚本・編集:北野 武 
音楽:鈴木慶一

出演:ビートたけし 西田敏行
大森南朋 ピエール瀧 松重 豊 大杉 漣 塩見三省
白竜 名高達男 光石 研 原田泰造 池内博之 津田寛治 金田時男 中村育二 岸部一徳

配給:ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野 
©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会 


イタリアを魅了美しい広瀬すず in ベネチア レッドカーペット『三度目の殺人』


映画情報どっとこむ ralph 9月9日より公開となる是枝裕和監督最新作『三度目の殺人』が、第74回ベネチア国際映画祭 コンペティション部門に正式出品されたことを受け、福山雅治さん、役所広司さん、広瀬すずさん、是枝裕和監督が現地入り。更に本作の音楽を手掛けるルドヴィコ・エイナウディも加わり、記者会見、フォトコール、レッドカーペットに参加いたしました。

実施日:9月5日(火)
記者会見・フォトコール 実施時間=13:00~(日本時間 5日20:00~)
場所=PRESS CONFERENCE ROOM-Palazzo del Casinò – 3rd floor
レッドカーペット 実施時間=16:30~ (日本時間5日23:30~)
場所=Palazzo del Casino
是枝裕和監督、福山雅治、役所広司、広瀬すず、ルドヴィコ・エイナウディ(音楽)

映画情報どっとこむ ralph 記者会見・フォトコール

涼しく爽やかな風が吹く、美しい水の都イタリア・ベネチア。イタリアの有名ブランド、ドルチェ&ガッバーナのスーツ姿で颯爽と登場した福山雅治さん。イタリアを代表するブランド、ジョルジオ・アルマーニのスーツで貫禄の登場の役所広司さん。同じくアルマーニのドレスとプラダの靴で大人っぽい装いの広瀬すずさん。同じくアルマーニのスーツの是枝裕和監督が記者会見会場に登場。

会見場は報道陣で満員(250人キャパ)大盛況、海外媒体の質問に応じました。(記者会見の模様は記事後半に)

映画情報どっとこむ ralph 快晴のベネチア国際映画祭 レッドカーペット会場。
キャストと監督を一目見ようと、大勢の観客とマスコミで溢れる中、レッドカーペットに登場したのは、イタリアの有名ブランド、ドルチェ&ガッバーナのタキシードとジバンシイのシャツ、クリスチャン・ディオールの靴に身を包んだ福山雅治さん、イタリアを代表するブランド、ジョルジオ・アルマーニのタキシードの役所広司さん、日本のブランド、WITH A WHITEのエレガントな白いロングドレスにイタリアのブランド、ジュゼッペ・ザノッティのハイヒールの広瀬すずさん、同じくアルマーニのタキシードの是枝裕和監督と、本作の音楽を担当したイタリア人音楽家 ルドヴィコ・エイナウディ。

広瀬さんにイタリア人女性から「KAWAII!」の声もあがるなど観客やメディアからの大歓声に応え、手を振るほか、カーペット途中ではサインを求められ、心よくそれに応じる姿もみられました。

映画情報どっとこむ ralph 公式記者会見

①是枝監督に質問です。展開がスローな作品ですが、全編を通してスリル/サスペンスを持続するための秘訣はなんだったのでしょうか?
<是枝監督>
まずはお集まりいただきありがとうございます。どの映画もだいたいスローといわれるのですが今回も自分のペースで作っているので、特になにかをゆっくりしたというつもりはないんですね。
ガラス一枚隔てて向き合った男ふたりが言葉を交わさない時間、何かが止まって見えるその瞬間にいろんなものが動いて見える、実際は動いてないのに心の奥で何かが動いて見えるというのを丁寧に丁寧にやろうと思ったので、そういうことがもしかすると影響しているのかもしれません。
ただ、止まって見える中で実は何かが動いて見える、というのをやりたいと思いました。

②素晴らしい映画でした。監督に質問です。エイナウディ氏を音楽に起用しようとしたきっかけは?

<是枝監督>
エイナウディさんとは今回とてもいいコラボレーションができたと思っていますけれども、きっかけは海外の映画祭を回っていた時にたまたま飛行機に乗って聞いた曲が彼の曲で音を聞いていたらすごく風景が浮かんだんです。特に 水、火 雪とか。
その時は名前が読めなかったのですが、メモして日本に戻ってアルバムを買って、今回は脚本を書きながらずっと彼の曲を聞いていました。
なのでサウンドトラックをお願いしたというよりかは、本の段階からこの音楽は絡まっています。すごく映画の中から生まれているような気がします。

③エイナウディさんの側からの話も聞かせてもらえますか?是枝監督と初めてあった時にはどのようにアプローチを受けたのでしょうか?どんな話をしましたか?

<エイナウディ氏>
コンサートのために東京を訪れた時に、是枝組が撮影しているセットに招待されました。セットとは別の部屋で、編集中の映像を見せてもらったのが、この映画との出会いでした。もちろん台本は読んでいたし、是枝監督の作品も見てはいたのですが、この謎めいた物語に心惹かれ、直ぐに夢中になりました。黒澤監督の名作「羅生門」にも通じると思うのですが、様々な視点から語られていて何が本当なのか分からない。そこが面白いと思ったので、「最後の最後まで顕れない真実」というスピリット(テーマ)で作曲しました。

④監督への質問です。今回の作品は、近年の是枝作品とは全く違った作風になっていると思います。どうしてジャンルムービーを撮ろうと思ったのでしょうか?どうしてスリラーを撮ったのでしょうか?

<是枝監督>
観ていただいた方が感じたほど新しいことをやった意識ではないような気がするのですが、ただこの10年ぐらいホームドラマを続けて人間のデッサンを鉛筆で書いていたようなそういう意識なのです。今回はやや「家」から「社会」へ視野を広げて油絵で描くようなタッチを変えた作画をしているのですが
描く本人は変わらないので、変わっているところと変わってないところがあると思います。

⑤(直前の返答を受けて)でも、どうしてスリラーだったのでしょうか?

<監督>
スリラーをやろうと思って最初スタートしたわけではないですが、社会に目を向けた時に人が人を裁くことについて考えてみたいと思ったことがスタートとしてありました。
日頃お付き合いのある弁護士さんと話をする中で、「法廷が真実を追求するところではない、利害の追及をするところだ」という一言を聞いたのが今回のモチーフ、きっかけになりました。
脚本作りも実際の弁護士たちに入っていただいて一緒に作っていったプロセスがあるので
そういう意味では自分の記憶、家族をベースにして書いていたストーリーの作り方とは違う作り方をしました。そしてそれはとても刺激的でした。

⑥「そして父になる」はベネチアでも話題になりました。日本ではロックスターとしても有名な福山さんですが、今回も是枝監督から起用され、是枝作品の常連になりつつあると思います。今回は社会の襞をかきわけ、事件を捜査する役ですが、どういった心構えで臨んだのでしょうか?

<福山さん>
僕自身是枝監督、是枝作品のファンなのです。僕も音楽をやっているときはシンガーソングライターというスタイル、作詞、作曲、演奏、歌をやらせて頂いていますが、監督の映画作りの現場はすごく、手作り感があり原案、脚本、監督、編集をやられていて全ての工程を俳優として参加しながらその現場を一番近くで見られるというのは僕にとってこの上ない贅沢な経験です。贅沢な経験であると同時にすごく刺激を受ける現場です。
是枝監督という一人の人間を通して、そして映画製作を通して監督がどういう目線でこの人間社会を、人間を見つめているのかというのを知る機会を与えていただいています。
私にとって自分の活動、表現をフィードバックできる現場で、参加させていただくことにいつも感謝しています。

⑦是枝作品ではよく「親子の関係性」にも言及されます。広瀬さん、役所さんはどういった心構えでこの作品に臨んだのでしょうか?  

<広瀬さん>
私は10代だからこそ、少女だからこそ見える大人の方の言葉、行動、母への思いなど色んなものを客観的に見ていました。 お母さんが話す言葉を一字一句聞き逃さないように、ずっと話を聞いて、徐々にニュアンスが変わっていったり、どこか自分をかばうように話す姿を見て、また感情が生まれたりしていました。

<役所さん>
私は監督からは「だれか嫌いな人を二~三人殺す練習をしたらどうですか…」、、なんて言われたりはしませんでしたけど(笑)、監督から頂いた脚本と撮影の最終日まで脚本が変更になって、監督がどの方向に私たち俳優を導いてくれるのかというのが手に取るようにわかりましたので、それをひとつの手掛かりになんとかやりきることができました。

⑧劇中のセリフで、弁護士の父親である裁判官が以下のようにいうのが興味深かったです。「30年前は犯罪の原因を社会に求める風潮があった。当時もし有罪判決を下していれば今回の事件は起こらなかったかもしれない」このセリフは、日本の社会が変化して来ているという事実を表現しているのでしょうか?

<是枝監督>
そのセリフは僕が書いているのですが、父親が言っている通り犯罪は社会から生まれるという考え方が日本にも定着とは言いませんが、建前としてでも通用していた時代があったのですが、いま“自己責任”という言葉が日本ではいろんなところで使われていようになっていて、その犯罪が生まれた社会的な、時代的な、経済的な背景を武器にして個人の責任にしていくという流れは、裁判長が口にしたような形で今の日本を覆っているのではないか、と思い、そういうものを背景として描きたいと思いました。

⑨是枝監督からの「法廷とは真実を暴く場所ではない、と弁護士達が言っていた」という話に関連して、作中の「誰を裁くかを決めるのかは誰か?」というセリフがキーになると感じました。これに関してコメントをいただけますか?

<是枝監督>
それは広瀬すずが演じた咲江という役が、「誰を裁くかはだれが決めるんですか?」というセリフを主人公にぶつけるという形で言葉にしました。
今回はずっとこの映画を撮りながら私自身が、人は果たして人を裁けるのか?法廷はだれかを裁く場所なのだろうか、それとも誰かを救う場所なのだろうか?ということを考えていて。
それは多分、答えがあるわけではない。答えのない答えを作品を通して問うということが僕は映画にとって一番誠実な監督の態度だろうと思い、その問いを問い続けました。
彼女の問いにも答えはないのでしょうけどもその問いを主人公にぶつけるという選択肢を選びました。

⑩New YorkのIdeal Magazineです。昨夜作品を拝見して、最後の最後まで途切れない緊張感に感銘を受けました。一つ分からなかったのは「盲人が二人で象を触る」という挿話です。一人は耳を触っているがもう一人は別の体の部分を、というこの挿話の意図は、真実は二つある、ということなのでしょうか?
  
<是枝監督>
たぶん一つなんでしょうけども、私たちのような常人には確かなものとしては手にできないんじゃないですかね。 通常の物語だと謎があってだんだん解けていって犯人に辿りつくというのが王道だと思うのですが、今回は逆を行っているので。
シンプルな分かりやすい事件だと思っていたのが複雑になって分からなくなっていく逆のルートをたどるつくりになっていますが、それは決してお客さんを煙に巻こうとしているのではなく、取材を通して出会った弁護士たちが判決の後にある釈然としない感情が残る「おそらくそうであろうと思いながらも、でももしかしたら・・・」と思いながらも次の裁判に行かなくてはならない、そんな弁護士が感じるもやもやとした感じを今回は主人公が感じ、お客さんも同じく感じていただくというチャレンジングかもしれませんが、そんな着地点を目指して作りました。そして、それを楽しんでいただけたようで嬉しく思います。

⑪ドストエフスキーに影響を受けましたか

<是枝監督>
「罪と罰」は、学生時代に読んだだけなので、今回の映画を作るにあたって読み直したわけではないです。ただ頭の隅にあったかもしれませんね。影響を与えた作品のなかの一つだと思います。

映画情報どっとこむ ralph 物語・・・
それは、ありふれた裁判のはずだった。殺人の前科がある三隅(役所広司)が解雇された工場の社長を殺し、火をつけた容疑で起訴された。犯行も自供し、死刑はほぼ確実だった。その弁護を担当することになった、重盛(福山雅治)。裁判をビジネスと割り切る彼は、どうにか無期懲役に持ちこむために調査を始める。 何かが、おかしい。 調査を進めるにつれ、重盛の中で違和感が生まれていく。三隅の供述は会うたびに変わる。動機さえも。なぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?得体のしれない三隅に呑みこまれているのか?弁護に真実は必要ない。そう信じていた弁護士が、初めて心の底から真実を知りたいと願う。やがて、三隅と被害者の娘・咲江(広瀬すず)の接点が明らかになり、新たな事実が浮かび上がる──。


公式サイト:
http://gaga.ne.jp/sandome/

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原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
キャスト:福山雅治、役所広司、広瀬すず、吉田鋼太郎、斉藤由貴、満島真之介、市川実日子、橋爪功
配給:東宝・ギャガ   
(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ   


坂本龍一を追ったドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto: CODA』ベネチアへ!


映画情報どっとこむ ralph 世界的音楽家である坂本龍一を追ったドキュメンタリー映画の正式タイトルが『Ryuichi Sakamoto: CODA』に決定し、11月4日(土)より、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開となります。

そして!本作が8月30日(現地時間)にイタリア・ベネチアで開幕する第74回ベネチア国際映画祭の<アウト・オブ・コンペティション部門>に公式出品されることが決定しました。
坂本さんにとって当映画祭は2013年にコンペティション部門の審査員として参加したゆかりの深い映画祭で、今度は自身の出演作品が日本での公開に先駆けてワールドプレミアを果たすことになりました。

映画情報どっとこむ ralph 本作は、2012年から5年間という長期間に渡る本人への密着取材によって実現。さらに膨大なアーカイブ素材も映画を彩ります。

坂本龍一は、1978年、「千のナイフ」でソロデビュー。同年、細野晴臣、高橋幸宏の3人でイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成し、そのポップロックとシンセサイザー音楽を融合させた革新的なサウンドで、世界的人気に。80年代には、『戦場のメリークリスマス』、『ラストエンペラー』に出演しその音楽も手がけ、多くの賞を受賞。映画音楽家としての地位も確立。以後、作曲家、演奏家、音楽プロデューサーとして幅広いジャンルで活動しています。

90年代後半になると、社会問題・環境問題に意識を向けるようになり、その変化は音楽表現にも表れ、2014年、中咽頭がんと診断され、1年近くに及ぶ闘病を経て復帰。2017年春、8年ぶりのオリジナルアルバム「async」をリリースした。

現在65歳の坂本は、その40年以上にわたる音楽活動において多くの作品を生み出し続けている。

震災以降の坂本の音楽表現の変化に興味をもち、密着取材を始めたのは、本作が劇場版映画初監督となるスティーブン・ノムラ・シブル。坂本龍一が「全てさらけだした」という本作は、過去の旅路を振り返りながら、新たな楽曲が誕生するまでの、坂本龍一の音楽と思索の旅を捉えたドキュメンタリーです。

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出演:坂本龍一
監督 : スティーブン・ノムラ・シブル
プロデューサー : スティーブン・ノムラ・シブル エリック・ニアリ
エグゼクティブプロデューサー : 角川歴彦 若泉久央 町田修一 空 里香
プロデューサー:橋本佳子 共同制作 : 依田 一 小寺剛雄
撮影 : トム・リッチモンド, ASC 空 音央
編集 : 櫛田尚代 大重裕二
音響効果: トム・ポール
製作/プロダクション:CINERIC BORDERLAND MEDIA
製作:KADOKAWA  エイベックス・デジタル 電通ミュージック・アンド・エンタテインメント 
制作協力 : NHK  共同プロダクション:ドキュメンタリージャパン
配給 : KADOKAWA  ©2017 SKMTDOC, LLC


『ON THE MILKY ROAD』(原題)ベネチア国際映画祭でワールドプレミア上映


映画情報どっとこむ ralph 世界3大映画祭を制覇し、長い間新作を熱望されていた映画監督エミール・クストリッツァの最新作『ON THE MILKY ROAD』(原題)が、現在開催中の第73回ベネチア国際映画祭の公式上映・記者会見が、行われました。

エミール・クストリッツァ監督は、

『パパは、出張中!』(85)、『アンダーグラウンド』(95)でカンヌ国際映画祭の最高賞・パルムドール

『アリゾナ・ドリーム』(92)でベルリン国際映画祭銀熊賞

『黒猫・白猫』(98)でベネチア国際映画祭 銀獅子賞

と、世界三大映画祭を制覇していて、発表する作品、その全てが世界中の映画人に影響を与え、世界中の映画ファンを熱狂させ、日本でも定期的に特集上映が組まれる天才監督。

カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された『ウェディング・ベルを鳴らせ!』(07)以来、9年ぶりの長編映画となる本作は、監督・脚本にくわえ自身が主演もつとめ、昨年公開され全世界で大ヒットを記録した『007 スペクター』でボンドガールに抜擢されたモニカ・ベルッチがヒロインにすることが話題に。

レッドカーペットを歩く、モニカ・ベルッチに対して「モニカコール」が起きるなど、会場は盛り上がりました。
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映画情報どっとこむ ralph 本作を場所や時代はまったく架空の設定で、名も無い土地で起こっている戦争を描くが、敵や味方が誰かは特定していない。詩的で、同時に力強いものを作ろうとしたというクストリッツア監督

記者会見では

監督:この作品は戦争が終わるところから始まっている。誰に聞いても分かるが、戦争において最もドラマティックなのは、戦争が終わった時からだと思っている。3年かけて、小説を手がけるように作り上げていった。長い旅”であれば色々と試せる。突っ走ったら、決していいものはできない。ベストなものを見つけるのは本当に苦労した。

と、長期にわたる制作の苦悩を言及しました。また、ヒロインのモニカ・ベルッチの起用について、

監督:ヒロインをイタリア人の設定にしたのは、モニカに合わせてのこと。男性が恋をしそうな役を書くのが一番楽しいね。

と語り、モニカ・ベルッチは、監督について、

モニカ:チャレンジングな監督よ。脚本はあるけど即興ばかり。監督だけでなく、役者、書き手、ビジネスマン、アーティストでもあるから多くのことを学んだわ。役もフェミニンで母性にあふれているし、今までで最も成熟した役かもしれない。

と監督の出会いを熱く語り、物語について、

モニカ:戦争中の話だけど何の戦争かは特定していない。美も苦痛も多い世の中を、政治的視点ではなく人間的視点で描いているの。戦争を描いているけど詩的だし、現実とイマジネーションの両方がある作品。希望、愛、セクシュアリティも伝えようとしてる。性欲や官能性は、その人のエネルギーから来るもの。年齢は関係ないわ。現代の人はもっと愛を信じるべきだと思う。

と、言及。また、ワールドプレミア上映では、エンドロールが始まる前から「ブラボー!」と声が鳴り響き、12分ものスタンディングオベーションとなり、大いに盛り上がりました。

映画情報どっとこむ ralph 物語・・・
戦時中のある村。毎日、ロバに乗って銃弾をかわしながら前線の兵士たちに品物を届けている牛乳配達人(エミール・クストリッツア)は、仕事では強運に恵まれ、村の美しい女性にも愛され、平穏な日々が彼を待っているはずだった。しかしある時、謎めいた美しきイタリア人女性(モニカ・ベルッチ)が現れ、彼の人生は一転。その女性のある過去によって、村は襲われてしまい、2人は熱狂的かつ危険な冒険に身を投じることに。情熱的で禁断の愛の物語のはじまりは、誰にも止めることはできなかったのだ・・・。

『ON THE MILKY ROAD』(原題)

2017年 全国ロードショー

原題:ON THE MILKY ROAD
監督:エミール・クストリッツァ
出演:エミール・クストリッツァ、モニカ・ベルッチほか

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