映画情報どっとこむ ralph 昨日より新宿ピカデリーほか全国公開となったドキュメンタリー映画『くじらびと』。

“くじらの日”の本日9月4日(土)、監督の石川梵監督、音楽を担当した吉田大致のほか、ゲストとしてオフィシャルサポーターである“グレートジャーニー”の探検家・関野吉晴氏、アルピニスト・写真家の小松由佳氏が登壇し、新宿ピカデリーにて公開記念舞台挨拶が行われました。
「くじらびと」公開記念舞台挨拶

映画「くじらびと」公開記念舞台挨拶

日時:9月4日(土)
場所:新宿ピカデリー
登壇:石川梵監督、関野吉晴(探検家)、吉田大致、小松由佳(アルピニスト・写真家)

映画情報どっとこむ ralph ライフワークとして30年間ラマレラ村の人々を追い続けてきた石川監督は公開について、「この映画は僕だけの力だけでなく、皆さんのいろんな助けによってできた映画です。」と公開の喜びとともに改めて感謝を述べた。

関野さんは「大きいスクリーンで見ると、やはり息を飲むというか、体がのめるようなすごい迫力のある映画だなと。その裏にある子供たちとか、女性とか、舟を作る人たち、いろんな人が協力しあってこの物語が出来上がっている。撮影中、運が悪い時はくじらが全然出ない時もあると思うんですが、くじらが獲れなくてもこの映画は成り立つんじゃないかと思うほど裏の物語がしっかり描かれていると思いました。」と大スクリーンで見る本作の魅力について語った。

また、小松さんは「本当に臨場感あふれる映画で、まさに命を賭けた鯨と人間の戦い。その場にいなければ見ることのできない光景を見せていただいたなという感動がありました。」

石川監督の前作『世界で一番美しい村』や『くじらびと』の音楽を担当した*はなおと*からのビデオメッセージが到着、スクリーンに映し出された。同じく音楽を担当している吉田さんは「監督とは何度もメッッセージをやりとりしました。本作は体験型の映画なので、波の音だったり、現地の人たちの声を含めて、音楽で印象をコントロールしすぎないアプローチをしたんだなと改めて思いました。」と語った。

そして関野さんはスクリーンに投影された鯨の目の写真について「今回の映画のテーマの一つに、“目”があると思うんですね。人間の目には白目がある。白目って大事で、表情が、何を考えているかがわかる。猿にはないんですよ。人間って表情が非常に豊かだけど、くじらは目の周りが硬いので表情が作れないので目だけで合図しているように思う。」と述べ、監督もまさに目をテーマにしていたと話した。「シベリアのトナカイ遊牧民でも、トナカイを屠るとき、目を見るなと注意された。亡くなった魂が太陽の方に行くので、目を見ると行けなくなると言われた。」と辺境の地を旅してきた関野さんが自らの体験を語った。
「くじらびと」公開記念舞台挨拶
また鯨漁については「いろんな鯨捕りがいる。アラスカとかシベリアとの捕鯨と結構似ているとこがあると思うんですね。シベリアではセイウチ狩りをするわけです。これらと何が共通しているかというと彼らは狩る人なんですよね。だけど場合によっては狩りとられてしまう。だから僕は彼らのことをフェアハンターと呼ぶんですね。両方とも自然の一部になっている。対等に戦っているんですね。」とこれらの鯨漁が、近代的な漁とは違うと見解を述べた。

そして、本作で描かれる鯨の解体シーンは公開前の試写会などで見たこともないその映像が大変話題になった。鯨の肉を村の人々はどのようにして分け合っているのか、投影された【肉の分配図】イラストを見ながら監督が自ら解説。
「くじらびと」公開記念舞台挨拶
何度かラマレラ村に訪れたという関野さんは「ラマレラの人たちは400年前ここの島にきた。ただ農耕ができなかったのでくじらを獲るしかなかったわけだが、ちゃんと今でも、土地の主人に一番大切な目の周りの油をあげるんですね。役割に応じて誰に何をあげるか、その船に乗っていなくてもエンジンとか、船大工とか、オーナーとかいろんな人にきちんと無駄なく回るようになっている。」と解説を加えた。和を一番大事にするラマレア村の人たちは、未亡人から社会的地位が低い人にまで村人全員で鯨肉を分け合う。鯨を分け合うことで村の和が保たれている。
「くじらびと」公開記念舞台挨拶
貧困や飢餓、不平等根絶、フードロス問題や海洋資源の持続可能な開発を維持するという目標を立てるSDGs。自然との調和を尊び、信仰に根ざした独特な文化を今も大事にするラマレラ村の暮らしはSDGsの原点とも言えるのではないだろうか。
本日の舞台挨拶は本作に感動した観客たちからの温かい拍手で終了した。

映画情報どっとこむ ralph 食べること、祈ること、命を繋いでいくことーーコロナ禍2度目の夏、“生きる”ことの本質に触れるドキュメンタリー

ドキュメンタリー映画『くじらびと』

大ヒット上映中!
くじらびと
インドネシア・ラマレラ村。人口1500人、太陽の土地を意味するこの村では、巨大クジラに挑むラマファ(打ち)は誇りであり尊敬を集める存在だ。手造りの舟と銛1本で、マッコウクジラに挑んでいく。クジラも負けじと舟に体当たりする。そんな生と死が拮抗する漁で得た獲物が、村人の命を支え、彼らは互いの和をもっとも大切にしながら生活している。自然とともに生き、命に感謝し、祈りを捧げ、実に400年もの間変わらぬ伝統の捕鯨を続けながら暮らす“くじらびと”の姿を捉えた、生命力に満ちたドキュメンタリー映画。
くじらびと
STORY
インドネシア・ラマレラ村。人口1500人の小さな村。住民は互いの和を最も大切なものとし、自然の恵に感謝の祈りをささげ、言い伝えを守りながら生活をしている。中でもラマファと呼ばれるくじらのモリ打ち漁師たちは最も尊敬される存在だ。年間10頭獲れれば村人全員が暮らしていける。ともすれば死と隣り合わせのクジラ漁で、それでも彼らはモリ1本で巨大なマッコウクジラに挑む。子供たちは彼らの姿を見て、自分もラマファになりたいと夢を見る。そうして400年、ラマレラの人々はここで暮らしてきた。
2018年、ラマファのひとり、ベンジャミンが漁の最中に命を落とした。家族も村民も深い悲しみに暮れる中、父で舟作りの名人・イグナシウスはバラバラになりそうな家族の結束の象徴として、伝統の鯨舟を作り直すことを決心。1年後、彼らの新しい舟はまだ見ぬ鯨を目指し大海に漕ぎ出すー。

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エクゼクティブ・プロデューサー::広井王子 監督・プロデューサ:石川梵 編集:熱海鋼一 簑輪広二 撮影:石川梵/山本直洋/宮本麗 録音:Jun Amanto 音響:帆苅幸雄 音楽:吉田大致/*はなおと* 歌:森麻季 収録協力ジャパンアーツ 映画題字:山崎秀鴎 Web制作:naga-lab. オフィシャル・サポーター:山田洋次/関野吉晴/中村征夫/宮崎学/髙橋ツトム/石川直樹/安田菜津紀 2021年/ドキュメンタリー/日本/113分/カラー/ビスタ/5.1ch
助成: 文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)/独立行政法人日本芸術文化振興会 製作Bonfilm
©Bon Ishikawa
協力:広井王子ピクチャーズ/Cinema Sound Works
配給:アンプラグド
配給協力:アスミック・エース
宣伝:ミラクルヴォイス 
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