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森達也監督と本作の佐藤慶紀監督が登壇『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』トークイベント


映画情報どっとこむ ralph 昨年10月に釜山国際映画祭ニューカレンツ部門に正式出品され、そのセレクションが評価されている大阪アジアン映画祭など国内外で絶賛されている佐藤慶紀監督の問題作『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』が、先週末から10/6(金)まで新宿K’s cinemaで公開中。

今後は、名古屋シネマスコーレでは9/23(土)〜、大阪・シネヌーヴォでは10/7(土)〜と、全国順次公開されます。

今回、本作について、

「法制度と感情がせめぎ合う。遺族は死刑を求めるのか。あるいは否定するのか。スリリングな展開に人の切ない営みが明滅する。あなたが死刑制度についてどう考えているのかはわからない。でもこの映画を観ながら考えてほしい。知ってほしい。」

とコメントした映画『FAKE』(2016年)の森達也さん(映画監督)が、本作の佐藤慶紀監督とトークイベントを行いました。

日付:9月17日
場所:新宿K’s cinema
登壇:
佐藤慶紀監督『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』
森達也監督『FAKE』

映画情報どっとこむ ralph 佐藤監督:『HER MOTHER』は去年釜山国際映画祭に出品させていただいたんですが、その時に森さんに知り合いになりました。

と、話す佐藤監督。実は最初は観るのをためらったと話す森監督は

森監督:ホテルが一緒で、朝食を食べていたら、声をかけられて、映画を見させていただきました。その後台湾の桃園映画祭でもご一緒しました。釜山で「死刑がテーマの映画が上映される」と声をかけられた時に、あまり見たくないというか、多分死刑反対の映画なんだと思いました。死刑賛成の映画はあまりないですよね。けれど、本編を見て、そんな単純な映画じゃないと思いました。(世の中、)表層的な死刑を支持をする人と、表層的な死刑を反対する人がとても多くて、悩ましいテーマなんですけれど、そこを避けていないんです。例えば日本でも『休暇』や大島さんの映画だとか死刑についての映画がありますが、被害者遺族の気持ちは触りづらいので、そこをあえてやったことは勇気があることでびっくりしたし、映画の質量というものにも圧倒されました。

と、熱く語ると、

森監督:本作は、ほぼ自然光、カメラもほぼ手持ちで、ドキュメンタリータッチになっています。そういう映画は実は多いのですが、すごく感心したのは、終盤主人公がコンビニに行ってミネラルウォーターを買うシーンで、「26円お持ちですか?」というようなところは普通カットするんですが、そういう要素を入れたまま残すという意味は大きいです。映画全体を支配しますから。

佐藤さん:確かにテーマとは関係ないところなんですけれど、通常のルーティーン的なやり取りの中で二人の気持ちを表現できたらなと思いました。


映画情報どっとこむ ralph 森監督:今月ニコニコ動画で死刑をテーマにしたディベートに呼ばれたのですが、死刑存置の側と廃止の側に分かれてディベートをするんですが、はっきり言って意味がないです。一番死刑制度の問題の根源にあるのが、みんな死刑を知らないということです。どういった制度なのか、どういう人たちがいるのか、どのように執行されるのか、それを知らずして賛成だ反対だと言ってもしょうがなく、メインストリームメディアは扱わないので、そういう番組をやることは意味があると思って行ったんですけれど、廃止の側は、僕と、青木理さん、日弁連の弁護士の方でした。存置の方は、被害者遺族の会を支える弁護士の方たちと、「闇サイト殺人事件」で娘さんを殺された磯谷富美子さんなどでした。磯谷さんが冒頭に30分位自分の想いをしゃべられたんですが、ディベートの場に遺族の方がいれば、僕ら第三者には対抗できる言葉はないですよね。肉親を殺された人は加害者を憎む、殺したいと思うというのは、当たり前のことです。それに対して論理でどうのこうの言っても意味がないのは、話しながら自分でもわかります。ニコ動の番組って、モニターに書き込みが出るんです。僕と青木さんが喋る度に、「こいつら出て行け」とか「こいつらこそ死刑だ」と言われ、喋りながら何が何だかわからなくなってきてしまって、圧倒的にダメでした。とても難しい、矛盾を抱えた問題で。遺族の方がそこにいるシチュエーションといないシチュエーションで違って当たり前です。僕は第三者なんです。第三者が安易に当事者の気持ちを代弁すべきではないし、共有すべきではないし。極端なことを言えば、世界中がパレスチナの人の想いを共有すれば、アメリカやイスラエルを攻撃すべきです。間違っているかはともかく、北朝鮮の人たちの想いを共有すれば、当然核兵器は当たり前だ、ということになりますし。遺族の気持ち云々以前に、自分とは違う人の気持ちを自分はどれだけ共有できているのか、ということを本当は考えなくてはいけないんだけれど、なんだか皆共有している気分になってしまうことが危険だし、こういうことを言うと、冷血と思われてしまうし。その矛盾は、この映画だってそうですよね?


佐藤監督:整理できていないです。投げ出している部分がありますね。元々、実際の遺族の方で、死刑に反対した方がいたんですけれど、なぜというのはわからなかったんですけれど、その行動をみなさんにわかる形で伝えることはできないかなと考えまして。第三者としてこういうことを考えたり、感じることが大事だと思います。

映画情報どっとこむ ralph 司会:これから観る方に一言お願い致します。

森監督:死刑問題って、どうしても目にしたくないですよね?死刑そのものも、それに付随する死刑制度に目をそらしてしまう。数の問題じゃないです。今年に入って2人死刑が執行されています。再審請求中に執行されるという、かつてない事態です。再審請求中は執行しないというのが暗黙のルールだったのが、いともたやすく金田法務大臣によって施行されたのですが、社会は反応せず、前例が作られてしまうのを危惧しています。死刑の問題というのは、生き方というか死に方など重要なところに触れているはずなんですよ。なのに、皆気づかない、もしくは、気づかないふりをしているという気がしていて、もっともっと真剣に考えるべきテーマだと思います。国連から勧告が来ているとかそういうことではなくて、生きていく上で、今この国にある死刑制度をどう考えるかというのはとても重要な問題だと思います。


一度考える機会を


「HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話」
~10月6日(金)まで新宿K’s cinema他全国順次

『娘を殺害した加害者の死刑を止めようとする母。一体なぜ…』

43歳のビジネスウーマン・晴美(西山諒)。2年前に一人娘のみちよ(岩井七世)が嫁ぎ、現在は夫(西山由希宏)と二人で平凡に暮らしている。そんなある日、みちよが婿の孝司(荒川泰次郎)に殺されてしまう。孝司は死刑判決を受ける。当初は死刑判決を当然の事と考えていた晴美だが、ある時から孝司の死刑を止めようと考え始める。そこには、晴美しか知らないみちよのある秘密があった。


公式サイト:
hermother-movie.com

Twitter:
@mothermovie66

***********************************

西山諒  西山由希宏  荒川泰次郎  岩井七世  野沢聡
箱木宏美 木引優子 西田麻耶

監督・脚本・編集:佐藤慶紀
撮影:喜多村朋充 
音楽:ベンジャミン・ベドゥサック 
制作:カロリーネ・クラツキー
メイク:桐山雄輔 
衣装:市岡昌顕
制作プロダクション:Aerial Films  
配給・宣伝:渋谷プロダクション
製作:『HER MOTHER』製作委員会(Aerial Films・ラフター・渋谷プロダクション)
2016/95min/DCP/カラー/ステレオ
©『HER MOTHER』製作委員会
     


「HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話」初日舞台挨拶


映画情報どっとこむ ralph 佐藤慶紀監督の問題作「HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話」が9/9(土)〜10/6(金)まで新宿K’s cinemaで公開となり、その初日舞台挨拶が行われました。

死刑囚役を演じた荒川泰次郎さん、フランスの第23回ヴズール国際アジア映画祭でスペシャルメンションを受賞した死刑囚のお母さん役の箱木宏美さん、娘を殺された父親役の西山由希宏さん、殺される娘役の岩井七世さん、弁護士役の木引優子さん、主人公の義理の妹役の西田麻耶さんと佐藤慶紀監督が登壇しました。
9月9日(土)
登壇: 西山由希宏、荒川泰次郎、岩井七世、箱木宏美、木引優子、西田麻耶、佐藤慶紀監督
会場:新宿K’s cinema

映画情報どっとこむ ralph 佐藤監督:個人的に自主公開を視野に脚本を書いていましたが、素晴らしい役者さんスタッフのおかげで、こうして劇場公開となりました。たくさんのお客様に来ていただけまして、ありがとうございます。

西山さん:個人的には映画の余韻に浸ってほしいところですが・・。盛り上げにきました!

と場を盛り上げる西山さん。本日、登壇できなかった主演の西山諒さんに関して
西山さん:芯の強さを感じられたかと。彼女の目力に追い詰めれれて役者として理性を吹き飛ばされるほど意志の強い女性を演じられていました。
と語る西山さんも相当な目力。

今回、死刑囚役の荒川さん
荒川さん:脚本もらって、死刑囚役に惹かれて、オーディションにのぞんで、この役を得ることができました。この場に立てていることが幸せです。今回、一日で4Kg落としました。拘置所の中で憔悴していく精神状態を表したかったんで。

と、役を得たことへの喜びと大変な役作りをしたことを明かしました。
岩井さん:HER MOTHERのHER役です!脚本が没頭して一挙に読んでしまえる面白い本でしたので、ぜひと思いオーディションを受けました。こうして新宿で公開になってうれしいです。

映画情報どっとこむ ralph 今回死刑囚の母役の箱木さんは
箱木さん:本を読んだ時には、苦手なところに来てしまったなと。死がテーマでしたので死を覚悟して演じました。が、今回、加害者の母として目立たず、しかし息子に愛をもって存在すること。撮影の前日に荒川さんに母からの手紙をお渡して・・・書かれていない部分も演じたかったんです。ただ、荒川さんにもプランはあると思うので、邪魔ならば読まないでほしいと付け加えてですが。
と、第23回ヴズール国際アジア映画祭でスペシャルメンションを受賞した役作りを披露。


木引さん:弁護士役ですが加害者との接点がなくて、被害者の母との接点で構成されているのがすごく面白いなと思いました。今回、弁護士の職業を調べて、被害者と加害者との唯一の接点となる存在なのだろうなと思いながら演じました。

西田さん:どうも!この作品の中では被害者の家族側で、でも血がつながっていない。その関係性の中で層が違うところで加害者と接しました。コミカルにしては?と監督に言われましたので、そのアプローチで演じました。

と語りました。

最後に
監督:映画にはいろいろありますが、ないかを問うわけでなく・・皆さんに話しかけたい、映画にしてみました。SNSなどで問いかけて話しかけてください。

と、イベントを閉めました。


映画情報どっとこむ ralph 物語・・・
 
『娘を殺害した加害者の死刑を止めようとする母。一体なぜ…』

43歳のビジネスウーマン・晴美(西山諒)。2年前に一人娘のみちよ(岩井七世)が嫁ぎ、現在は夫(西山由希宏)と二人で平凡に暮らしている。そんなある日、みちよが婿の孝司(荒川泰次郎)に殺されてしまう。孝司は死刑判決を受ける。当初は死刑判決を当然の事と考えていた晴美だが、ある時から孝司の死刑を止めようと考え始める。そこには、晴美しか知らないみちよのある秘密があった。


公式サイト:hermother-movie.com
Twitter: @mothermovie66

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西山諒  西山由希宏  荒川泰次郎  岩井七世  野沢聡
箱木宏美 木引優子 西田麻耶

監督・脚本・編集:佐藤慶紀
撮影:喜多村朋充 
音楽:ベンジャミン・ベドゥサック 
制作:カロリーネ・クラツキー
メイク:桐山雄輔 衣装:市岡昌顕
制作プロダクション:Aerial Films  
配給・宣伝:渋谷プロダクション
製作:『HER MOTHER』製作委員会(Aerial Films・ラフター・渋谷プロダクション)
2016/95min/DCP/カラー/ステレオ  
©『HER MOTHER』製作委員会