近未来アクション『スターシップ9』が8月5日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開となります。
汚染により死にゆく地球の代わりを見つけるために、エレナは恒星間飛行の旅に出る。故障したスターシップを訪れたアレックス。彼こそが、エレナが初めて接触する運命の人だった。人類を救うために、二人は選ばれた。愛、献身、勇気、希望、決断、それが我々の未来を創るー。 監督は、映画専門誌VARIETYにて『注目すべきスペインの若手映画製作者の一人』に選ばれた俊英で、『ヒドゥン・フェイス』『ゾンビ・リミット』の脚本家アテム・クライチェで、本作が長編監督デビューです。 公開に先駆け、アテム・クライチェ監督のオフィシャルインタビューが到着しましたのでご紹介! |
|
Q:ジャンル映画が好きだったのですか?
クライチェ監督:ジャンル映画は好きですが、ジャンルに完全にこだわったりその定義に縛り付けられたような形の映画を作りたいと思っているわけではありません。『ゾンビ・リミット』(13)ではゾンビが出てきますけど、例えばゾンビの出てこないような形で、ゾンビを使った映画とゾンビ映画とは全く違うことだと思うんです。『ヒドゥン・フェイス』(11)の場合は入口は心霊映画のようで幽霊とか出てきますが最終的にはスリラーになります。『スターシップ9』に関しても入口はSF的なアプローチですけど最終的には現実に根差したSFになるので完全なSF映画というジャンルには位置付けられないと思います。ですから私の中では正統的なジャンル映画ではなくて、一種のアプローチというかジャンルの要素は取り入れながらジャンルを横断していくような映画というのを作りたいと考えています。 Q:ロケーションがとても近未来的というかSF的だなと思いました。CGなどは使っているのでしょうか? クライチェ監督:CGは使っておりません。ほとんどの撮影をコロンビアのメデジンでしました。私の中で思い描く近未来というのは非常に両極化した社会が存在すると思っています。極端にお金持ちの人と極端に貧しい人がいて非常に混沌とした世界が近未来かと思っております。例えば東京と言うのはプラスの面で非常に近未来的な社会だと思います。しかし負の面というのが東京ではあまり見られない、スペインでも対照的な社会層の人々が存在する地域が無いんです。しかしコロンビアのメデジンでは近代的な側面を持つ地域と非常に貧困が集中しているような地域が同じ地域に存在していて、私の思う近未来の姿がビジュアル的に上手く撮れるんじゃないかと思いました。光に少し手を加えたりはしたが、外での撮影に関しては98%そのままの映像を使った。私が思う近未来のビジュアルととてもマッチしていました。 Q:さまざまなガジェットが出てきます。そういった部分のリサーチはされたのですか? クライチェ監督:東京には全部あるかと思っていますけど(笑)。この映画はSF映画としては予算がとても少なく、撮影期間も5週間半しかありませんでした。だから撮影に入る前にたくさん話し合って調査をしました。もちろん映画に出てくるガジェットについても。ここに出てくるのは技術的には今実際にあっても不思議ではない、未来とはいっても遠い未来や遥か彼方の未来ではなくて、近未来それも現実にかなり近い近未来と言うものを考えていましたので、今あってもおかしくない装置というイメージをしました。 Q:主人公のクララ・ラゴさん演じるエレナがとてもかわいくて、良かったです。キャスティングや演出についてお聞かせください。 クライチェ監督:クララ・ラゴは私が初めて長編映画の脚本を書いた『ヒドゥン・フェイス』にも出演した女優です。彼女の世代の中では彼女が一番の女優だと思っている。なぜかと言うと彼女は非常に自然体で感性がよくて勘のいい、直感のある女優さんだと思います。この脚本を最初に彼女に渡した時に、「役作りが難しい、どこにすがって役作りをしたらいいのか」ということを言っていました。 Q:初長編監督作品を自分のオリジナルで作るということは、すごく恵まれていると思います。日本では原作ものやマンガの映画化だとかドラマの集大成的な映画などが多くてオリジナル脚本が少ないのですが、スペインではどういう状況なのでしょうか? クライチェ監督:初長編監督作品を自分のオリジナル脚本でできたのはホントにホントに恵まれているし幸運だったと思います。日本がそういった状況だということは知らなかったが、それはハリウッドでも起こっていると思います。収益性ありき、収益性が確保できるということを前提に映画を作るという形になっています。スペインに関してはまだそこまでいっていない。確かに自分の脚本で作品を作ることは簡単ではなくて、才能のある人がいっぱいいながらなかなか作品を作れずに終わってしまうことも多いわけですけれども、まだオリジナルの脚本に基づいて映画を作りたいっていうそういった市場がスペインにはまだあります。 Q:日本のみなさんにメッセージをお願いします クライチェ監督:私にとって自分の作品は日本で公開できるっていうのは非常にうれしいし、日本の観客に気に入ってもらいたい。この映画のテーマは世界どこの国でも理解していただけるテーマであると思います。東京が大好きになりましたのでまた来たいです。 アテム・クライチェ監督プロフィール |
|
日本初公開!アテム・クライチェ監督短編映画『AUDACIA』の配信も決定。
バリャドリッド国際映画祭2012短編部門コンペティション作品。『スターシップ9』に繋がる世界観を持つ、少年少女とETの交流物語。短編映画『AUDACIA』を下記の通り配信いたします。『スターシップ9』を観る前にぜひ! ■ビデオマーケット ■青山シアター |
|
『スターシップ9』 原題:ORBITA9 出演は『ザ・エンド』(2012)のクララ・ラゴ、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)のアレックス・ゴンザレスといった若手実力派俳優二人を主人公に配し、ベレン・ルエダ(『ロスト・アイズ』(2010)、アンドレス・パラ(『コレラの時代の愛』(2007)ら名優が脇を固める。 物語・・・ エレナはまだ見ぬ未知の星を目指して、一人恒星間飛行を続けていた。 ある日、スペースシップの給気系統が故障し、エレナは近隣のスペースシップに救援信号を送る。その呼びかけに応えて姿を現したのが、エンジニアの青年アレックスだった。一目見て、互いに恋に陥る二人。しかし、エレナはこの飛行に隠された秘密を知らなかった。それは、人類の未来を賭けた高度な実験だった。二人はなぜ出会ったのか―?! |
監督・脚本:アテム・クライチェ
プロデューサー:クリスチャン・クンティ、ミゲル・メネンデス・デ・スビリャガ
撮影:パウ・エステヴェ
編集:アントニオ・フルトス
美術:イニーゴ・ナヴァロ
音楽:フェデリコ・フシド
出演:クララ・ラゴ、アレックス・ゴンザレス、ベレン・エルダ、アンドレス・パラ
配給:熱帯美術館
2017年/スペイン・コロンビア/スペイン語/95分/カラー/シネスコ/5.1ch/DCP
© 2016 Mono Films, S.L./ Cactus Flower, S.L. / Movistar +/ Órbita 9 Films, A.I.E.