映画情報どっとこむ ralph 映画『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる』の劇場公開を記念した先行試写会を2017年6月2日に日比谷図書文化館で行われました。

本編上映後には、ゲストに臨床心理士で日本プレイセラピー協会理事の本田涼子さんを迎えたトークを実施。会場には赤ちゃん連れの若いご夫婦から、おじいちゃんおばあちゃん世代の方々まで約90名が集まり耳を傾けました。

乳幼児期の子どもの発達~プレイセラピーを通して~『いのちのはじまり』先行上映レポ
日付:6月2日
場所:日比谷図書文化館
登壇:本田涼子日本プレイセラピー協会理事

映画情報どっとこむ ralph 映画のメッセージ “子ども一人育てるのには村が必要”

映画『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる』はブラジル出身のエステラ・ヘネル監督が9カ国のさまざまな家庭を訪問し子育ての現場を撮影、様々な分野のスペシャリストたちへのインタビューも多数収録し、乳幼児期の子供たちにとって、育つ環境だけでなく、周囲の人々とのかかわりの質と量が、その後の人生を左右するほど重要であることを伝えています。

本田さんは、本作中一番印象に残った言葉は “子ども一人育てるのには村が必要” と答えました。子育ての方法は一つではないこと、家族一人一人にそれぞれ役割があり、さらに近所の人、地域の人々にも役割があって、それぞれが大事。子育ては、社会全体の力を必要としていると説明。日本では子育てを母親が一人でがんばってしまうケースがまだまだ見受けられるが、セルフケアを大事にし、周囲の協力を仰ぐことが大切と訴えました。

被災地でも用いられる “プレイセラピー”

子どもにとって遊びは呼吸することと同じくらい自然な行いです。自分の気持ちや願望を言葉で表すことは、大人にとって「あまり得意でない第二外国語で感情を詳細に説明する」ことと同じくらい難しいと本田さん。

この「遊び」という表現手段を用いて心理的な治療を行っていくことがプレイセラピーです。
同じようなごっこ遊びを、大人が心配するくらい何度も繰り返すことがありますが、じっくり観察してみると、少しずつ展開が変化していることがあるそうです。
東日本大震災の被災地でも、海から怪獣が町に押し寄せてくる遊びを繰り返し、恐怖心や無力感を表現しながら、だんだんと人々が集まり、壊れた町を立て直し、困難な状況を乗り越えようとする表現が出てくることが見られたそうです。
そんな子どもたちに、身近な大人たちがどのように寄り添っていけるかといった研修を、本田さんたちは現在も東北や熊本で続けています。

映画情報どっとこむ ralph 乳幼児期の脳は飛躍的に発達

発達の特徴には「可塑性」、「臨界期の存在」そして「愛着関係の影響」がある出生時に400gほどの脳は2~3歳くらいまでに1200~1300gになり、3歳までに脳の90%は発達すると言われています。本田さんは脳の発達時の特徴として、以下の3点を説明しました。
・刺激に合わせて使用依存的に変化しながら発達する「可塑性」
・ある刺激に対して最も効果が表れる「臨界期」の存在
・主要な養育者とのやりとり、コミュニケーション、触れ合いといった「愛着関係」により、人を信頼する力や共感力、世界観の基盤が形成される
ただし「臨界期」を意識しすぎて早期教育に走ることの危険についても言及しました。

完璧を目指して苦しくならないように、そこそこいい親がいちばん

映画には、児童心理学者、学習脳科学者、小児科医、精神分析医、経済学者、教師など様々な分野のスペシャリストが登場し、それぞれの立場から乳幼児期の大切さを語りますが、それを見て「もっとがんばらなくちゃ」「いつも一緒にいてあげなくちゃ」「3歳までにもっと自然に触れさせなくちゃ」「完璧な親にならなくちゃ」と思いすぎる必要はないことを本田さんは訴えました。イギリスの精神科医として有名なドナルド・ウィニコットの言葉「そこそこいい親 good enough mother」でいることが一番で、親子の触れ合いを大事にしながら、周囲の協力を乞い、リラックスして子どもとの時間を楽しむことが大切だと締めくくりました。

映画情報どっとこむ ralph 来場のお客様からは、

「子育ては親だけでなく周りの大人の様々なサポートがあって初めて成り立つものであることが伝わってきました。とても感動しました」

「子どもは遊びで表現をしていることを知ったママは、子どもを責めるより観察してみようと思えるだろうと思いました。何度も同じ遊びをくり返し、ストーリーをハッピーエンドに書きかえていくのは、大人がセラピーをするのと共通していると思い驚きました。」

「我が子達とのじかんをもっとふやすことにきめました。」

「貴重な体験談を聞けたので、ぜひメディア等を通じて広く伝えていってほしい」

等の感想を頂戴しております。

より詳しいレポートはアップリンクが運営するカルチャーサイト「WebDICE」をご覧ください。

映画情報どっとこむ ralph 映画『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる

すべての子供に、素晴らしい人生のスタートを。
世界中、いろんな国のいろんな育児を見つめたドキュメンタリー。
日本ユニセフ協会主催の上映会の大反響を経て劇場公開決定!

ブラジル出身のエステラ・ヘネル監督が9カ国のさまざまな家庭を訪問し子育ての現場を撮影しました。
育休を経て職場復帰時期に悩む母親、専業主夫となり二人の男の子を育てている元研究者、好条件の転職と娘の通学送迎が折り合わず悩んだ末に決断を下した父親、養子をとり育児中の驚きや喜びを語る夫婦、子育て中のレズビアンカップル、娘夫婦に代わって孫の面倒をみている中国の祖父母、ドラッグ中毒により子育てもままならない時期を経て立ち直った経緯を語る母親、両親を亡くし幼い兄弟の面倒をたった一人でみる少女など、さまざまな文化・民族・社会背景の子供たちの生き生きとした様子と、彼等を取り巻く大人のリアルな姿を映しだします。

さらに、児童心理学者、学習脳科学者、小児科医、精神分析医、経済学者、教師など様々な分野のスペシャリストたちへのインタビューも多数収録。乳幼児期の子供たちにとって、育つ環境だけでなく、周囲の人々とのかかわりの質と量が、その後の人生を左右するほど重要であることを伝えていきます。

6/24(土)よりアップリンク渋谷、ユジク阿佐ヶ谷、7/1(土)よりCINEMA Chupki TABATA 他にて全国順次公開

公式サイト
www.uplink.co.jp/hajimari/
twitter
@hajimari_movie
Facebook
@hajimari.movie

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監督:エステラ・ヘネル
制作:マリア・ファリナ・フィルムズ
提供:マリア・セシリア・ソート・ビジガル財団、バーナード・バン・リー財団、アラナ協会、ユニセフ
後援:アショカ 、世界銀行グループ、UBSオプティマス財団、ジョンソンズ 、ハギーズ 、ナチュラ 、アミル 、ポンポン 、TAMブラジル航空
配給・宣伝:アップリンク
協力:日本ユニセフ協会
(2016年/ブラジル/96分/カラー/16:9/DCP/原題:O Começo da Vida)

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