この度、イランの名匠アスガー・ファルハディ監督最新作『セールスマン』が6月10日(土)より全国順次ロードショーとなります。 本日6/7に公開を記念して来日中の主演女優タラネ・アリドゥスティさんと、本作を絶賛して下さっている国際政治、比較政治の研究者三浦瑠麗さんをお迎えしてトークショーを行い、80年代生まれのお二人が、映画『セールスマン』について語りました。 アカデミー賞受賞作『セールスマン』公開記念 |
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Q:まだ日本に到着して間もないと思いますが、感想をお聞かせください。
タラネさん:まだ20時間も経っていないですけど、今回日本に初めてくることができて、そもそもアジアの東側にきたことがなかったので、とっても楽しみにしていました。2、3時間しか外を歩いていないんですけど、全ての物が新鮮です。 |
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ここから三浦瑠麗さんからの質問
三浦さん:イラン社会におけるセンシティブな部分を描いた作品ですが、どう演じましたか? タラネさん:この話がきた時に戸惑いもなく受け入れました。イランでももちろん上映していて、たくさんの方が観てくれました。皆さんもご存じだと思いますが、イランで映画を上映する時は必ず検閲を受けなくてはいけないんです。しかし、この映画はそのまま上映することができた。そして高い評価を受けました。この映画に「セールスマンの死」という舞台が出てきます。たぶん読んでいる方もいらっしゃると思いますが、この作品の中で夫が何をしても信じて愛する奥さんが出てきます。ニューヨークがすごいスピードで近代化する時代を描いていて、それは今のイランと似ています。『セールスマン』でも、ある老夫婦が夫が何をしても許してしまう妻が出てきます。そこが監督の狙いで「セールスマンの死」をなぞっている。とても魅力的だと思います。 三浦さん:ドナルド・トランプ米国大統領が発令したイスラム国家7ヵ国の入国制限に抗議し、アカデミー賞授賞式へのボイコットをTwitterで表明し大きなニュースになりましたね。 タラネさん:トランプ政権になる前、イランは経済的に安心できる国になるかと思われたんですが、トランプ氏が大統領になったことで国民は不安になりました。その矢先、彼は突然入国制限令を発令した。アメリカに行くために飛行機に乗っていたたくさんのイラン国民が足止めされました。その中で、アカデミー賞に呼ばれたからとキレイな服を着てレッドカーペットを歩くことなんて許されない。他のイランの国民とは違う、女優だから特別なんだと思われたくなかったので抗議しました。 |
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Q:最後に一言 タラネさん:今は素晴らしい時代だと思います。遠いところから映像を持ってきて、皆さんに観てもらうことができます。そんな時代がやって来たんです。私たちはいろいろな国の文化を知ることができますし、映画や芸術を通じてもっと人と近づくことができます。みんなが文化を知り、心を知り、近づいていければ平和な世界になると思います。今日はありがとうございました。 『セールスマン』 公式サイト:www.thesalesman.jp 物語・・・
・第89回アカデミー賞外国語映画賞受賞 |
監督・脚本:アスガー・ファルハディ 『彼女が消えた浜辺』『別離』『ある過去の行方』
出演:シャハブ・ホセイニ/タラネ・アリドゥスティ
配給:スターサンズ/ドマ
2016/イラン・フランス/124分/ペルシャ語/ビスタ/字幕:齋藤敦子
(C)MEMENTOFILMS PRODUCTION-ASGHAR FARHADI PRODUCTION-ARTE FRANCE CINEMA 2016