ペンと葉書だけを武器にヒトラー政権に抵抗したごく平凡な夫婦の驚くべき実話をフランスの元祖フェロモン俳優ヴァンサン ペレーズが完全映画化製作の過程で明らかになった家族のルーツと本作との類似性2016ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。
いまだ甘い美貌は衰えないペレーズ監督ですが、半分ドイツ人の血を引く彼の本作と重なるルーツゆえ、テーマと真摯にむき合い、あの時代に生きた人間ひとり、ひとりのドラマが浮き上がる映画となっています。 |
|
『ヒトラーへの285枚の葉書』映画化まで
600ページを越す大著を、わずか4週間足らずで書き上げたハンス・ファラダの集大成とも言うべき原作「ベルリンに一人死す」がドイツで出版されたのは戦後すぐの1947年だが、ペレーズ監督は2007年にフランス語版が出版された際に初めて読み、その内容に感動し映画化へと動き出すが資金繰りで難航。 本作が英語映画になったことに対して ペレーズ監督:どこの国、いつの時代でも極端な人間が急に現れる可能性がある、大切なのは、あらゆる場所に住む人たちにこの話を伝えることだ。そして、誰でも闘うことができる、そして闘うには勇気が必要になると示すことが大切だった。だったら、英語の作品にする方がよいだろうと感じた。そうすることでみんなの計画が進むし、この話はいろいろな人に知ってもらうべきだからね。 と語る。 |
|
本作の製作過程で、母親がドイツ人であるペレーズ監督(監督自身はスイス生まれ、スイス育ち)は『ヒトラーへの285枚の葉書』でのクヴァンゲル夫妻との共通点を知りました。 それは、ロシア戦線で亡くなった17歳の叔父の存在。本作の主人公クヴァンゲル夫妻は、まだ若い一人息子をロシア戦線で失ったことで、戦争とヒトラーの政策に疑問を持ち、葉書にメッセージを書き、世間の人々へ訴えます。そして、ペレーズ監督のもう一人の叔父は戦時中精神病院に収容されており、後にガス室に送られ亡くなっています。また監督の父親はスペイン人であり、祖父は25歳の時に、右翼政党ファランヘ党員に射殺されている。それらのことが重なり、本作の映画製作に使命を感じ長い年月をかけ完成させたのです。 |
|
『ヒトラーへの285枚の葉書』 英題:Alone in Berlin 物語・・・ だが、それを嗅ぎ付けたゲシュタポのエッシェリヒ警部(ダニエル・ブリュール)の猛捜査がクヴァンゲル夫妻に迫りつつあった―。 |
監督:ヴァンサン・ペレーズ『インドシナ』『王妃マルゴ』出演/『天使の肌』監督
出演:エマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・パーシュブラント、モニーク・ショメット
2016年/独・仏・英/英語/103分/シネスコ/5.1ch
日本語字幕:吉川美奈子/
原作:『ベルリンに一人死す』(みすず書房)
後援:ドイツ連邦共和国大使館
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
© X Filme Creative Pool GmbH / Master Movies / Alone in Berlin Ltd / Pathé Production / Buffalo Films 2016