フィクションとノンフィクションでしか訴えることが出来ない真実。
アカデミー賞受賞監督ダニス・タノヴィッチ×『めぐり逢わせのお弁当』制作チームによる、パキスタンで実際に起こった事件を題材に、子どもたちを守るため巨大企業に立ち向かう男の闘いを描いた社会派エンタテイメントの傑作『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』が、3月4日(土)より新宿シネマカリテにて公開です。 2014年に完成するも、その衝撃的な内容で、世界中どこでも公開されていなかった本作が、ついに世界初公開! 日程:2月20日(月) |
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本作を観終えたばかりの観客に現れた鈴木さん。 鈴木さん:何とも言えない思いでいらっしゃると思います。でも、誰かと話がしたい複雑な思いだともいます。今日のトークイベントのオファー実録が好きなので軽く受けたのですが・・・観てみて状況がわかって、これでて大丈夫なのかと。 思わず保身に走りたくなるほどの、内容に多くの国で公開できず。日本公開が世界初という超がつくほどの問題作なのです。 鈴木さん:でも、このお父さん一人で頑張ったんだから、僕もちょっとぐらい勇気だそうとここに立っています。感想ですが、実録・実話ベースが好きで、トガニとか・・・現実には、ちょっと前向きに進んでるじゃないですか。でも、この映画はing。現在進行形。本人はカナダで。お医者さんはイギリスで逃げて暮らしています。 この映画パキスタンでは当然ですけど、インド、ヨーロッパでも公開されず。日本でも、まだ幻になるかも・・・それほど凄い映画。 MC:よく父親のセールスマンが告発したなと思いませんか? 鈴木さん:告発したけど信用してもらえなかった。で、ドイツで映画を作ろうとしたことも含めて描いていて、本当の会社が強いのがわかる構成で凄いですね。特に、日本の会社員にも見て見ぬふり多いと思うんです。歯向かったら消されたり。でも、消されるのも現実ですよね。今回これを配給する会社もすごいなと。 実は、今回のMCは配給会社の方。 鈴木さん:正義はつぶされるかもしれないけど。その心を持つことが大事だと。自分だったら?子供が生まれてからよく考えます。二択を取らなきゃいけないとき、歯向かいたいけど、しないと思うんです。伊丹十三監督を尊敬して、色々な、ことが変わったし、でも沢山の事件に巻き込まれたりする。作り手として憧れますよね。凄い勇気です。 |
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MC:告発物をストレートにつくることもできたと思いますが、巧妙に複雑ですよね。 鈴木さん:構造を巧妙にするしかできなかったのだと思いますね。そこが面白いところですよね。表現が難しいのはどういう風に脚本に落とし込むかがテクニックですね。 実は、この作品、撮影がとん挫し、インドの会社が手を差し伸べて完成した経緯がある。 鈴木さん:赤ちゃんの映像は89年の映像と、2013年の映像。未だに、続いてるんです。同じ症状の子供がいるんです。どうやって撮ったんですか? MC:監督がこの問題に興味を持って取材もして、その過程で取材映像として撮っています。 鈴木さん:あれは実際なんですね。映画はノンフィクションですが、映像にはフィクションのドキュメンタリーなんですよ。だから公開できないんですよね。今ですからね。 MC:WHOもこの告発で動いているんですけど。現場レベルでは全然変わっていないそうです。根深い問題なんです。 鈴木さん:カナダでの難民申請も下りなかったそうですよね。 MC:あの企業が凄い大手なので。その後、ビザは何とか下りてカナダで暮らしています。現在ではベイビーミルクアクションに入って、この話をパネリストとしておこなっています。 鈴木さん:本人と家族が公開するときに来るんですって。世界で公開されないものが、日本の映画って自由だなと。日本は発信力ありますからね。本人喜んでますよね? MC:本当に喜んでらっしゃいます。言葉を信じてもらえない。この映画は彼にとっては生死にかかわるものです。公開初日は、彼にとっても歴史的な瞬間ですので初日に立ってもらいたいと思っています。 (*主人公のモデルとなったサイヤド・アーミル・ラザ・フセイン氏による初日舞台挨拶は、諸般の事情で来日ができなくなったことにより急遽中止となりました。) |
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最後に・・・ 鈴木さん:この映画90分以内でまとめてる凄さ。そして、本当に問題作ing。この映画を公開できる日本って素敵だなと思いました。 と、トークイベントは終了しました。 『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』 3月4日(土)より、新宿シネマカリテほかにて全国順次ロードショー! 物語・・・ 子どもたちを守るため、男は世界最大企業を敵にまわした― あるグローバル企業が、パキスタンで粉ミルクを強引に販売したことによって、不衛生な水で溶かした粉ミルクを飲んだ乳幼児の死亡率が増加してしまう。 その現状を知ったセールスマンのアヤンは、自らが販売した粉ミルクが子供たちの命を奪っている事に気づき、巨大企業を訴えようとする・・・。
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監督:ダニス・タノヴィッチ
脚本:ダニス・タノヴィッチ、アンディ・パターソン
出演:イムラン・ハシュミ、ギータンジャリ、ダニー・ヒューストン、カーリド・アブダッラー、アディル・フセイン
2014年/インド=フランス=イギリス/94分/シネマスコープ
配給:ビターズ・エンド
(c) Cinemorphic, Sikhya Entertainment & ASAP Films 2014