1980年代に『神経衰弱ぎりぎりの女たち』『アタメ』といったセンセーショナルな快作や異色作を連打したのち、キャリアを重ねるごとに円熟味を増し、世界的な巨匠の地位を揺るぎないものにしたペドロ・アルモドバル監督。
その最新作『ジュリエッタ』 は、深い哀しみに引き裂かれたひと組の母娘の物語だ。 アルモドバルが“女性賛歌3部作”と呼ばれる自身の代表作『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『ボルベール〈帰郷〉』にも通じるエモーショナルなテーマを追求するとともに、魔術的なまでに深みを湛えた語り口で観る者を“虜”にするヒューマン・ドラマ。 11月5日(土) 新宿ピカデリーほか全国公開が決定し、併せてポスター解禁です。 |
|
主人公ジュリエッタ役にアルモドバルはふたりの女優を初めて起用。
スペインのベテラン女優エマ・スアレスがジュリエッタの“現在”に扮し、NHKで放送されたTVシリーズ「情熱のシーラ」で脚光を浴びた新進女優アドリアーナ・ウガルテが“過去”を演じています。 監督は2人の女優について、 アルモドバル監督:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ヴィクトリア・アブリル、マリサ・パレデス、セシリア・ロスといった私の女神たちと肩を並べる存在になった。 と絶賛。アルモドバルが見出した新たなミューズたちの名演技は見逃せません。 |
|
気になる物語は・・・
スペインのマドリードでひとりで暮らしているジュリエッタは、美しく洗練された容姿の中年女性だが、自分を心から愛してくれている恋人ロレンソにも打ち明けられない苦悩を内に秘めていた。 そんなある日、ジュリエッタは偶然再会した知人から「あなたの娘を見かけたわ」と告げられ、目眩を覚えるほどの衝撃を受ける。 ひとり娘のアンティアは、12年前に理由さえ語らぬままジュリエッタの前から突然消えてしまったのだ。最愛の娘をもう一度、この手で抱きしめたい。母親としての激情に駆られたジュリエッタは、心の奥底に封印していた過去と向き合い、今どこにいるのかもわからない娘に宛てた手紙を書き始めるのだった……。 |
|
ジュリエッタが着用する“赤”のドレスのクローズアップで幕を開ける本作は、アルモドバルならではの鮮烈で艶めかしい色彩感覚が遺憾なく発揮され、古典的なサスペンスやフィルムノワールの興趣にも彩られた映像世界は、このうえなく魅惑的な陰影とスリルに富み、極上のミステリー小説に引き込まれるかのようなめくるめく陶酔感を堪能させてくれる。
原作は、カナダのノーベル賞作家アリス・マンローが2004年に発表した短編集「Runaway」。同一主人公でありながらそれぞれが独立したストーリーである3編を、アルモドバル自身がひと続きの物語として脚本化。 老練な語り口。普遍的なテーマ。色鮮やかな映像美。 愛する娘へ 「今まで言えなかった、すべてを話すわ。」 『ジュリエッタ』 |
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル 『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『ボルベール〈帰郷〉』『私が、生きる肌』
出演 : エマ・スアレス アドリアーナ・ウガルテ「情熱のシーラ」
ダニエル・グラオ インマ・クエスタ ダリオ・グランディネッティ ミシェル・ジェナー ロッシ・デ・パルマ
2016年/スペイン/99分/アメリカンビスタ
配給:ブロードメディア・スタジオ