10月17日(土)より全国公開の映画「ベトナムの風に吹かれて」シンポジウム付き試写会が行なわれました。

上映後のシンポジウムには、主演みさお役の松坂慶子さん、母・シズエ役の草村礼子さん、大森一樹監督、また来日したベトナム製作チームよりダン・タット・ビン監督・プロデューサー、カフェ店主役のグエン・ラン・フーンさん、グエン・ティ・ホアイ・オアインプロデューサー、そして原作の小松みゆきさんが登壇し、岡田裕プロデューサーが進行を務めました。

「ベトナムの風に吹かれて」試写会

「ベトナムの風に吹かれて」シンポジウム付き試写会
日付:8月25日
場所:新宿・明治安田生命ホール
登壇:松坂慶子、草村礼子、大森一樹監督、
ダン・タット・ビン監督・プロデューサー、
グエン・ラン・フーン、グエン・ティ・ホアイ・オアインプロデューサー
小松みゆき(原作者)

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ベトナム映画界の第一人者であるタット・ビン監督は、

タット・ビン監督:ベトナムの映画界ではアメリカのハリウッド映画しか上映されていません。アクションやホラーがほとんど。そんな中、日本側から脚本を読ませてもらい、映画化すべきだと思った。テーマは地味です。激しい話でもない。しかしどの国でもぶつかっている問題、高齢化の問題はまさにそれです。だからきっとベトナム、日本、どちらにも歓迎される映画になるだろうと思っていました。先日のハノイでの試写会で、ベトナム人観客にも大変歓迎されました。

ベトナム人キャストの中には、日本語を一度も勉強したことのない俳優もいました。この場をかりて大森監督とスタッフに感謝したい。「湖畔の宿」を歌う時には、日本語の歌まで指導してくれました!

と笑顔で語りました。

ラン・フーンさん:デビューしたのは10歳のときでした。そして今54歳。40年以上舞台や映画に出演し、15年前からは舞台の監督もやり始めました。主演が多かったですが、主人であるタット・ビン氏から今回『助演をやってみるか?』と聞かれ、『ぜひ』と答えました。外国人スタッフと仕事をしたのは初めてだったんです。それまでヨーロッパや欧米との合作映画では、私の顔はアジアっぽくないと言われて出た事がなかったので。実際日本のスタッフと仕事して本当に楽しかった。やる気がわいてきました。ベトナムでの俳優の立ち位置は国家公務員という扱いです。劇場(舞台)から指示があり、出演しますので。

オアインプロデューサー:今まで舞台や映画、コンサートの開催などに関わってきました。2年ほど前に岡田プロデューサーがベトナムに来られたとき、脚本を読ませていただいたときは、「ベトナムに詳しい脚本家にお願いしたい」と伝えしました。そして2回目頂いた脚本をタット・ビン監督と読んで、この脚本なら高く評価されると思いました。その脚本に基づいて映画化されたわけですが、大森監督のアイディアが撮影する間にたくさん盛り込まれています。守衛さんは最初ゲイではなかったのですが、ベトナムの観客にはとても受けている。介護がいよいよ行き詰まったシーンでは、ベトナムの観客もわたしも、涙を流しました。
今回の映画には『年をとっても孤独じゃない』そんなメッセージが込められていると感じています。」と語り、ハリウッドのアクションとホラー全盛のベトナム映画業界において、本作を「地方へも細かく回る講演付きの公開を考えています。

小松みゆき原作の小松みゆきさんが書いたのはノンフィクションだが、映画はそれをフィクションとして成立させている。
小松先生:介護の部分については、本当。でもその他は・・・ここは嘘、ここは本当というのがある。青春時代なら・・・ということとか。だいたいフィフティ・フィフティかな!

と松坂さん演じるみさおと奥田瑛二さん演じる小泉のロマンスを感じさせるストーリーに少し照れたような笑いを見せました。

「ベトナムの風に吹かれて」試写会3

映画が出来上がるまでの2年以上にわたり、ともに走り続けてきた主演の松坂慶子さんは

松坂さん:みなさんの深い思いを伺えてよかったです。映画に参加できたことも幸せだし、こういう時間を持てた事も幸せです。これをきっかけに、これからも映画、そして文化を通じて交流を続けていきたいと思います。

やはり台詞の意味がわからないと感情がこもらないので、先生にダメだしをうけました。いまのじゃ伝わらないって。先生に本当にお世話になりました。早朝からロケにいって、合間に先生について夜までずっと練習して、書いて。みなさんご存知のように日本語は口が縦にあく事が多いんですが、ベトナム語は横にあく事が多いので。でも、いまやっとみなさんのおっしゃる単語がわかるようになったりしました。

草村さん:70年前戦争が終わる半年前にわたしの父は亡くなりました。戦地で死んだわけでなく自宅で亡くなったんですが、戦争がなかったら死ななくて良かった人です。わたしは戦争が嫌いです。いやです。世界中の人が仲良く暮らしたいと思うし、これからも戦争がないように祈っています。そんな気持ちを大きな声で叫ぶんじゃなくて心のなかにあるものを映画の中で、役のなかでいかせる、願いが届けられる役を与えられて、父も上で喜んでいると思います。わたしはベトナムの役者さんたちとベトナム語で言葉を交わすことはひとつもなかったんですが、初日はびくびくしながら行ったんですが、いたわっていただいて、仲良くしていただいてとてもハッピーでした。私は言葉はできないけれどお相手の目を見たり、心の目で見ていると成立するんですよね、会話が同じ間合いで進行できたので、心で会話するということはあり得ると思います。

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大森監督:去年の今頃は迷走状態で、できるかな・・・と思っていたので、今日こんなお披露目ができて夢のようです。映画をやっててよかったな(笑)。

ベトナムにはかつての日本映画にいた俳優さんみたいな人がたくさんいるんですね。森繁さんとか、三木のり平さんみたいな。駅前シリーズか社長シリーズかみたいなノリでやれるっていう。じつは日本映画って昔こんな感じだったんですよね。その古き良き日本映画のある復活じゃないかなと思っております。これはベトナムにいったからできたキャストだし風景。ぼくはやっていて幸せでしたね。ベトナム語は長いから、日本語の2行くらいの台詞でも『まだしゃべってる』となる。カットかけると『まだ途中です』ということが何度かありました(笑)。

と合作ならではの失敗エピソードもはなされました!

10月17日(土)より有楽町・スバル座ほか全国公開

公式HP:vietnamnokaze.com

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ベトナムの風に吹かれてポスター出演:松坂慶子 草村礼子 
藤江れいな(NMB48) 
山口森広 貴山侑哉、斎藤洋介 吉川晃司(友情出演)
松金よね子、柄本 明、奥田瑛二

監督:大森一樹 
脚本:大森一樹 北里宇一郎(「越後のBaちゃん ベトナムへ行く」2B企画より)
原作:小松みゆき「ベトナムの風に吹かれて」(角川文庫刊)
主題歌:フォー・セインツwith松坂慶子「たまには仲間で」(ユニバーサル ミュージック)
製作:「ベトナムの風に吹かれて」製作委員会
配給:アルゴ・ピクチャーズ
2015/日本・ベトナム/日本語・ベトナム語/1時間54分/ビスタ/カラー/5,1ch/日本語字幕
(C)「ベトナムの風に吹かれて」製作委員会
 

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