夢と介護の狭間『話す犬を、放す』熊谷監督インタビュー


映画情報どっとこむ ralph つみきみほさんと田島令子さんを迎えて、夢を追求するということと介護の狭間で揺れる主人公を熊谷まどか監督が丁寧に描いた映画『話す犬を、放す』は2017年3月11日(土)より有楽町スバル座他にて全国公開となります。


本作は「SKIP シティ国際Dシネマ映画祭2013」にて短編『世の中はざらざらしている』がノミネートした熊谷まどか監督の初長編作品。



熊谷監督にインタビューさせていただく機会を得ましたのでご紹介。


映画情報どっとこむ ralph 劇中では、母親が突然、幻視を見てしまうレビー小体型認知症を患ってしまいます。

Q:レビー小体型認知症という聞きなれない病をモチーフにしたのは?

監督:実は、アルツハイマーに次いで多い認知症なんです。私の母が散歩の途中に犬やサルの幻視を見るようになって病院に行ったところ、この病気で。見えないものが見えるということが、映画になるなと思いました。SKIPさんにも認知症は現代的なモチーフだと思っていただいたようです。

実は本作は、監督を育てる映画祭をうたう「SKIP シティ国際Dシネマ映画祭」の昨年のオープニング上映向けに製作された作品で、東京国際映画祭でも上映されています。


Q:『話す犬を、放す』タイトルが面白いですが・・・このタイトルにされたのは?

監督:タイトルは、オリジナルストーリーを描いていたときに、同時に降りてきたんです。犬はずっと家事で家の中にいたお母さんの過去の象徴でもあるんです。

と、クリエーターらしい直感がさえたタイトルになったよう。

Q:主人公を女優にしたのは?

監督:夢を追いかけている人の象徴です。まだ結果は残せていないけれど、母は応援してくれていて。自分自体のキャリアをどうしようかなと思っている存在を描きたかったので、好きなことに邁進していてもがいているキャラクターとして、女優があっているなと思いました。

Q:つみきさんと田島さんは、本当の母子のようで、ピッタリの配役でしたが、起用した理由は?

監督:私の中で、つみきさんは『桜の園』の鮮烈なイメージが強くて、そのピュアさと女優としての真摯な生き方が、映画を観るお客さんに重ねやすいかなとお願いしました。今回、つみきさんも「人に迷惑をかけようが、しがみつくのが才能なのよ」というセリフに共感されたそうで、オファーを受けていただけました。

と、つみきさんは、最初からイメージ通りだったそうですが、田島さんに関しては・・・

監督:田島さんは、都会的な雰囲気の方なので、正直、家庭的なお母さんのイメージはあまりないかとも思いました。ですが、以前拝見したドラマの役が天然で可愛らしかったので、きっとお茶目なコメディーもこなして頂けるにちがいないとお願いしました。今回、自然な感じで役にはまっていらして嬉しかったですね。撮影は1週間と短かったのですが、田島さんとつみきさんが通い合っていたようで良かったですし、お二人とも意外とせっかちだったり似ている部分もあってピッタリの組み合わせでした。

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続いて話題は、周りを固めている役者さん達に

Q:主人公を映画に誘ってくれる眞島さんの役のイメージはありますか?

監督:眞島秀和さん演じる三田は、主人公・レイコの学生演劇仲間で、一緒に頑張って来た戦友です。最近、売れてきて人気が出てきたという設定です。実際に活躍中の小劇場出身俳優さんを思い浮かべて頂ければ。

Q:ディーン・フジオカさんを彷彿させる役も出演されていますね。

監督:そうなんです。つみきさんが演劇学校で教えていて、その演劇学校に貼ってあるポスターの役者さんは、ディーン・フジオカさんをイメージして作りました。

と、観客がイメージしやすいように観客ファーストな立ち位置で監督は台本を書かれているようです。後に出てくる演出にもこの精神は繋がってきます。


Q:劇中で映画を撮っている女性監督は、バタバタしている感じである一方で撮ることに熱い監督でしたが、あれはご自身ですか?

監督:彼女は知り合いの若手の女性監督達の複合体です。仕事を辞めて、映画を撮って、結婚をして、子育てをして・・・でも生活環境が変わっても映画を撮り続けている。格好良いなと思うんです。主人公は結婚や育児を選択しませんでしたが、いろんなことをあきらめないのがいいなと。欲張ればなんとかなると思うので。彼女たちへのエールでもあります。自らも劇団を立ち上げるなどパワフルな木乃江祐希さんが、役柄をイキイキと演じてくれました。

Q:劇中で出てくる役者の「反射」は、監督ご自身の演出でも求めるものですか?また演出で気にかけているところは?

監督:お芝居を観ていて面白いのは、組み立てられた熱演より、役者のやり取りの中で、反射が起きたときに良いものを見たなと思うんです。今回の母娘も良い反射が起きていてお二人を選んで正解でした。演出に関しては、“役者”が出しやすいように環境・設定に気を使いますが、まず芝居をしてもらって、観客席のお客さんのつもりで見て、ここ「いただき!」って切り取らせていただいてます。

と、役者さんの持ち味を引き出すことに力を注ぐと語る監督。

映画情報どっとこむ ralph 最後に、

Q:次回作の構想、お知らせなど。

監督:次回も長編を撮りたくて内面の葛藤をダーク・サスペンスで描くプロットを書いています。

と、次回作も、とっても気になります。

熊谷監督はとっても、観客サイドに立った映画作りをされる、気さくで話にパワーを感じる監督さんでした。余談ですが、お医者さん役の板垣雄亮さんも記者的には注目です!劇団殿様ランチの作・演出担当などもされています!

映画『話す犬を、放す

2017 年 3 月 11 日(土)有楽町スバル座他全国ロードショー!

公式 HP:
http://hanasuinu.com/


物語・・・

売れない女優・レイコのもとに、ある日、昔の仲間で今や人気 俳優になった三田からの紹介で、映画出演の話が舞い込んでくる。

喜び勇むレイコだが、折悪しく母・ユキエ が“レビー小体型認知症”を発症し、かつての飼い犬・チロの幻視に悩まされるようになってしまう。女優としてこれが最後かも知れないチャンスと、母との生活を両立させようと 奮闘するレイコだが…。

娘、母それぞれが抱える「あったかもしれないもう一つの人生」への葛藤を、独特のユーモアを交えながら温かく見つめ、人間賛歌へと昇華させたハート フル・コメディに誰もが共感できるはず。本作で初共演となったつみきみほ、田島令子が愛らしい母娘を演じ、眞島秀和、木乃江祐希らが脇を固めている。

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2016年/日本/84分
出演:つみきみほ、田島令子/眞島秀和、木乃江祐希
監督・脚本:熊谷まどか
製作:埼玉県/SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ
制作:デジタルSKIPステーション、オフィス・シロウズ
特別協力:川口市
配給・宣伝:アティカス
     
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