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第1回新潟国際アニメーション映画祭

開催3日目を迎えた第1回新潟国際アニメーション映画祭で行われた様々なトーク、会見などをご紹介。

片渕須直監督登壇

3月18日(土)夜、新潟市民プラザでの『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の上映後に片渕須直監督が登壇し、作品について「さらにいくつもの<人生>があるという思いで作りました。世界にはいくつもの片隅があって、(この映画は)世界中であの時代に生きていたいろんな人たちの象徴ではないかと思っています」と制作に込めた思いを吐露。当時の街並みを再現すべく、原作では描かれていない背景も、実際に現地で地元の方々に話しを聞き、看板のロゴにいたるまで調査するという緻密な情報収集を重ねたという片渕監督。「抽象的な1日ではなく実際にあった日々を再現したい」「リアリティを繋ぎ止めて、逃げないようにしたい」という思いから、当時の学生が書いた日記も参考にし、実際の天気までも確認。その熱い思いが、胸を打つリアリティに繋がりました。
第1回新潟国際アニメーション映画祭
続く19日(日)片渕監督は、新潟日報本社 そらの広場に満場の観客を集めて、タイトル未定の新作についてのトークイベントを開催。平安時代の言葉の美しさ、刺激的ではないリアルな世界であることにも惹かれ、清少納言「枕草子」をテーマに新作を制作中の片渕監督は、「書かれていることがリアルで、この人(清少納言)にカメラを渡したら面白いものを撮ってくれるんじゃないか、アニメ向きの映像描写だな」と感じたことを明かし、制作中の絵柄や絵コンテを映した映像を実際に用いながら「描いた時に見えてくるのは『この世界の片隅に』を通して80年近く前の生活を描き、そこにいたすずさんの人間像が見えたように、今度は1000年前の人たちが、どんなに生々しくそこにリアルに存在していたか、ということを描き出したい。それが今度の自分たちの使命だなと思っています」「2025年くらいの公開を目指しています」と語る。そして「また来年も新潟国際アニメーション映画祭に来場したい」「来年この作品がどれくらい出来上がっているか、ぜひ確かめたいところです」と会場を和ませながら本イベントを締めくくりました。

永野護監督『花の詩女 ゴティックメード』

また、同じく19日(日)夜、新潟市民プラザでは発売と同時にチケットが完売した、永野護監督待望の新作『花の詩女 ゴティックメード』の上映前のトークに永野護監督、声優の川村万梨阿、進行役の本映画祭フェスティバル・ディレクター井上伸一郎が登壇、満席の観客に向けて語りあいました。「漫画って1人作業で作られているよりも、やっぱり自分以外の人が描くキャラクター、表情、動きっていうのが、関わった人の分だけ豊かになる。特に『花の詩女 ゴティックメード』では、いろんな方のいろんな思いがより膨らんだと思っています」と述べる永野監督。川村らメインの声優たちについては「指示は何もしていません。基本的にシナリオの段階で声の方々は決まっていました。僕の知っているイメージでやってくれ、その一言です。その後アフレコで最初の第一声を聞いて、あ、もう言うことないなと思いました」とその出来栄えに満足している様子でした。
また、主演声優を務めた川村万梨阿は、オススメのシーンについて「ベリンがタネを撒くシーンがあるんですけども、曲が先に出来上がっていて、アニメーターの門上さんが原画を描いてくださり、“どんな感じにしよう?”となった時に、「ちょっと踊ってくれない?」と。「それである日、カドカワのビルの屋上でその曲を流しながら私が株を抱えて踊っているところを、門上さんがひたすらスケッチしてくださいました。(スマホではなく)スケッチというところが素晴らしい!私、踊るときに手を折る癖があったんですけど、それが全部表現されていたので、アニメーターすごい、怖いって思いました(笑)」と秘話を語りました。
最後に、永野監督は「僕の性格だと、ワンシーンを見ると全カットやり直しになりかねないので、あまりオススメ箇所は言えないですけど、僕が本来作っている『ファイブスター物語』という複雑怪奇な作品とは違って、60分でまとめるという起承転結さや、ロボットの映像と、今まで日本の映画・アニメーションでおざなりにされていた音響。予算に恵まれた作品だったので、細かいところではなく、全体的な音響と臨場感というものを、やれるとこまでやろうとなって、結果たくさんの皆さんに“音が良い、面白い音の体験ができる作品だ”という評価をいただいているのが本当に光栄です」と感謝のメッセージを送りました。
第1回新潟国際アニメーション映画祭

コンペサロン会見

親近感が感じられる距離で、コンペティションに参加している監督たちとジャーナリストたちの質疑応答を行うサロン会見。19日の回には、アメリカから『森での出来事』のエリック・パワー監督、アルジェリアから『カムサ-忘却の井戸』のヴィノム監督が参加しました。2人とも押井守監督の熱烈なファンであることを公言し、押井監督が審査委員長を務めるこの映画祭にぜひ参加したかった、と応募の動機を熱く語りました。日本のアニメやゲームに多大な影響を受けているという2人。ヴィノム監督は、新潟で押井監督の作品で観たような街並みを実際に見て感動。まるで自分がアニメの中に入り込んだようでここに来られて嬉しかったと思いを明かしました。
第1回新潟国際アニメーション映画祭

大友克洋レトロスペクティブ

大友克洋レトロスペクティブ会場のシネ・ウインドでは、『スチームボーイ』の脚本で有名な脚本家の村井さだゆきのトークイベントが行われ、「大友さんがこの映画でやりたいことは何だろうと考え、きっと博覧会を壊したいんだろうと。僕はそれで親子げんかでロンドンが壊れると面白いなと思い執筆しました。」など、『スチームボーイ』の上映後に行われたトークイベントで、脚本執筆時の裏側を明かしました。
第1回新潟国際アニメーション映画祭

映画情報どっとこむ ralph 【第1回新潟国際アニメーション映画祭】
英語表記:Niigata International Animation Film Festival
主催:新潟国際アニメーション映画祭実行委員会
企画制作:ユーロスペース+ジェンコ
特別協力:新潟市、新潟日報社、新潟県商工会議所連合会、燕商工会議所
後援:経済産業省、文化庁、新発田市、外国映画輸入配給協会、新潟県商工会連合会
協力:新潟大学、開志専門職大学、JAM日本アニメ・マンガ専門学校
協賛:NSGグループ
会期:3月17日(金)~22日(水)    
上映会場:新潟市民プラザ、T・ジョイ新潟万代、シネ・ウインド 、クロスパル新潟 
イベント会場:新潟日報メディアシップ、古町ルフル広場、開志専門職大学、新潟大学駅南キャンパスときめいと
公式サイト:https://niaff.net
海外ビジュアル『新潟アニメーションョン映画祭』

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©NIAFF
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