『聖者たちの食卓』ウィチュス監督来日記者会見レポート


9月27日(土)に渋谷アップリンク、新宿K’s cinemaにて公開となる

『聖者たちの食卓』

監督のフィリップ.ウィチュスさんが来日し、8月27日(水)に行った来日記者会見の模様のご報告。

聖者たちの食卓_ティーチインの様子
ウィチュス監督来日記者会見レポート

Q1:『聖者たちの食卓』を制作したきっかけはなんですか?

黄金寺院に訪れたのは全くの偶然でした。2010年に『Sarega』というインドの伝統的な音楽についてのドキュメンタリー映画の制作にあたり、インドとパキスタン国境の街、アムリトサルに滞在しました。

そこで、国境の国旗降納式を待つ間、黄金寺院を訪れました。私はシェフなので、この大量の食事を作るキッチンが気になり、覗かせてもらいました。大人数の食事を作る姿に感動し、この素晴らしい場所を世界に見せなければいけない、と思い制作することにしました。

Q2:無料食堂のキッチンで働く人はどういう人たちですか?

この黄金寺院は、とてもオープンな場所で誰でも入れます。宗教や階級は関係ありません。巡礼者や心の平安を求めて訪れる人も大勢います、普段の生活に疲れた人が訪れた…。中には、訳アリでこの寺院にこなくてはならない人もいます。例えば、結婚で問題を抱え居場所を失った女性や駆け込み寺のように身を寄せたり、金銭的に非常に困っている家族たちが、一時的に食べるものと眠る場所を求めて黄金寺院を訪れたりもします。いろんな事情を抱えた人々のシェルター的な役割も持っています。逆に、犯罪者が身を隠すために利用したりする人もいるそうです。

Q3:黄金寺院の無料食堂(ランガル)は、現代社会の大量消費システムや、効率至上主義とまったく逆に位置するシステムですね。

そうですね。働いている人たちは、みなボランティアで、自分の意志で働いてます。彼らは仕事に対して、それぞれの役割、それぞれの能力、それぞれのペースで出来る範囲でやればいい、そして大いなる目標として10万食というたくさんの食事を用意する、という考えのもと取り組んでいます。

中には一つのニンニクを20分もかけて皮を剥く人もいたり、生産性は重要視されていません。効率至上主義とは、まったく正反対のものです。しかし、それでもきちんとシステムは機能している。スローなペースでも成り立っています。

聖者たちの食卓_ティーチインの様子2
Q4:労働する人々の生き生きとして表情から、人間らしくい温かい感情や助け合いの心も感じられて、全体的にスローな時間が流れています。

私は、観光ガイドをしていた時代がありますが、欧米でも日本でも、観光地に行くといろいろなものを見たいという気持ちで、極端なことを言うと数時間しかその場所にいない、分刻みのようなスケジュールで動く人もいます。しかし、そんなにあわてないで、もっとひとつの場所の魅力をじっくり味わうような、
その場所の空気を楽んだり、昼と夜で違う街の顔を発見したり、時間をかけて旅行を楽しんでもらえればと思っていました。

だから、この作品でも、特別な寺院に流れている神聖な空気と、スローなペースを感じてもらえるように作りました。

Q5:説明やナレーションがない構成にした理由はなぜですか?

私自身がドキュメンタリーなどのナレーションは苦手というのもあります。それに、この黄金寺院はとても神聖な場所です。その場所に対して、自分がどんなことを言っても何か違うと思って、ナレーションは入れませんでした。

『聖者たちの食卓』

は、2014年9月27日(土)より、渋谷アップリンク、新宿K’s cinema他全国順次公開 です。

聖者たちの食卓_大きな鍋
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物語
インドのシク教総本山にあたるハリマンディル・サーヒブ<黄金寺院>では、毎日10万食が巡礼者や旅行者のために、すべて無料で提供されている。そこは宗教も人種も階級も職業も関係なく、みなが公平にお腹を満たすことができる「聖なる場所」だ。想像すらつかない沢山の食事は、毎日どのように用意されているのだろうか?

スクリーンに映し出されるのは、驚くべきキッチンの舞台裏と、それに関わる人々の一切無駄のない神々しい手さばき。

もちろん、近代的な調理器具は使わず、全てが手仕事で行われている。訪れた人々があらゆる差別や偏見を気にせず、同じ鍋のごはんをいただく“大きな団らん”と、それを支える人々の無償の労働。その姿はファストフードやコンビニ弁当による「ひとりご飯」が当たり前となってしまった私たちに、「食」という人の営みの原点を思い出させてくれる。インド黄金寺院に古くから伝わる食卓の風景に、心解きほぐされる極上のショートトリップ・ドキュメンタリー。

監督プロフィール フィリップ.ウィチュス
ウィチュス監督1966年生まれ。映像作家兼フリーの料理人。料理評論家としても活躍中。ブリュッセル国内で食に関連したさまざまなプロジェクトに携わるほか、マダガスカルやセネガルなど世界各地で1000人分以上の食事を作るボランティアもしている。

ヴァレリー・ベルト
1975年生まれ。ブリュッセルの大学でビジュアルコミュニケーション、写真を学んだ後、フォトジャーナリスト兼映像作家の道に進む。NGO団体などと一緒に、多くのプロジェクトのコーディネーターとしてクロスオーバーに活躍している。

共同監督である、ヴァレリー・ベルトさんは、今回はスケジュールが折り合わず、来日していません。


監督:フィリップ・ウィチュス,ヴァレリー・ベルト
(2011年/ベルギー/65分/Color/16:9/原題:Himself He Cooks)
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