小松真弓監督『もち』初日舞台挨拶

映画情報どっとこむ ralph 岩手県一関市骨寺村を舞台に、そこに生きる一人の少女を主人公に土地の伝統の食文化【もち】にまつわる人々の出逢い、別れ、そして成長を描く物語『もち』が本日7 月4 日(土)より渋谷・ユーロスペースにて公開しました。初日舞台挨拶として、小松真弓監督、及川プロデューサーが登壇しました。
小松真弓監督『もち』初日舞台挨拶

『もち』初日舞台挨拶
日付:7月4日
場所:ユーロスペース
登壇:小松真弓監督、及川卓也プロデューサー

映画情報どっとこむ ralph コロナウイルスの影響を鑑みて、1席あけながらも満席の会場に小松真弓監督と及川プロデューサーが登場。

公開初日を迎えての気持ちを聞かれると「まず嬉しかったのが率直な気持ち。公開まで長い時間がかかりましたし、(今までかけた時間を考えると)コロナで多少延期になるくらいならそこまでショックじゃないくらい。(主演の)ユナちゃんが撮影時中3だったのが高3になっちゃった(笑)みんなが見る頃にはユナちゃんは何歳になるのかなと思っていました。」と無事に公開できたことの喜びを噛みしめた。
小松真弓監督『もち』初日舞台挨拶

映画の舞台となった一関出身の及川プロデューサーは、なぜこのテーマを選んだかという問いに、「東京のスピード感や豊かさも楽しいですが、違う豊かさを求める人が地域と関わりを持っている現象に注目するようになりました。8年前にマガジンハウスで日本の地域をテーマにしたwebマガジンコロカルを立ち上げ、編集長を務めております。地域に関わる人にとって、人口減少や文化の衰退など厳しいことも沢山ありますが、新しい価値を発信できたらと思い、小松さんに一関の映像をお願いしたのがきっかけです。小松さんに一関に入っていただいて沢山の人や場所、伝統芸能などいろんなものを見ていただきました。それから小松さんの感性で大切なものを映像として残していこうと発展し、始まったのが本作です。」と作品の背景を語った。
及川卓也プロデューサー

俳優ではない中学生だった佐藤由奈さんを主演に抜擢した理由を聞かれると、小松監督は「いろんな人と話をする中で、鳥舞という神楽を復活させた中学生がいると聞いたんです。そんなに面白くないトピックスですよね、と地域の人には言われましたが、 私にはとても興味深かった。実際に会いに行った時に、ユナちゃんが校庭にポツンといて、その時の様子を見ただけでちゃんと土に立って生きている人がいると思って。反抗的だけど弱い、野生動物のように真っ直ぐだなと思ったのが第一印象です。そして彼女と話をすると、すごく地元のものを愛していて、自然と生きるってこういうことなのか、って私に教えてくれたんです。彼女のまっすぐさにとても惹かれてオファーしました。」と回想した。

会場からの質疑応答では、「ドキュメンタリー的に撮っているのに物語の紡ぎ方はどのようにしていたのか、脚本はなく編集でつなげていったのか?」という質問に小松監督は、「脚本は書いていました。150人くらいにお会いした取材を基にパズルのように組み立てたものがあった。出演者の彼らは元々演技をしている人ではないし、脚本を見せたのはユナちゃんだけです。『こういう話をしていたよね?ユナちゃんに話してもらっていい?』とこういう感じで伝えていきました。空気を見て、良い話をしていたらその話に方向転換させたり。撮影の順番が順撮りではない時もあるので、次の話にどうやって繋げていこうかと、撮影直後から翌朝まで考え尽くして、スタッフと共有するためにコンテを書いて翌朝渡す・・・っていうのを連日やっていました。」と、独自の演出方法を説明。フィクションとノンフィクションの間のような不思議な世界観を持つ本作を見た直後だけに、多くの人が頷いていた。

撮影中に印象に残っていることを聞かれると、「卒業式で生徒たちへ祝辞シーンで畠山先生の撮影をお願いした時に、先生が緊張してレポート用紙2枚くらいにセリフを書いてきたんです。堅苦しい話で、私が先生と話した生徒への熱い思いがそこにはなくて。私、怒ってレポート用紙を投げ捨てて(笑)別室で改めて考えてきてもらったんです。いざ撮影となったらスタッフ全員大泣きでした。」と撮影時のエピソードを披露した。客席で初日の初回を鑑賞していた畠山先生は「思えば、あのままレポート用紙を読んでいたら、通り一辺倒のことしか言えなかったと思う。小松監督にはほんとうに感謝しています」と語った。

最後に小松監督は「この映画は、日本昔ばなしとか民話のような、誰が作ったかわからないけれど残っている良いものだなと思えるものが作りたくて。この作品を通じて、これから育っていく子供達に、餅つきは裏に意味があるんだよっていうことが少しでも伝われば、こんなに嬉しいことはありません。この映画が、民話や神楽、日本昔ばなしのように、末長く皆さんに愛されて広がっていくものになればいいなと思っています。」と語り、場内は大きな拍手に包まれた。
小松真弓監督『もち』初日舞台挨拶

映画情報どっとこむ ralph ユーロスペースでは、7月6日(月)にはC Mディレクターの中島信也さん、7月10日(金)には「水曜どうでしょう」のディレクター、嬉野雅道さんによるトークイベントを開催します。ぜひ公式サイト、劇場HPをご覧ください。

『もち』

公式サイト:
mochi-movie.com

<ストーリー>
山々に囲まれ、冬には雪深くなる地で、古くから根付いているのは、「もち」の分化。
一つの臼(うす)でもちをついて、みんなで食べる-それは当たり前のように、ずっと続いて来た習慣。
おばあちゃんの葬式で、臼と杵でつく昔ながらの方法でどうしても餅をつきたいと言い張るおじいちゃん。家族は、そんな面倒なことをしなくても、餅つき機で同じように美味しいものができると言ったが、頑なに餅をつくという。ユナはそんなおじいさんの心の機微を感じてそっと寄り添う。生徒の減少から中学校の閉校が決まり、最後の一年を終えると学校もなくなる。
ユナの世界も刻々と変化をしていき、友人、憧れの人が離れていくことへの不安を覚えていく。
そして彼女は問う、「努力しないと忘れてしまうものなんて、なんだか本物じゃないみたいー」。
映画に刻まれた少女のかけがえのない瞬間が心に突き刺さるのは、「忘れたくない」思いと「思い出せない」現実の狭間-私たちはいつ
も、その間にいるから。

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出演:佐藤由奈(ユナ)蓬田稔(おじいちゃん)佐藤詩萌(シホ)佐々木俊(タツ兄)畠山育王(先生)他
エグゼクティブプロデューサー及川卓也
プロデューサー谷田督夫
音楽Akeboshi
撮影広川泰士
照明タナカヨシヒロ
録音小川秀樹
整音丸井庸男
編集遠藤分仁
監督・脚本:小松真弓
スペック:カラー/日本/16:9/5.1ch/61分
配給:フィルムランド
製作:マガジンハウス、TABITOFILMS
協力:JA共済
(C)TABITOFILMS・マガジンハウス
    
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