映画情報どっとこむ ralph この度、スティーヴ・クーガンとロブ・ブライドンがグルメ取材の旅に出る人気シリーズ、4年ぶり待望の新作『スぺインは呼んでいる』が11月8日(金)よりBunkamuraル・シネマにて公開となります。

そこでBunkamuraル・シネマ30周年記念グルメトリップ・シリーズ全3作品イッキ見デーとして、今回が劇場初上映となる第一作目『スティーヴとロブのグルメトリップ』(2010・劇場未公開作)、ならびに2015年にBunkamuraル・シネマで封切られ大ヒットを記録した二作目『イタリアは呼んでいる』(2014)の二本の上映に加え、一般公開に先駆け『スペインは呼んでいる』特別先行上映&トークイベントを開催。コラムニストで「世界ベストレストラン50」チェアマンである中村孝則さんをスペシャルゲストにお招きし、映画に登場するレストランを中心に、スペインの食の最新シーン、パラドール宿泊や欧州ドライブ旅行の魅力を前二作にも触れながら語っていただきました。
『スペインは呼んでいる』中村孝則トークイベント
Bunkamura ル・シネマ開館30周年記念
映画『スペインは呼んでいる』特集上映&トークイベント
日時: 11月3日(日・祝)
場所:Bunkamura ル・シネマ
登壇者: 中村孝則(コラムニスト・「世界ベストレストラン50」チェアマン)
司会:野口由紀(Bunkamuraル・シネマ)

映画情報どっとこむ ralph 中村さん:映画をご覧になって皆さんお腹が空いてきているんじゃないかなと思いますが、さらに夕食が楽しくなるようなお話ができればなと思っています。

野口さん:今日は文化の日。特別に『スペインは呼んでいる』の先行上映を含むグルメトリップ・シリーズのイッキ見イベントということで、今回、中村さんにも三本まとめてご覧いただきました。いかがでしたか?

中村さん:三本それぞれ違った面白さがありますね。今回公開される『スペインは呼んでいる』を観てから前作、前々作を観ても面白いと思いますよ。甲乙つけがたい。主人公たちも最初は40代だったけど今は50代で、そういった年齢設定やロケーションの違いがよく出ていて、どれも楽しめました。

野口さん:第一作はイギリスの湖水地方が舞台で、空はどんより曇ってはいますが、ターナーの絵画のような風景が出てきたり、二作目のイタリア編では逆にパッキリとカラフルになったり、そして今回のスペイン編は赤土色・レンガ色・オレンジ色の印象がありますよね。それと、前二作と今回のスペイン編の大きな違いは、ドローンの技術ですね。空撮のシーンが多用されていて、二人のドライブシーンや世界遺産の街クエンカなどもドローン撮影で、抜けのある風景が見えるので、そういったところも見どころ一つですね。さて、中村さんは世界ベストレストラン50のチェアマンとしてご活躍されていますが、どういったものか簡単にご説明お願いできますか。

中村さん:「世界のベストレストラン50」はイギリスが本部の、レストランを評価するアワードです。2002年から始まっていまして、簡単に言うと世界中の審査員がその年のベストなレストランを投票するアワードで、審査員は1000人以上。トップ50に入ったレストランを年に一回表彰する、いわば食のアカデミー賞的な呼ばれ方をして非常に注目されています。特徴としては、本部がイギリスということです。特に謳ってはいませんが競合はミシュランだと思います。100年という歴史のあるミシュランは、どちらかというとフランス文化の象徴であるフランス料理、それを啓蒙する役割もしているというところがあると思います。かたやこちらはイギリスが本部というと、イギリスってあんまり美味しくないと思われていることが多いですが、特に地方に美味しいレストランがありますし、イギリス人自体、開拓や発見することが好きな人たちなので、そのイギリス人が主導で美味しいレストランを探し、今まで食べたことが無い、行ったことがないようなレストランを見つけるのが人気の秘訣でしょか。この映画もまさにイギリス映画で、それがこの映画の背景にある。みなさんが知らないレストランが出てくるという、こういったところは重要ですよね。大変驚きがあります。
『スペインは呼んでいる』中村孝則トークイベント

野口さん:映画の本編では、今年発表されたベストレストラン50の3位となったアサドール・エチェバリが登場します。映画のなかでは「人生を肯定するバター」や「おばあちゃんのチョリソ―」などが登場しますが、映画で観ているだけではちょっとわからないところもあるので、実際にエチェバリに行かれた中村さんにお店について聞いてみましょう。どういったところが評価されているお店なのでしょうか?

中村さん:まずこの映画は見どころがたくさんありますけど、一番象徴的なのがエチェバリというレストランが出てくるところだと私は思います。我々のようなジャッジをする側の人間たちからすると、いま最も重要なレストランです。世界のフーディーが最も行きたいレストラン。とても予約が取りずらくて、僕が行った時でもキャンセル待ちが1000人くらい。映画ではリアルな厨房内や店内の様子なども映されていて魅力的ですが、じゃあどこが評価されているのかというと、とてもシンプルで、最もプリミティブな料理法だという点です。メインシェフはビクトルさん。熾火といって、薪を一度炊いて、それが炭化され、その炭を台に乗せてそこだけで調理する、ほぼ熾火料理。飼っている水牛から作るチーズなど、全て自家製。ちょっと背景を説明しますが、スペインというと有名なのがエル・ブリですね。カタルーニャにあって、ベストレストラン50でもずっと世界一位でした。2011年に閉店しましたが、そのエル・ブリは分子料理だったり、面白い調理法や今までなかったような器具で作っていたのが評価されていました。恐らく、そこからのより戻し的なことなのか、いまプリミティブなものがとても好まれています。日本のメディアでもほとんど知られてないのかなと思いますが。もう一つ面白いのが、この映画にも少しだけ映っていますが前田哲郎くんという日本人がビクトルさんの片腕として働いています。むしろ前田くんがいまは実質的にやっているんですね。日本人からは親近感がもてますよね。さて、熾火料理ですが、いわゆる熟成肉を焼く、というのももちろん美味しいのですが、むしろ魚介類を食べてほしいですね。青い貝は映画でも出てきていましたね。このお店はできることなら機会があれば将来ぜひみなさんに行っていただきたい。注文できれば是非エビを。パラモスのエビ。日本は世界一エビが美味しいですけど、前田くんもこれだけは日本のエビで挑戦しても真似できないと言っていましたし、エチェバリのエビが世界一という人たちがたくさんいますね。

野口さん:一作目と三作目ではレンジローバーで、二作目はミニクーパーで旅をするこの映画ですが、わたしも旅行をするとだいたい公共の交通機関での移動になりますが、中村さんは車でも移動されるんですよね?その醍醐味みたいなものがあるんでしょうか?

中村さん:僕は取材でよくヨーロッパに行きます。一度、BSフジでイタリア700kmを車で運転して巡るという番組を作ったことがあります。だいたい旅先で運転をして旅をするという方は少ないんですけど、これは是非お伝えしたい。地方であればあるほど運転しやすくて楽しい。特にヨーロッパ。別世界が開けます。それこそ『スペインは呼んでいる』に登場するレストランは郊外にあるので、まず車でしかいけないですし。レンタカーの旅、いいですよ。この映画はそういった旅の良いサンプルにもなっていると思います。それに今はGoogle Mapもありますしね。映画のなかでスティーブは使わないって言ってますけど、あれがあれば道も迷うことないですから、是非使ってください。

野口さん:あとはこの映画の魅力のひとつはパラドールですね。古城や修道院を改装した国営のホテルですが、わたしもグラナダのアルハンブラ宮殿内のパラドールに泊まったことがありますが、建物も趣があり絶景も臨め最高でした。そんな食も旅も笑いも盛沢山の映画ですが、なかでも人生の曲がり角に差し掛かった主人公二人の哀愁だったり、普遍的な部分が出ているのが魅力でもあります。中村さんもこのお二人と同年代と伺っていますが。

中村さん::偶然ですが、ほぼ同い年です。主人公二人の現実と映画がオーバーラップしているのが実に面白いですね。関係ない話ですけど、LEONという雑誌は創刊が2001年で、わたしも今まで毎号なにかしら寄稿させていただいているんです。この二人って例えるとLEON世代なんですよね。LEONの表紙を飾るジローラモさんも同い年くらい。そんな世代の僕たちの共通のテーマって、このあとどうするのか、なんですね。人生をどう楽しむか。LEONではファッションだったり車や時計だったり色々と提案をしていますが、この先のライフスタイルをどう提案していくのか、考えますよね。現代の50歳って第二の人生のスタートと最近は言われています。いままで考えられてきたような「老後」とは全然違うんじゃないかなという感覚。そんななかでどんな人生の喜びや悲哀を持って生きていくのか、という部分でこの映画の二人への共感を持ちますね。
それに人生の喜びは色々とありますが、旅とか食が大きな喜びであるということは日本人も含め世界中の人たちが共感できる部分なのかなと思いますね。あと映画や絵画、文学、歴史、こういったものはある種の知的教養ですよね。ワインも最近はそのように言われていますが、レストラン、食というのもそういった知的教養として捉えらえるべきものなんですが、日本はちょっと遅れてるなというのが正直な実感ですね。食べるというのは、美味しい/不味い以外のボリュームのほうが多いんです。そこにアクセスする喜びだったり、そこにいる人たち、そういったものがレストランの楽しみの一つだと思います。レストランというものが文化を楽しみ、この映画を含め知的教養を身に着けられれば、より人生が楽しいのではと思います。

野口さん:次回作も既に撮影を終えていて、ギリシャが舞台とのことです。ギリシャの次の舞台を考えるとすれば、中村さんのお勧めはどこですか?

中村さん:コロンビアですね。僕はコロンビアの親善大使をやっているんですが、いまベストレストラン50で最も注目されてるエリアは南米ペルー。世界的にもペルー料理ブームが起きていますが、次のトレンドはコロンビアです。大きい国というか、人種も食文化も食材も、とにかく多様性がある国だから、映画の二人には是非行ってほしいですね。また、最後に告知になりますが、世界ベストレストラン50の地域戦となるアジアベストレストラン50というものが来年3月24日に佐賀県で初開催されます。アジア圏30か国のトップ50を決めるアワードです。

映画情報どっとこむ ralph 『スペインは呼んでいる』

11月8日(金)よりBunkamuraル・シネマにて公開

公式HP:
www.hark3.com/trip-to-spain

スぺインは呼んでいる

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監督:マイケル・ウィンターボトム 出演:スティーヴ・クーガン、ロブ・ブライドン
配給:ハーク
【2017年/イギリス/108分/カラー/ビスタ/原題:The Trip to Spain/字幕翻訳:石田泰子】
©SKY UK LIMITED 2017.
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