ある町の高い煙突

どういう生き方をしたいか?阿川佐和子・松村克弥監督『ある町の高い煙突』試写会でトーク


映画情報どっとこむ ralph いまから100年前に起きた実話をもとに、文豪・新田次郎が執筆した小説を映画化した『ある町の高い煙突』の試写会が6月7日(金)、東京・飯田橋の神楽座にて行われ、本作で実写映画のナレーションに初めて挑戦した阿川佐和子さんと松村克弥監督が舞台挨拶に登壇し、映画の魅力や収録時のエピソードについて語った。


日程:2019年6月7日(金)
場所:神楽座
登壇者: 阿川佐和子、松村克弥監督

映画情報どっとこむ ralph もともと、映画の元になった茨城県の日立鉱山での煙突建設のエピソードについて「知らなかった」という阿川さんだが、物語に深い感銘を受けたよう。特に煙害対策、そして煙突の建設計画の中心を担ったのが若者たちであったことに言及。

阿川さん:富国強兵を掲げて、重工業に力を入れて強くならないと欧米列強に負けちゃうという中で、農民の愚痴を聞いてる暇なんてないという時代ですよね。そんな中、大企業を相手にするのは若者にとって果てしもない戦いだったと思います。企業が発展を続けるの中で、いち人間として『自分たちがやっていることは誰かを傷つけているんじゃないか?』と思いを馳せるなんてこと、普通はできなくなってくると思うけど、なんでそれが可能だったのか?いまの時代にも反映することができる、ひとりの人間として『どういう生き方をしたいか?』が問われる映画だと思います。

と熱く語る。

松村監督は阿川さんの言葉に嬉しそうにうなずき、同じことを原作小説執筆当時に新田次郎がテレビで言っていたと紹介。

松村監督:ちょうど水俣病やイタイイタイ病が出てきた時期で、『いまの企業は臭いものにふたをして、カムフラージュしようとするけど、(日立鉱山は)科学的アプローチと人間的善意で環境問題に向かっていった。そこに心打たれた』と言っていました。その精神を映画で表現できればと思いました。

と語る。


映画情報どっとこむ ralph ナレーションの仕事に関して、

阿川さん:好きではあるけどオファーがあまり来ないんです(苦笑)最初と最後しか仕事してません(笑)

と謙遜するが、

松村監督:この作品のイメージにぴったりでした。シビアで客観的なナレーション、ハートフルで温かいナレーションの両面ができる方なので、ぜひやっていただきたいと思いました。

とオファーの理由を説明。ちなみに収録では、阿川さんの方から監督に

阿川さん:もう一度やらせてください」と録り直しをお願いするほどの熱心さを見せていたという。

映画の冒頭部分では落ち着いた口調で当時の時代背景を説明し、映画の最後では優しいナレーションで物語に温かさと彩りを加えているが、

阿川さん:監督に『最初は淡々と、最後はちょっと変えて』と言われました。あ、色っぽくはなりませんので(笑)

と茶目っ気たっぷりに語り、会場は笑いに包まれた。


松村監督は、製作費の調達など、準備に3年以上の歳月をかけて、ようやく本作を完成までこぎつけたが

松村監督:毎回そうです。原作は決してベストセラーじゃないし、ヒットドラマの映画化でもないですから難しいです。

と準備段階での苦労を明かしつつ

松村監督:撮影はスムーズで天候にも恵まれ、俳優陣も迫真の演技をしてくれました。(主演の)井手麻渡くんはオーディションで選びましたが、仲代達矢さんの無名塾の俳優で、基礎はみっちりとできているし、明治・大正のDNAを受け継いだ美青年、昔風のイケメンだと思います。

と井手さんをはじめとするキャスト・スタッフ陣の奮闘を讃え、感謝を口にした。


阿川さんはこうしたモノづくりの現状についても言及し、

阿川さん:いまは、どこもカツカツで大変ですが、エンターテイメントの世界は特に何かを『作りたい』と思っても、それがみなさんまでたどり着かない場合もあり、一生懸命に丁寧に作った映画でも(興行的には)還元できるかできないかというところにあります。でも、日本人はこれからどうなるのか?これからどう生きていこうか?と思っている日本人にとって、『そうだ、こういう気概をちゃんと取り戻さないとといけない!』という気持ちになるには、この映画は本当に心を打つものがあると思います。なつかしい気持ち、日本人というものをもう一度、考える上でお役に立つ映画だと思います。

と再び本作の意義を熱弁!

松村監督:100年前の物語ですが、環境破壊やエコロジーというテーマは不変。時代が進む中で悪くなっていくことって多いけど、公害に関しては以前よりも数段よくなってるんですね。この映画は、その先駆けとして煙突を作って環境を守った人たちの物語。広めていただければ幸いです。

と呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。

映画情報どっとこむ ralph 『ある町の高い煙突』

6月22日(土)有楽町スバル座ほか全国ロードショー

ユナイテッド・シネマ水戸、シネプレックスつくば 6月14日(金)先行公開


STORY

「この美しい村は大きく変わるかもしれません…」

1910年、茨城県久慈郡入四間の裕福な地主の家に生まれ育った関根三郎はある日、隣村の日立鉱山による煙害が発生しているという話を耳にする。村の権力者である三郎の祖父・兵馬は事態を重く見て、分家の恒吉を連れて鉱山会社へ掛け合いに行くが、「補償はするが煙害は我慢してくれ」と一方的。受験を控えた三郎を心配した兵馬はある夜、30年前に村長として採掘権を許可したのは自分だと告げ、その5日後に亡くなってしまう。三郎は祖父の遺志を継ぎ、進学も外交官になる夢も捨てて、煙害と闘うことを決意する…JXTGグループ、日立製作所、日産自動車など春光グループの源流である日立鉱山(現・JX金属)におけるCSRの原点となった物語。
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出演:井手麻渡 渡辺大 小島梨里杏 吉川晃司 仲代達矢 大和田伸也 小林綾子 渡辺裕之 六平直政 伊嵜充則 石井正則 螢雪次朗 斎藤洋介 遠山景織子 篠原篤 城之内正明 大和田健介 たくみ稜

原作:新田次郎『ある町の高い煙突』(文春文庫・刊) 
企画協力:文藝春秋  ナレーション:阿川佐和子

エグゼクティブプロデューサー:鈴木一良 宮本澄江  
脚本:渡辺善則  
監督・脚本:松村克弥  
プロデューサー:亀 和夫 城之内景子

製作:Kムーブ  制作協力:マウンテンゲートプロダクション Yプロダクション 
配給:エレファントハウス/Kムーブ
2019年/日本映画/カラー/130分/シネマスコープサイズ/5.1ch

(C)2019 Kムーブ  

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