『自由を手にするその日まで』天野友二朗監督インタビュー


映画情報どっとこむ ralph 新鋭、天野友二朗監督のデビュー作にして問題作。
実在する病院での女性社員・新入社員へのいじめを題材にした映画『自由を手にするその日まで』の3~4月、東京・横浜・大阪・名古屋での順次上映が発表となりました。(詳細スケジュールは記事後半

超少人数スタッフ体制で現場を回し、監督・脚本に加え、オーケストラの劇伴作曲・撮影・編集・整音などすべて監督が手掛けた上で、ソフト化に際しての売り込みや国内配信なども、すべて実現させた意欲作。

そんな、天野監督にインタビューをさせていただく機会が得られましたのでご紹介。

映画情報どっとこむ ralph 都内某日、駅で待ち合わせ。
会ってすぐ歩きながら熱く語り始める監督。本作は、24歳のどこにでもいそうな事務職の女性がパワハラから端を発して、後半復讐劇へと変わるお話。なぜ、1作目にして、きわどい題材にしたのかと言う問いからスタート。

天野監督:いまの若い方たちが、価値観が硬直してしまっている状況を、それが如何にナンセンスかということを、映画という娯楽を通して1人称の視点で描きたかったのです。一見対立して見える二つの物事は、近しいものだったりします。身近にいる人もそれは自分の鏡のような存在なのかもしれないですし、相手に心を明かさないから何も返ってこないのかもしれないですし、相手が心を明かさないから、自分も明かさないのかもしれない。そういったものをこの映画で考えて欲しい。ということが一つ。

続けて

天野監督:幸福と不幸という概念。目の前の状況を不幸と思うなら、本当は逃げればいいのに、それすらもできない。逃げることが恥だと思ってしまう、視野の硬直をあらわすのに、狭い組織のパワハラ・・そう言うことを題材としました。その不幸は強迫観念から来るものなのかもしれない。そういうものに気づけていない二人を描きました。

と若い人をターゲットに気づきの映画になればと始動。

さらに本作は、ルサンチマン(仏: ressentiment)をテーマにしたかったと言う監督。
因みにルサンチマンは、主に弱者が強者に対して、「憤り・怨恨・憎悪・非難」の感情を持つこと。

天野監督:理由は、自身が中高といじめられていたんですね。母も鬱だったりして。そんなとき救いになった映画は、広告的に美化された「幸福」を題材にした映画ではなくて、「不幸」をテーマにした映画だったんです。それが、当時の自分にとって、寄り添ってくれるものだったのです。そういう体験もあり、他の人がやらなさそうなこと、「不幸」を題材にした映画を、少なくとも自主制作をしている間は突き詰めたい。

と語り、それを体現するのに主演女優 みやびさんを選んだ経緯と理由を

天野監督:みやびさんは、会社員だった27歳に九州から上京して、女優になられていて。上京後は、色々と挫折させられるような悔しいことがあったみたいで、その後、オーディションサイトに載せた募集をみて応募していただきました。お会いすると、今回の台本を読んで内容に共感して、この役を手放したくないと言われて。経験と素性も含めて役柄とのマッチングが運命的かなと。
27歳までの社会人経験と、女優になってからのみやびさんのその挫折と熱さが監督を揺り動かしたそう。また、ほかの役者さんたちもオーディションで声掛けしていて、その際は、監督の本気さを示すために、台本と同時に音楽スコアを書き、先にオーケストラに演奏以来して楽曲を録音したものを、台本と一緒に聴いてもらって、役者の皆さんの意気込みを高めたそう。

映画情報どっとこむ ralph 前半のシリアスなドラマから後半のファンタジー感はどのような意図を問うと、

天野監督:こういう特殊なことをするのはこの作品だけかもしれません。章ごとに違う監督が撮っているようなオムニバス的要素が観られる作品で、なにしろ観客を飽きさせないものにしたかったのです。主観的アプローチですし、内容密度も詰め込んでるし、いわゆる普通の映画創りのルールとは逆を、狙ってやってます。どういう受け取られ方をするのかが楽しみです。逆に、2作目は詰め込まず、そぎ落とすアプローチですけどね。(笑)

と語る監督は、『1作目』ということを戦略的にも強く意識しているよう。

現場での演出・撮影法などをお聞きすると

天野監督:色んな可能性を根こそぎ撮りたいので、ありとあらゆるものを撮るスタイルで行いました。会話はとくに、切らずに長回しで色んな方向から何度も撮りました。引き画は捨てて、思いついたものはどんどん放り込んでテイクを重ねて撮りました。

と語ります。引き画を捨てることで、これが、主観で撮りたかった監督の意図にマッチした画になっています。

最後に・・

監督:映画は、映画祭に評価されるだけの映画ではなく、映画界の人だけに評価されるだけのものでもなく、その外の人に向けた、時代に沿った映画にすべきだと思うんです。

映画好きの為の映画ではなく、一般の方が受け入れられる作家性のあるものを創っていこうと思います。

そして、この映画を観て、自分でも撮れるかも、自分でも女優になれるかもと、見た人が、一歩踏み出す勇気を持ってくれればと思います。

と語りインタビューを終えました。

映画情報どっとこむ ralph 記者あとがき
かなりの熱さと闇と戦略性を持つ天野友二朗監督。
自主製作で作家性を担保しながらも、上映・配信・DVD化という商品映像を創ることへの戦略的バランス感も持っている稀有な監督かもしれません。

映画情報どっとこむ ralph 気になる『自由を手にするその日まで』あらすじは

24歳。
都内の医療機関で事務職として働く新入社員の女性。
彼女は、陰湿な職場で孤独を感じていた。
そんな中、冷え切っていた彼との関係が破たんし、居場所を失う。
追い込まれた彼女は、やがて自宅で夜な夜な不気味な実験を繰り返し、復讐計画を立案し、復讐代行業者へ依頼する。

狙いは職員の抹殺。


だがそこに、彼女の計画を邪魔する思わぬ妨害者が立ちはだかる。
果たして、復讐の先に彼女が見出した、本当の自由とは何なのか?
恐るべき狂気の犯行が、今始まる。

公式twitter:
https://twitter.com/jscclinic001



天野友二朗監督プロフィール

1990年、東京都生まれ。兵庫県出身。
鳥取大学大学院医学系研究科にて、分子生物学を専攻。

5歳からバイオリンを習い、大学ではオーケストラに所属。
大学在学中より、かねてからの夢であった映画製作に独学で着手。

単身上京後、絶対音感を駆使し、弦楽オーケストラの楽譜を全パート書き、先に劇伴のレコーディングを完了。劇伴の音源と脚本をもって、ノーコネクションの状態で役者に売り込んでいき、結果120名以上の出演希望者を募り、初監督作である本作を完成。初監督作でいきなり、DVD化・劇場上映・海外販売などすべて実現。

二作目『脂肪の塊』についてもすでに完成。

映画情報どっとこむ ralph <上映スケジュール>

◆東京
・3/29(木):アップリンク渋谷
 18:00~ 20:30~
 ※20:30からの上映後、心理学者 八幡洋氏を招待して、監督・主演女優による分析トークあり

・4/21(土)~4/27(金):下北沢トリウッド
 連日20:30~(火曜定休・日曜は19:00~)
 ※監督・出演者・ゲストによるトークショー開催予定(ゲスト未定)

◆横浜
・4/8(日):横浜シネマノヴェチェント
 19:00~
 ※監督・出演者・ゲストによるコメンタリー(音声解説付き)上映予定

◆大阪
・4/21(土) 19:30~、4/22(日) 18:00~、20:30~:十三シアターセブン

◆名古屋
・4/24(火) 18:30~、20:30~:シネマスコーレ

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キャスト・スタッフ

監督・脚本:天野友二朗
作曲:天野友二朗
演奏:新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団、渡辺裕太、吹野クワガタ、加藤裕一
特殊造型協力: ソイチウム、はきだめ造型

出演:
みやび、宮内杏子、広瀬慎一、三好康司、庄大地、藤村忠生、小野孝弘、吉村きりを、水津亜子、藤井美玲、工藤杏子、木村梨乃、鵜飼祥己、滝けい子、藤田慎太郎、藤原絵里、一高由佳、上田うた、見里瑞穂、真柳美苗、保土田智之、佐々木勝己、井坂優介、天野友二朗、冨田智、内田崇正
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