インド映画のイメージを変える、小さな幸せを描く感動作、「バルフィ!」
沖縄国際映画祭最終日、桜坂劇場にてコンペティション「Peace部門」出品作品のインド映画「バルフィ!」の上映があり、上映後の舞台あいさつにプロデューサーのルチャ・パサックさんが登壇されました。

「バルフィ!」はインドのダージリン地方とコルカタの街を舞台に、耳と口が不自由な青年バルフィと絶世の美女、そして自閉症の幼なじみの少女との間にうまれる、恋と心の交流を描いた物語。3人がそれぞれの思いを抱き、事件に巻き込まれながら、本当の幸せを求める姿が感動的に描かれています。1970年代のインドを舞台としたロードムービーのような明るく美しい映像も見どころとなっています。

登壇したルチャ・パサックさんは「多くの方に映画を見ていただけて、とても嬉しいです。インドでも映画を公開して多くの人に見ていただくのはいつも嬉しいことですが、とくにここ沖縄でこうやってみなさんに見ていただけるのは格別な思いです」とあいさつしました。

とても陽気でいたずら者な、ろうあの青年を主人公としたこの映画は、チャップリンやキートンをほうふつとさせるような動きだけで笑わせるシーンも数多くあり、まさに、“Laugh&Peace”な映画。パサックさんは「監督がこの映画を作った際には、まず観客に確実に楽しんでもらいたい、というのをモットーにしていました。とにかく、シンプルなストーリーで、セリフもとても少なく、キャラクターもシンプルで地に足がついた人たちで、お互い愛し合ってお互いを笑わせながら、人生の中の小さなことに幸せが見つけられるような人にしようという思いで作りました」とコメントしていました。

さらに、パサックさんは、「この映画を作るにあたって最初に伝えたかったことは、聴力やいろいろな障害を持った方や、自閉症の方というのは悲しい人たちではないということです。そういった人たちが悲しい生活、悲しい人生を負っているということを見せるのではなくて、彼らも私たちと全く同じ普通の生活、普通の愛情、シンプルな幸せを望んでいるということを描くのが大切だと思っていました」と映画に込められたテーマについて語りました。

インドのアカデミー賞と呼ばれるフィルムフェア賞で作品賞を受賞したことをはじめ、アカデミー賞の外国語映画賞のインド代表作品にも選ばれるなど、高い評価を得ているこの作品。その理由について訊ねられると、「もしもプロデューサーである私にそれが、どうしてなのか分かるなら映画業界も変わると思うんですが、わからないですね」と笑顔で答えるパサックさん。すると客席から「ちむぐくる!(沖縄の言葉で真心、魂という意味)」という声があがりました。小さなこと、真心を大切にして、悲しいときにも笑顔を忘れない…、そんな、この映画の魅力が観客にしっかりと伝わっていたことを示す、印象的な場面でした。

最後に「日本で映画を見ていただけるのはとても光栄なことです。日本映画は大きな歴史を持っていて、映画学校では黒沢明監督が研究の対象になっています。できればこの映画を日本で公開できるようになればいいと思いますし、多くのインドの映画を日本に持ってこられるといいと思います」とパサックさんがにこやかにあいさつして壇上を後にすると、会場からは大きな拍手が送られました。

第5回沖縄国際映画祭ホームページ:http://www.oimf.jp/

©2013沖縄国際映画祭 よしもとラフ&ピース

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